欧州財政事情、難航する26年度予算編成!?
2025/11/25 08:41
【ポイント】
・英国は26日に秋季予算案を発表、赤字削減は盛り込まれるか
・フランスは年金改革凍結も、予算審議は難航中
・ドイツは財政緊縮から財政拡張へと進路変更
・イタリアやギリシャの財政収支は改善中
英国の事情:秋季予算案発表
明日26日(日本時間21:30~)、英国のリーブス財務相が秋季予算案(26年度=26年4月からの1年間)を発表します。英国の財政規律を回復するため、300億ポンド~350億ポンドの赤字削減策が必要とされています。
14日には、リーブス財務相が、議会で承認される可能性が低い所得税率の引き上げを断念したと報道され、長期金利(10年物国債利回り)が急騰しました。所得税率引き上げに代わる増税・増収策がどの程度織り込まれるのか。そして、市場はそれらを有効な対策と判断するのか、大いに注目されるところでしょう。
秋季予算案が財政赤字削減に有効ではないと判断されれば、長期金利が一段と上昇し、一方で英ポンドに下落圧力が加わるかもしれません。
フランスの事情:26年度予算審議が難航
フランスでも巨額の赤字が続いており、新型コロナが発生した20年以降にEUの財政ルール(財政赤字をGDP比3%以内)は一度も守られていません。
フランスでは前バイル政権が内閣不信任で倒れたあと、ルコルニュ政権が誕生しました。その際に社会党の協力を得たことで、ルコルニュ政権は年金改革(支給年齢の62歳⇒64歳への引き上げ等)を凍結。そのため、財政再建は一段と難しくなっています。
ルコルニュ政権の26年度(26年1月からの1年間)予算案は国民議会で審議中ですが、下院は政府案を拒否して審議がストップ。上院は12月15日に最終投票を予定していますが、予算成立のメドは立っていません。25年度予算も政治的混乱のなかで年度開始後の2月6日に辛うじて成立しました。同様の事態となるかもしれません。その場合、フランス国債に下落圧力(金利に上昇圧力)、ユーロにも下落圧力が加わるかもしれません。
ドイツの事情:拡張的財政政策へ舵
ドイツは財政政策の優等生でしたが、メルツ首相は拡張的な政策へと舵を切りつつあります。メルツ首相は債務ブレーキ(基礎的財政赤字をGDP比0.25%以内)の適用を緩和、経済の低迷が続くなかで、国防、インフラ、気候変動対策などの分野で過去最高レベルの投資を26年度(26年1月からの1年間)予算案に盛り込みました。政府の予算案は近々、連邦議会で承認される可能性があります。

PIIGSの事情:財政収支は改善
11年前後の欧州債務危機においてファンドに狙い撃ちされたポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインのPIIGSは、財政改革を進めて(余儀なくされて)財政収支が大きく改善しています。これらの国から改めて債務危機の火の手が上がる可能性は低そうです。
・英国は26日に秋季予算案を発表、赤字削減は盛り込まれるか
・フランスは年金改革凍結も、予算審議は難航中
・ドイツは財政緊縮から財政拡張へと進路変更
・イタリアやギリシャの財政収支は改善中
英国の事情:秋季予算案発表
明日26日(日本時間21:30~)、英国のリーブス財務相が秋季予算案(26年度=26年4月からの1年間)を発表します。英国の財政規律を回復するため、300億ポンド~350億ポンドの赤字削減策が必要とされています。
14日には、リーブス財務相が、議会で承認される可能性が低い所得税率の引き上げを断念したと報道され、長期金利(10年物国債利回り)が急騰しました。所得税率引き上げに代わる増税・増収策がどの程度織り込まれるのか。そして、市場はそれらを有効な対策と判断するのか、大いに注目されるところでしょう。
秋季予算案が財政赤字削減に有効ではないと判断されれば、長期金利が一段と上昇し、一方で英ポンドに下落圧力が加わるかもしれません。
フランスの事情:26年度予算審議が難航
フランスでも巨額の赤字が続いており、新型コロナが発生した20年以降にEUの財政ルール(財政赤字をGDP比3%以内)は一度も守られていません。
フランスでは前バイル政権が内閣不信任で倒れたあと、ルコルニュ政権が誕生しました。その際に社会党の協力を得たことで、ルコルニュ政権は年金改革(支給年齢の62歳⇒64歳への引き上げ等)を凍結。そのため、財政再建は一段と難しくなっています。
ルコルニュ政権の26年度(26年1月からの1年間)予算案は国民議会で審議中ですが、下院は政府案を拒否して審議がストップ。上院は12月15日に最終投票を予定していますが、予算成立のメドは立っていません。25年度予算も政治的混乱のなかで年度開始後の2月6日に辛うじて成立しました。同様の事態となるかもしれません。その場合、フランス国債に下落圧力(金利に上昇圧力)、ユーロにも下落圧力が加わるかもしれません。
ドイツの事情:拡張的財政政策へ舵
ドイツは財政政策の優等生でしたが、メルツ首相は拡張的な政策へと舵を切りつつあります。メルツ首相は債務ブレーキ(基礎的財政赤字をGDP比0.25%以内)の適用を緩和、経済の低迷が続くなかで、国防、インフラ、気候変動対策などの分野で過去最高レベルの投資を26年度(26年1月からの1年間)予算案に盛り込みました。政府の予算案は近々、連邦議会で承認される可能性があります。

PIIGSの事情:財政収支は改善
11年前後の欧州債務危機においてファンドに狙い撃ちされたポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインのPIIGSは、財政改革を進めて(余儀なくされて)財政収支が大きく改善しています。これらの国から改めて債務危機の火の手が上がる可能性は低そうです。
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