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米FOMCは0.5%の利下げ、米ドル/円は反発!?

2024/09/19 07:05

【ポイント】
・米FOMCは0.50%の利下げを決定、理事1人が0.25%利下げを支持して反対票
・「ドット・プロット」は年内0.25%×2回、25年同4回の利下げ見通し
・FOMCは利下げに慎重ながら一段と市場予想に寄せるか

米FOMCは大幅な利下げを決定。米ドルは円やその他の通貨に対して下落しましたが、すぐに反発しました。長期金利(10年物国債利回り)も低下後に反発。S&P500など株価指数は逆に、上昇後に反落しました。パウエル議長や「ドット・プロット(FOMC参加者各個人の政策金利見通し)」が比較的慎重な利下げを示唆したからかもしれません。

FOMC後のOIS(翌日物金利スワップ)によれば、市場は25年7月の政策金利を3.05%と予想。FOMC前(17日に3.01%)から小幅に上昇したものの、大きな変化はありませんでした。

目先の注目は、20日の日銀金融政策決定会合(+植田総裁会見)です。

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FOMCの票決は11対1。ボウマン理事が0.25%の利下げを支持して、反対票を投じました。本部の理事が決定に反対票を投じたのは約20年ぶりとのことです。

声明文では、「雇用の伸びが鈍化している」とされて、前回の「雇用の伸びは緩やかになった」から下方修正。さらに、「インフレ率が2%に向かっていることにさらに大きな自信を得た」との一文が追加されました。

その一方で、前回までの「インフレが持続的に2%に向かっているとの一層の確信を得るまでは、利下げが適切になるとは予想していない」とのフォワードガイダンスは削除されました。利下げを続けるとの意思表示と解釈できます。

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FOMCの経済・金融見通し「ドット・プロット」は以下の通り。

インフレ見通しが、24年と25年について前回6月分から下方修正され、2%の物価目標達成への自信が示されました。失業率は0.2~0.4%の上方修正。長期の予想(=FRBが目指す水準)は4.2%で変わらず。24-26年の失業率予想が4.2%を上回ったことは、利下げの継続を正当化するのかもしれません。

FOMC

最も注目された「ドット・プロット(中央値、以下同じ)」をみると、24年末までさらに0.25%×2回の利下げを予想。25年の利下げはそこから0.25%×4回、26年はさらに0.25%×2回の利下げの予想。新たに追加された27年に関しては横ばい(据え置き)の予想でした。そして、中立水準(長期見通し)は2.875%と予想されており、2.375%~3.75%と幅はあるものの、以前の想定(2.75%)より小幅に上方修正されました。



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パウエル議長の会見で興味深かった点は以下。

パウエル議長は、前回のFOMC(7/30-31開催)で7月雇用統計の弱さ(8/2発表)を知っていれば、その時点で利下げに踏み切った可能性があったと指摘。そのうえで、今回の0.50%利下げを「ビハイド・ザ・カーブ(後手に回る)」とならないための決意の表れだと述べました。その一方で、「それを新しいスタイルだと考えるべきではない」とも述べ、大幅な追加利下げの期待をけん制しました。

パウエル議長は、景気について「基本的に良好だ」と述べ、失業率の急激な上昇は避けられると自信をのぞかせました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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