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95年4月「秩序ある反転」の再来は?

2026/09/04 07:42

【ポイント】
・米ドル/円は日銀の積極利上げ観測や政策対応への期待から下落
・95年4月には米ドル安の「秩序ある反転」が実現
・当時は、協調介入に加えて、G7共同声明や日銀利下げ、資本規制緩和もあり
・「円安」反転のための総合的な政策対応ができるか

米ドル/円は3日のNY市場で一時155円台前半まで下落しました。3日の東京市場での159円近辺からジリジリと値を下げており、為替介入があったのではなさそう。ベッセント財務長官の言う「強い円につながる措置」や高田日銀審議委員の「積極利上げ」発言、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産構成見直し観測などを受けた、思惑での円買い戻しが起きたとみられます。

米ドル円

このまま、ここ数年にわたる「円安」が反転するのでしょうか。以下では、今回と状況が似ている95年の「秩序ある反転」のケースを概観しましょう。95年は円高(米ドル安)の反転という意味で今回と真逆ですが、類似点は見つかりそうです。

90年代前半は米経済が急速に国際競争力を失った時期でした。とりわけ、製造業の空洞化が深刻な事態を招いており、米ドルはジリジリと下落していました。95年に入ると、前年12月のテキーラショック(メキシコ通貨危機)の影響もあって米ドル/円が急落、4月19日には一時79.75円を記録しました。

95年秩序ある反転

日本は93年春ごろから断続的にドル買い・円売り介入を行っていました。95年3月3日、4月3日、5日には日本、米国、ドイツなどによる国際協調介入が実施されました(図中①4月5日)。また、4月14日には円高阻止のため、日銀が公定歩合を引き下げました(1.75%⇒1.00%、②)。

米ドル/円は4月19日に79.75円で底打ち。4月25日のワシントンG7後のコミュニケ(共同声明で、「(為替相場の)最近の変動は、主要国における基礎的な経済状況によって正当化される水準を超えている」、「こうした変動を秩序ある形で反転させることが望ましい」と宣言されました(③)。

その後、7月7日には日銀が短期金利の低め誘導を発表、さらに日米が協調介入を実施しました(いわゆる「七夕介入」、④)。

追い打ちをかけるように、8月2日に日米が協調介入を実施、同時に日本が金融機関の海外投資規制を緩和するなど資本流出促進策を発表しました(⑤)。また、当時のルービン米財務長官は「強いドルは米国の国益」と繰り返して米ドル高をサポートしました(最初の発言は95年3月のようです)。そして、9月8日には日銀が公定歩合を引き下げました(1.00%⇒0.50%、⑥)。

以上を総括すると、「秩序ある反転」が可能となったのは、協調介入だけでなく、金融政策(日銀の利下げ)やその他の政策対応(日本の資本規制緩和)、強い意思表示(G7共同声明など)が組み合わされた国際協調があったからでしょう。冒頭で挙げた足もとの円高要因が、単に市場の思惑にとどまらずに実現するのかどうかを見極める必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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