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FOMC議事録:今後の金融政策に労働市場が一段と重要なカギ!?

2024/10/10 07:45

【ポイント】
・9月FOMCでは0.25%利下げの議論も
・インフレ目標達成に自信を深めた
・労働市場を巡る議論にかなりの時間
・労働市場の状況が利下げペースを決める重要なカギに!?

FOMC議事録

利下げ幅を0.25%とすべきとの声も

FOMC議事録(9/17-18開催分)によれば、参加者全員が利下げを支持しました。11対1の票決で0.50%の利下げが決定され、1人は0.25%の利下げを主張しました。ただし、投票権を持たない参加者(計7人)のなかにも、0.25%の利下げを主張する、あるいは0.25%の利下げでも反対しないとする者がかなり存在したようです。

市場に0.50%の利下げを続けるとの印象を与えるべきではないとの意見も多く、その結果が記者会見でのパウエル議長の「(大幅な利下げを)新しいパターンだと考えるべきではない」との発言につながったのでしょう。

■FOMCの結果は9月19日付け「米FOMCは0.5%の利下げ、米ドル/円は反発!?」をご覧ください。

2%の物価目標達成に自信
インフレ率は引き続き高過ぎるものの、2%の目標に向かって鈍化しているとの評価でした。とりわけ、FOMCが重視するコアサービス(住居費を除く)が最近鈍化してきたとの指摘が目立ちました。

そして、労働市場の軟化や賃金の伸びの鈍化を指摘したうえで、足もとの賃金上昇はインフレ圧力の源泉にはならないだろうとの意見がありました。さらには、インフレ率が2%に回帰するのに今以上の労働市場の減速は必要ないとの指摘もありました。

労働市場を巡る議論
労働市場については、パンデミック以前と比べてもタイト(需給のひっ迫)ではなくなったとして、NFP(非農業部門雇用者数)の伸びの鈍化、失業率の上昇、(JOLTS=労働動態調査における)求人数の減少、企業による採用が以前ほど困難でなくなったこと、などが指摘されました。

数人の参加者は、最近の雇用増加ペースは失業率を一定に保つのに必要なペースを下回っていると指摘しました。もっとも、多くの参加者は、労働市場の評価は非常に難しいと指摘、その理由として、移民の増加、雇用統計の年次改定(雇用者数の下方修正)、労働生産性の変化などを挙げました。

労働市場の先行きに関して、適切な金融政策のもとでは労働市場は堅調であり続けるだろうとされたものの、労働市場が深刻に悪化する局面に移行するリスクが高まっているとの意見もありました。

今後のFOMCの利下げペースが速まるのか、ゆっくりとなるのか、労働市場の状況が一段と重要なカギを握っていそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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