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日銀会合で円安が進行、ユーロ/円は史上最高値を更新

2025/10/31 09:18

【ポイント】
・日銀会合で利上げを提案した政策委員は前回から増えず
・植田総裁は早期の利上げに慎重!?
・米経済指標結果やFOMC参加者の発言で市場のFRB金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

30日、欧米時間の外為市場ではが軟調に推移。一時米ドル/円は154.398円、ユーロ/円は178.798円、豪ドル/円は101.151円、NZドル/円は88.759円へと上昇。ユーロ/円は99年1月のユーロ導入後の最高値を記録し、米ドル/円は25年2月以来、豪ドル/円は24年11月以来、NZドル/円は25年8月以来の高値をつけました。

日銀は金融政策決定会合を開き、政策金利を7対2で0.50%に据え置くことを決定。田村審議委員と高田審議委員が前回9月会合と同じく0.25%利上げすることを提案し、政策金利の据え置きに反対票を投じました。利上げを提案した政策委員が前回から増えなかったことや、その後の会見で植田日銀総裁は早期の利上げに慎重と市場が受け止めたことが、円安圧力になったと考えられます。

植田総裁は会合後の会見で「利上げの是非やタイミングについて現時点で予断を持っていない」、「企業の積極的な賃金・価格設定行動が途切れないか、もう少し確認したい」、「来年の春闘の初動のモメンタムがどうなるか、もう少し情報を集めたい」などと述べました。

ECB(欧州中銀)は金融政策の現状維持を決定。中銀預金金利を2.00%、主要リファイナンス金利を2.15%、限界貸出金利を2.40%にそれぞれ据え置きました。

※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[ECBは利下げ打ち止め⁉ ラガルド総裁「良い位置にいる」]ご覧ください。

米国のトランプ大統領中国の習近平国家主席は韓国・釜山で会談しました。会談では、中国がレアアース(希土類)の輸出規制強化の発動を1年間延期し、米国は合成麻薬フェンタニル関連での対中追加関税を現行の20%から10%へと引き下げることなどで合意しました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の10月シカゴ購買部協会景気指数が発表されます(日本時間22:45)。シカゴ購買部協会景気指数の市場予想は42.0と、業況判断の分かれ目である50は引き続き下回るものの、前月の40.6から上昇するとみられています。市場予想からかい離する結果になれば、材料になりそうです。

本日はまた、ローガン・ダラス連銀総裁ハマック・クリーブランド連銀総裁ボスティック・アトランタ連銀総裁の発言機会があります。ローガン総裁らFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者がFRB(米連邦準備制度理事会)の先行きの金融政策についてのヒントを提供すれば、市場が反応しそうです。

パウエルFRB議長が29日のFOMC後の会見で、次回12月FOMCでの利下げは既定路線ではないなどと述べたことを受け、市場ではFRBによる追加利下げ観測が後退しました。CMEのFedWatchツールによると、30日時点で市場が織り込む次回12月9-10日のFOMCでの利下げ確率は約75%。28日時点の確率は9割強でした。

シカゴ購買部協会景気指数が市場予想を上回る結果になる、あるいはローガン総裁らが追加利下げに慎重な姿勢を示せば、FRBによる追加利下げ観測が一段と後退しそう。その場合には米ドルが堅調に推移して、米ドル/円や米ドル/シンガポールドルには上昇圧力が、英ポンド/米ドルや豪ドル/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。米ドル/シンガポールドルは、200日移動平均線(30日時点で1.30422シンガポールドル)が上値メドです。

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ユーロ圏の10月HICP(EU基準消費者物価指数)速報値が本日発表されます(日本時間19:00)。その結果にユーロが反応する可能性があります。

HICPの市場予想は総合が前年比2.1%、食品・エネルギー・アルコール飲料・たばこを除いたコアが同2.3%です。市場では、ECB(欧州中銀)による利下げは終了したとの観測があります。HICPが市場予想を上回る結果になれば、その観測が高まるとともにユーロにとってのプラス材料になりそうです。ユーロ/英ポンドの上値メドとして、23年2月高値の0.89744ポンドが挙げられます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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