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米ベージュブック:景気はやや持ち直し、インフレ鈍化の報告も

2026/07/16 07:50

【ポイント】
・製造業は、国防やデータセンター関連で堅調
・消費者は価格に敏感で、ぜいたく品の購入が減少
・労働市場はやや改善、物価は前回並みかやや鈍化

ベージュブック(地区連銀経済報告)によれば、国防やデータセンター関連で製造業が堅調な一方で、中低所得層の消費に陰りがみえました。エネルギー高が原材料や輸送、肥料などのコストに波及。高インフレが続くとの見方もある一方で、足もとの原油価格下落によってインフレは鈍化するとの見方もありました。

16日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は9月FOMCでの利上げをほぼ五分五分とみているようです(利上げ観測がやや優勢)。14日の6月CPI発表直前は9月の利上げが確実視されていました。そのため、米ドルほぼ全面安の展開でした。

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ベージュブック

出所:米FRB資料より抜粋

7月6日までの1カ月半をカバーしたベージュブックによれば、経済活動は全12地区のうち11地区で「わずかに」あるいは「ゆるやかに」拡大、1地区で「変化なし」でした。前回(6月3日公表)は、10地区で「わずかに」あるいは「ゆるやかに」拡大、1地区で「わずかに」縮小、1地区で「変化なし」でした。前々回が、8地区で拡大、2地区で縮小、2地区で変化なしだったので、少しずつ景気が持ち直しているようにみえます。

個人消費はわずかに増加。ただし、燃料費の増加により他の支出が抑制されました。また、ぜいたく品の購入減少や廉価品へのシフトもみられました。観光は活発化し、一部ではサッカーW杯の影響が指摘されました。自動車販売はほぼ変わらず。

製造業はほとんどの地区で「わずかに」あるいは「緩やかに」拡大。データセンターや機械類、国防関連の受注が好調でした。農業では、農産品の価格下落やコスト高、融資の厳格化で状況が悪化。エネルギー部門では、原油やガスの掘削が増加しました。輸送業では、高率関税や中東の紛争の影響で、サプライチェーンの変更が指摘されました。

先行きについて、景気拡大が続くとの見方が一般的でしたが、数地区では燃料コストの不確実性が指摘されました。

労働市場
雇用は全体としてみれば増加。5地区で雇用が増える一方で、7地区では「ほとんど」あるいは「まったく」変化がありませんでした。前回報告では1地区だけで雇用増が報告されました。製造、建設、小売りなど多くのセクターで雇用が増加。多くの分野で熟練労働者が不足していました。ほとんどの地区で賃金は増加したものの、2地区での増加は「ごくわずか」でした。数地区では、採用や生産性の向上のためにAI利用の増加が報告されました。

物価
物価上昇率は全地区で、前回報告と同じか、やや鈍化。エネルギー、輸送、原材料など、労働以外の投入コストが多様な産業で増加しました。コスト高は中東での紛争や関税の影響が大きかったようです。数地区では、消費者が価格に神経質になっていると報告されました。2地区では、販売価格の引き上げがコスト上昇に追いつけず、利益マージンが縮小しました。インフレが現在のペースを維持するとの見方がある一方で、エネルギー価格の下落によってインフレが鈍化するとの予想もありました。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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