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米大統領選挙:議会選挙の行方 「トリプル・レッド」も?

2024/10/23 07:53

本稿は、米大統領選・直前号の第3回です。

第1回 ハリス氏が失速!? 「今日」投開票ならトランプ氏勝利も?
第2回 「トランプ大統領」なら財政赤字が大幅増!?
第4回 ウォール街では「トランプ・トレード」が復活!?

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【ポイント】
・議会の勢力図は新大統領の公約実現に大きく影響
・上院は共和党が過半数確保の勢い
・下院も共和党が優勢か

以下は、22日までの報道や世論調査結果を基にした、あくまで「現時点」での評価です。投開票日までの2週間弱で状況は大きく変化するかもしれません。

大統領の公約実現の大きなカギ
新しい大統領の政策が日の目を見るかどうか、議会の勢力図が重要なカギを握ります。仮に新しい大統領が公約を実現しようとしても、議会でそれが立法化される保証はありません。とりわけ、大統領と、議会の上下院のいずれか、あるいは両方が違う政党だった場合には、公約の立法化はかなり難しくなるはずです(※)。

※関税賦課などは大統領令で実現できるため、議会の承認は必要ありません。一方で、税制や予算、制度改革に関するものは議会での立法化が必要です。

「トリプル・レッド」?
22日時点のReal Clear Politics(以下、RCP)によれば、上院、下院とも共和党が過半数を制する可能性がやや高いようです。大統領、上院、下院の全てを共和党がコントロールするのであれば「トリプル・レッド」。かなり思い切った政策を実現することができるかもしれません。

上院の行方
上院は定数100議席で任期6年。2年ごとに1/3が改選されます。共和党は非改選も含めてすでに51議席(=過半数)を固めている模様。民主党は44議席。接戦は残り5議席でいずれも現職は民主党です。ただ、民主党は残り5議席を全て守っても過半数に届きません。なお、両党が同数(=50対50)の場合、上院議長でもある副大統領がキャスティングボートを握ります。

なお、上院では少数政党でも法案の立法化を阻止できる、フィリバスターというルールがあります(詳細略)。フィリバスターを停止させて採決を行うためには、原則としてスーパーマジョリティー(60票以上)の賛成が必要となります。ただし、予算関連など、成立が不可欠な一部の法案にはフィリバスターが使えないケースがあります。

上院票読み

下院の行方
下院では全435議席が改選されます。RCPによれば、議席獲得予想は共和党が207、民主党が196、接戦32となっています。32議席の内訳は現職民主党が19、現職共和党が13です。過半数(218以上)に達するには、民主党は接戦となっている現職民主党の議席を全て守ったうえで、共和党から3議席を奪う必要があります。一方で、共和党は接戦の共和党13議席のうち11議席を守れば過半数です。

下院票読み

大統領選挙の結果はもちろんのこと、議会選挙の結果も米国の先行きにとって大きなカギを握っています。

■18日のM2TV(YouTube)グローバルViewは「米大統領選まで18日! トランプ氏リード!?」です。是非ご覧ください。

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西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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