円安が進行、米ドル/円は162円台へ上昇して86年12月以来の高値
2026/07/01 09:10
【ポイント】
・米ADP雇用統計などでFRBの利上げ観測が一段と強まるか
・本邦当局による為替介入があるか
(欧米市場レビュー)
6月30日、欧米時間の外為市場では円が軟調に推移。米ドル/円は一時162.641円へと上昇して86年12月以来の高値をつけ、ユーロ/円は185.801円、豪ドル/円は112.567円、NZドル/円は92.423円へと一時上昇する場面がありました。米国の5月JOLTS(労働動態調査)求人件数が759.4万件と市場予想の730.0万件を上回ったことを受けて米ドル/円が上昇し、豪ドル/円やNZドル/円は米ドル/円にけん引されたと考えられます。
(本日の相場見通し)
本日は米国の6月ADP雇用統計や6月ISM製造業景況指数が発表されます(それぞれ日本時間21:15、23:00)。それらの結果が相場材料になりそうです。
市場予想は、ADP雇用統計が前月比12.0万人、ISM製造業が53.8。前者は前月の12.2万人から若干雇用の伸びが減速し、後者は前月の54.0から低下するものの業況判断の分かれ目である50は引き続き上回るとみられています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は早ければ9月に利上げを行うとの観測があり、その観測が足もとの米ドル高の主な要因となっています。CMEのFedWatchツールに基づくと、6月30日時点で織り込むFRBの利上げ確率は、次回7月28-29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で約3割、9月15-16日までで6割強、10月27-28日までで7割強、12月8-9日までで8割強です。
ADP雇用統計やISM製造業景況指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBの利上げ観測が一段と強まりそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。豪ドル/米ドルは、200日移動平均線(本日時点で0.68609米ドル)が目先の下値メドです。
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ラガルドECB(欧州中銀)総裁やウォーシュFRB議長、ベイリーBOE(英中銀)総裁、マックレムBOC(カナダ中銀)総裁が本日、ポルトガルのシントラで開催中のECB主催の中央銀行フォーラムでのパネルディスカッションに参加します。
パネルディスカッションで、各中銀の先行きの金融政策についてのヒントが提供されれば、相場材料になりそうです。
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米ドル/円がおよそ40年ぶりの高値をつけるなか、本邦当局の対応が引き続き注目されます。
片山財務相は6月30日の閣議後の会見で、米ドル/円が162円台へと上昇していることについて問われると「必要に応じて、いつでも適切に対応する」と回答。現状は対応する必要がないと感じているのか?との質問には「いつでも適切に対応することに尽きる」と述べました。また、「必要があれば適切に対応するというのは、これまでの投機的な動きには断固たる措置を取るから温度感が変化したのか?」と質問されると、片山財務相は「極めて安定的に申し上げている」とし、「(対応に)断固たる措置が含まれるということは、先般の日米財務相のオンライン会合でも確認している」と語りました。
片山財務相の発言をみる限り、今のところ本邦当局が為替介入(米ドル売り・円買い介入)に踏み切る可能性はそれほど高くないように感じられますが、引き続き介入を警戒しておく必要はあります。
本邦当局による介入があれば、米ドル/円は大きく下落するとみられます。その場合、豪ドル/円やNZドル/円など対円の通貨ペアも米ドル/円に引きずられるとみられます。
※為替介入については、本日の『ファンダメ・ポイント』[本邦当局が為替介入をする理由・しない理由]にて解説していますので、ご覧ください。
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USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)のオンライン会合が本日開かれます。会合には、グリアUSTR(米通商代表部)代表とエブラルド・メキシコ経済相、ルブラン対米貿易担当相が参加するとみられます。
USMCAは20年7月1日に発効した協定で期限は16年間、36年7月1日に失効する予定です。ただ、発効6年目に共同見直しを行うことになっており、3カ国が延長で合意すれば、協定は42年7月1日まで延長されます。その共同見直しの期限が本日です。
メキシコとカナダの2カ国はすでに協定の延長を正式に要請した一方、米国は現行ルールでの延長に難色を示しています。3カ国は協定の延長で合意できないかもしれません。その場合、36年7月の失効まで1年ごとの年次見直しへと移行します(仮に27年の見直しで3カ国が延長に合意すれば協定は43年まで、28年の見直しで合意すれば44年まで延長されます)。
3カ国が今回の見直しで合意できないことは、市場にある程度織り込まれていると考えられます。そのため、延長で合意できなかったとしても、市場の反応は限定的になる可能性があります。
USMCAには共同見直しとは関係なく「6カ月前の書面での事前通告により、協定から離脱できる」との規定があるものの、現時点で米国が離脱を表明する可能性は低いとみられます。
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