米大統領選挙:「トランプ大統領」なら財政赤字は大幅増?
2024/10/22 07:09
本稿は、米大統領選・直前号の第2回です(※)。
第1回 ハリス氏が失速!? 「今日」投開票ならトランプ氏が勝利?
第3回 議会選挙の行方 「トリプル・レッド」も
第4回 ウォール街では「トランプ・トレード」が復活!?
※第2回として「議会選挙の行方」の予定でしたが、米財政赤字拡大の懸念から長期金利(10年物国債利回り)が急騰しているので、こちらを先にお届けします。

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【ポイント】
・両候補の公約は財政赤字拡大要因
・10年間の財政赤字拡大効果はトランプ氏がハリス氏の2倍以上
以下は、21日までの報道や世論調査分析を基にした、あくまで「現時点」での評価です。投開票日までの2週間で状況は大きく変化するかもしれません。
ハリス氏の公約は、中低所得層への減税に加えて、医療保険、教育、子育て支援などの支出増が中心。財源は、企業や富裕層に対する増税です。一方、トランプ氏の公約は、18年のトランプ減税の延長を含め、企業や家計(富裕層)への減税が中心。財源は、関税の引き上げがもっぱらです。
両候補の経済政策については・・・
■8月28日付け「米大統領候補の経済政策比較」をご覧ください。
■9月11日付け「TV討論会プレビュー:政策比較」に一覧表を掲載しています。
米国の財政赤字は24年度(23年10月~24年9月)に1.8327兆ドル、GDP比6.6%。コロナ対策などで20年度にGDP比15%まで拡大したところから縮小しています。しかし、コロナショック前までの20年間(リーマンショック後を含む)の平均が3.6%なので、現時点でも財政状況は厳しいと言えそうです。

いずれの候補の公約もそのまま実現すれば、財政赤字を一段と増やしそうです。超党派の専門家集団であるCRFB(責任ある連邦財政委員会)は、10月7日に両候補の公約を分析したレポートを公表。
同分析によれば、ハリス氏の公約は26-35年度の財政赤字を計3.5兆ドル増加させます(予想レンジは0ドル~8.1兆ドル)。一方、トランプ氏の公約は計7.5兆ドル増加させます(予想レンジは1.45兆ドル~15.15兆ドル)。


現在、連邦政府の債務はGDP比99%。現行法を前提とした債務は35年度にGDP比125%まで拡大。ハリス氏の公約前提ならこれが8%増加して133%、トランプ氏の公約前提なら17%増加して142%になるとのこと。
財政赤字の拡大は、国債発行額の増加につながります。財政赤字拡大の背景がリセッション(景気後退)など循環要因に起因する場合は、国債発行額の増加は民間資金需要の減少によって十分に吸収可能です。しかし、過度な財政刺激に起因する場合は、民間資金需要とのバッティングにより金利上昇要因となります(いわゆるクラウディングアウト)。
米長期金利(10年物国債利回り)は9月中旬をボトムに上昇傾向にあります。景気の底堅さや利下げ観測の後退などの要因に加えて、財政赤字拡大懸念に後押しされている面があるかもしれません。
■18日のM2TV(YouTube)グローバルViewは「米大統領選まで18日! トランプ氏リード!?」です。是非ご覧ください。
■11月2日にWEBセミナーを開催します。第1部で、双日総研チーフエコノミストの吉崎達彦さんと大統領選挙後にフォーカスした対談を行います。事前申し込みは不要ですので、ぜひご参加ください(下の画像をクリックすると詳細をご覧いただけます)。
第1回 ハリス氏が失速!? 「今日」投開票ならトランプ氏が勝利?
第3回 議会選挙の行方 「トリプル・レッド」も
第4回 ウォール街では「トランプ・トレード」が復活!?
※第2回として「議会選挙の行方」の予定でしたが、米財政赤字拡大の懸念から長期金利(10年物国債利回り)が急騰しているので、こちらを先にお届けします。

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【ポイント】
・両候補の公約は財政赤字拡大要因
・10年間の財政赤字拡大効果はトランプ氏がハリス氏の2倍以上
以下は、21日までの報道や世論調査分析を基にした、あくまで「現時点」での評価です。投開票日までの2週間で状況は大きく変化するかもしれません。
ハリス氏の公約は、中低所得層への減税に加えて、医療保険、教育、子育て支援などの支出増が中心。財源は、企業や富裕層に対する増税です。一方、トランプ氏の公約は、18年のトランプ減税の延長を含め、企業や家計(富裕層)への減税が中心。財源は、関税の引き上げがもっぱらです。
両候補の経済政策については・・・
■8月28日付け「米大統領候補の経済政策比較」をご覧ください。
■9月11日付け「TV討論会プレビュー:政策比較」に一覧表を掲載しています。
米国の財政赤字は24年度(23年10月~24年9月)に1.8327兆ドル、GDP比6.6%。コロナ対策などで20年度にGDP比15%まで拡大したところから縮小しています。しかし、コロナショック前までの20年間(リーマンショック後を含む)の平均が3.6%なので、現時点でも財政状況は厳しいと言えそうです。

いずれの候補の公約もそのまま実現すれば、財政赤字を一段と増やしそうです。超党派の専門家集団であるCRFB(責任ある連邦財政委員会)は、10月7日に両候補の公約を分析したレポートを公表。
同分析によれば、ハリス氏の公約は26-35年度の財政赤字を計3.5兆ドル増加させます(予想レンジは0ドル~8.1兆ドル)。一方、トランプ氏の公約は計7.5兆ドル増加させます(予想レンジは1.45兆ドル~15.15兆ドル)。


現在、連邦政府の債務はGDP比99%。現行法を前提とした債務は35年度にGDP比125%まで拡大。ハリス氏の公約前提ならこれが8%増加して133%、トランプ氏の公約前提なら17%増加して142%になるとのこと。
財政赤字の拡大は、国債発行額の増加につながります。財政赤字拡大の背景がリセッション(景気後退)など循環要因に起因する場合は、国債発行額の増加は民間資金需要の減少によって十分に吸収可能です。しかし、過度な財政刺激に起因する場合は、民間資金需要とのバッティングにより金利上昇要因となります(いわゆるクラウディングアウト)。
米長期金利(10年物国債利回り)は9月中旬をボトムに上昇傾向にあります。景気の底堅さや利下げ観測の後退などの要因に加えて、財政赤字拡大懸念に後押しされている面があるかもしれません。
■18日のM2TV(YouTube)グローバルViewは「米大統領選まで18日! トランプ氏リード!?」です。是非ご覧ください。
■11月2日にWEBセミナーを開催します。第1部で、双日総研チーフエコノミストの吉崎達彦さんと大統領選挙後にフォーカスした対談を行います。事前申し込みは不要ですので、ぜひご参加ください(下の画像をクリックすると詳細をご覧いただけます)。

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