ジャクソンホール会議
2026/08/24 12:09
【今週のポイント】
・ジャクソンホール会議や氷見野日銀副総裁の記者会見に注目
・豪CPIでRBAの先行きの金融政策に関する市場の見方がどのように変化するか
・米国とカナダの貿易摩擦がどうなるか
世界的に長期金利が上昇しています。主要中銀が利上げ含みであることも一因ですが、足もとではむしろ利上げ観測はやや後退しています。それでも、長期金利に上昇圧力が加わっているのは、中央銀行の独立性に対する懸念(日銀が高市政権に忖度? トランプ大統領がFRBに利下げ圧力、など)、財政赤字拡大懸念(「責任ある積極財政」、米関税収入の激減、英バーナム政権の左派的政策など)、中央銀行のバランスシート縮小(保有国債の削減)、AI関連投資のための社債発行などが背景にあります。
換言すれば、「悪い金利上昇」の要素が強まっているのでしょう。為替レートは二国間の通貨の交換比率であり、ある程度二国間の金利差を反映します。したがって、各国の金利が同じように上昇するのであれば、金利差の観点からは為替相場にニュートラルです。もっとも金利が上昇すれば、とくに「悪い金利上昇」の場合、景気にはブレーキがかかりやすく、株価には下押し圧力が加わりやすくなります。それらがリスクオフを強めれば、米ドルやユーロ、円などの主要通貨、安全通貨が買われやすく、資源・新興国通貨は売られやすいでしょう。米ドル/円でいえば、最近の傾向としてリスクオフでは、米ドル/円は上昇する傾向があるようです。
今週も引き続き、中東情勢や原油価格の動向、米ドル/円が上昇する場面での本邦当局による為替介入の有無などに要注意でしょう。ベッセント米財務長官は、イランとその貿易相手国を経済的に孤立させる計画を近く(24日にも?)発表すると述べました。市場がそれにどう反応するか。また、ベッセント財務長官は、長期国債の買い戻し拡大を示唆、さらに米国の財政について新たな健全化策を打ち出すとしています。
そして、各国の金融政策に関する市場の見方がどう変化するか。今週は、26日に米国の7月PCE(個人消費支出)デフレーター、28日に8月東京都区部CPI(消費者物価指数)が発表されます。
また、27-29日の日程で、米カンザスシティ連銀が主催するジャクソンホール会議が開催されます。同会議は毎年8月末に実施され、今回のテーマは「金融革新:決済と政策への含意」です。28日にはウォーシュFRB議長が講演します。ウォーシュ議長は、金融政策の先行きに関するヒント、いわゆるフォワードガイダンスを示すことに否定的です。それでも、足もとの景気や物価の状況について議長はどんな判断を示すか。ジャクソンホール会議には世界中の中央銀行から参加があるので、米国に限らず金融政策のヒントが出されるかもしれません。
26日にはエヌビディアの4-6月期決算の発表があります。それによって株価が大きく動けば、為替相場にも影響は出そうです。<西田>
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このところ米ドルが軟調に推移しており、8月21日には豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは約2カ月半ぶりの高値をつけ、米ドル/カナダドルは約3カ月ぶりの安値を記録しました。
今週は、ウォーシュFRB議長の講演(28日)や米国の経済指標の結果を受け、FRBの先行きの金融政策に関する市場の見方がどのように変化するのか注目です。FRBによる利上げ観測が一段と後退した場合、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは引き続き堅調に推移し、米ドル/カナダドルは軟調に推移するとみられます。
米ドル/カナダドルやカナダドル/円については、米国とカナダの貿易摩擦のゆくえにも注目です。米国は22日にカナダに対する新たな追加関税を発動しました。新たな追加関税の対象品目は500を超え、合計約200億米ドル相当。200億米ドルは、25年の米国の対カナダ輸入総額3820億米ドルの5.2%にあたります。一方、カナダは9月8日に報復関税を発動すると表明しました。報復関税の規模は米国と同じく約200億米ドル相当になるもようです。両国の貿易摩擦が一段と激化するようなら、カナダドルにとってマイナスになりそうです。
中東情勢にも目を向ける必要がありそうです。中東情勢をめぐる懸念が強まれば、原油価格には上昇圧力が加わるとともに、ノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソにとってのプラス材料になると考えられます。
米ドル/円が上昇を続けた場合、本邦当局の対応が注目されます。本邦当局による為替介入があれば、米ドル/円が下落して、豪ドル/円やNZドル/円、メキシコペソ/円などは米ドル/円に引きずられると考えられます。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:155.000円~162.000円>
短期金利(2年物国債利回り)は主に、市場の金融政策見通しを反映します。米国の短期金利は8月13日をボトムに足もとで上昇傾向にあります。一方で日本の短期金利は31年ぶりの高水準ながら、足もとでやや軟化しています。結果として、縮小傾向にあった日米短期金利差(米-日)は18日をボトムに反発しています。金利差が一段と拡大するようだと、米ドル/円には上昇圧力が加わりそうです。
一方で、本邦当局による(あるいは日米協調での)米ドル売り・円買い為替介入を警戒する必要もあります。7月30日の介入直前の水準163.74円を超えるまでは介入がないかもしれませんが、注意は怠れないでしょう。
日米の金融政策に関しては、27-29日ジャクソンホール会議、27日の氷見野日銀副総裁の記者会見などが注目されます。ジャクソンホール会議のスケジュールは未発表のようですが、28日のウォーシュFRB議長の講演は決まっているようです(日本時間23:00から)。他にも、FRB・日銀関係者の発言機会やメディアインタビューがありそうです。
経済指標では、米PCE(個人消費支出)デフレーターや東京都区部CPIが金融政策見通しに影響を与えそうです。<西田>
今週の注目通貨ペア②:<豪ドル/米ドル 予想レンジ:0.70000米ドル~0.73000米ドル>
豪ドル/米ドルは8月21日に一時0.71749米ドルへと上昇し、6月3日以来およそ2カ月半ぶりの高値をつけました。
FRBによる利上げ観測の後退のほか、RBA(豪中銀)当局者のタカ派的な発言が、足もとの豪ドル/米ドルの主な上昇要因と考えられます。RBAのブロック総裁は8月11日の政策会合後の会見で、「理事会は追加利上げの可能性を排除していない」と述べ、「個人的には追加利上げが必要になる可能性は十分にある」と発言。ハウザー副総裁は19日の講演で、「(豪州の)インフレ率は高すぎる」との認識を示し、「インフレ率が低下しなければ、追加利上げが必要になる可能性がある」と語りました。
今週は、26日に豪州の7月CPI(消費者物価指数)が発表され、28日にウォーシュFRB議長が講演する予定です。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、RBAの先行きの金融政策に関する市場の見方は、“0.25%の利上げがあと1回行われる”と“追加利上げなし(利上げサイクル終了)”とで分かれています。豪CPIでRBAによる追加利上げ観測が強まる、あるいはウォーシュ議長の講演や米経済指標でFRBの利上げ観測が一段と後退するようなら、豪ドル/米ドルは引き続き堅調に推移しそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア③:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.36000カナダドル~1.40000カナダドル>
米ドル/カナダドルは8月21日に一時1.37307米ドルへと下落し、5月20日以来およそ3カ月ぶりの安値を記録しました。
このところの米ドル/カナダドル下落の主な要因として、豪ドル/米ドルと同様、FRBによる利上げ観測の後退が挙げられます。原油価格が上昇基調にあり、そのことも米ドル/カナダドルの下押し圧力になっているとみられます。原油価格の上昇は、カナダドルにとってのプラス材料です。
FRBの利上げ観測が一段と後退する、あるいは原油価格が上昇を続ければ、米ドル/カナダドルは引き続き軟調に推移する可能性があります。
トランプ米政権は22日、カナダからの輸入品の一部に50%の追加関税を発動。それを受け、カナダのカーニー首相は同日、報復関税を9月8日に発動すると表明しました。米国とカナダの貿易摩擦が今後一段と激化するようなら、米ドル/カナダドルは下げ渋るかもしれません。<八代>
おかげさまで、ウィークリー・アウトルックは本号で500号を迎えました。市場調査室時代に「WEEKLYアウトルック」としてスタートしてから13年近くが経過。その間、ブレグジット、コロナ、中国恒大集団、ロシアのウクライナ侵攻、シリコンバレー銀行、米国シャットダウンやデフォルト危機など様々なイベントが発生しました。都度、最新の情報と見通しをお伝えしてきたつもりです。今後も、投資判断に必要な情報発信を心掛けたいと考えています。引き続きご愛顧のほどをお願い申し上げます。
1号 (13年12月27日) 「年末年始はドル円上昇トレンド継続か」
100号(16年5月20日) 「米FOMCは6月利上げがメインシナリオ!?」
200号(18年12月7日) 「英国議会はブレグジット協定案を否決!?」
300号(21年7月12日) 「米長期金利の反発は続くか?」
400号(24年 2月5日) 「金融不安は再燃するか」
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