米国と英国のCPIに注目!
2025/01/15 08:40
【ポイント】
・米CPIでFRBの利下げ観測が一段と後退するか
・英CPIの結果によっては英ポンド安圧力がさらに強まる可能性も
(欧米市場レビュー)
14日、欧米時間の外為市場では、円が軟調に推移。一時、米ドル/円は158.148円、ユーロ/円は162.774円、豪ドル/円は97.899円、NZドル/円は88.677円へと上昇しました。欧米の主要な株価指数がおおむね堅調に推移するなか、リスクオン(リスク選好)の動きが強まったことが円安圧力となりました。
米ドルも対円を除いて軟調。一時、米ドル/カナダドルは1.43500カナダドル近辺へと下落し、ユーロ/米ドルは1.03000ドル近辺、豪ドル/米ドルは0.62000ドル近辺へと上昇しました。米国の24年12月PPI(生産者物価指数)が市場予想を下回ったことが、米ドルの重石となりました。
PPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
<総合>
・前月比:0.2%(0.3%)
・前年比:3.3%(3.4%)
<コア>
・前月比:0.0%(0.3%)
・前年比:3.5%(3.8%)
(本日の相場見通し)
米国の24年12月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間22:30)。CPIの市場予想は総合指数が前月比0.3%、前年比2.9%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数が前月比0.2%、前年比3.3%です。
CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込むFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ確率が5割を超えるのは6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降です。FOMCでの利下げ確率は次回28-29日で約3%、3月18-19日までで約23%、5月6-7日までで約36%、6月17-18日までで約57%、7月29-30日までで約62%です(日本時間15日07:44時点)。
CPIが市場予想を上回る結果になれば、FRBの利下げ観測が一段と後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそうです。米ドル/円や米ドル/カナダドルには上昇圧力が、ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルには下落圧力が加わると考えられます。
※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、12月CPI結果が相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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ユーロ/英ポンドは14日に一時0.84458ポンドへと上昇し、24年9月18日以来およそ4カ月ぶりの高値をつけました。英国の財政政策に関する懸念からこのところ英ポンド安圧力が加わっており、ユーロ/英ポンドの上昇要因となっています。
※詳しくは、14日の『ファンダメ・ポイント』[英国財政事情、トラス・ショックの悪夢再び??]をご覧ください。
英国の12月CPIが本日発表されます(日本時間16:00)。CPIの市場予想は総合指数が前年比2.6%、エネルギー・食品・アルコール飲料・タバコを除いたコア指数が同3.4%です。
BOE(英中銀)は次回2月6日の政策会合で0.25%の利下げを行うとの観測が市場にはあります。CPIが市場予想を下回る結果になれば、利下げ観測が強まるとともに、英ポンド安圧力は一段と強まる可能性があります。ユーロ/英ポンドの上値メドとして、200週移動平均線(15日時点で0.85567ポンド)が挙げられます。
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日銀の氷見野副総裁は14日の講演で、23-24日に開く金融政策決定会合について「利上げを行うかどうかを政策委員の間で議論し、判断したい」と述べ、利上げする可能性があることを示しました。来週の会合に向けて観測記事を含め日銀の金融政策に関して新たなニュースが出てくれば、それに市場が反応するかもしれません。
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