FRBによる利上げ観測は?
2026/08/10 11:30
【今週のポイント】
・米CPIやFOMC参加者の発言などでFRBの利上げ観測が一段と後退するか
・米ドル/円が上昇した場合の日米当局の対応は?
・政策会合でノルゲバンクの9月利上げ観測が強まるか
・RBA会合で同中銀の先行きの金融政策に関する市場の見方がどのように変化するか
8月7日に発表された米国の7月雇用統計は軟調な結果でした。非農業部門雇用者数は前月比2.3万人減と、市場予想(8.0万人増)に反して減少したうえ、5月分と6月分も当初の発表より合計10.3万人下方修正されました。
米雇用統計の結果を受けて、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ観測が後退。CMEのFedWatchツールに基づくと、7日時点で市場が織り込む利上げ確率は、次回9月15-16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で約44%、次々回10月27-28日までで約6割、年内最後の12月8-9日までで8割弱。前日の6日時点の確率はそれぞれ約55%と約7割、8割強でした。
今週(8/10- )は、米国の7月CPI(消費者物価指数)が12日に、7月PPI(生産者物価指数)が13日にそれぞれ発表されます。また、13日にハマック・クリーブランド連銀総裁やバーキン・リッチモンド連銀総裁の発言機会があります。ハマック総裁は7月28-29日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利上げを行うよう求め、政策金利の据え置きに反対票を投じました。
米経済指標やFOMC参加者の発言により、FRBの利上げ観測が一段と後退するのかどうか注目。一段と後退した場合、米ドルにとってのさらなるマイナス材料になりそうです。
日米当局は7月31日、協調して円買い介入を実施しました。本邦当局に関しては7月30日も介入した可能性が高く、8月3日も介入した可能性が市場では指摘されています。本邦当局は米ドル売り・円買い介入で、米当局はユーロ売り・円買い介入とみられます。今後米ドル/円が上昇した場合、日米当局の為替相場への対応が注目されます。
RBA(豪中銀)は10-11日に、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は13日にそれぞれ政策会合を開きます。豪ドルやノルウェークローネは各中銀会合の結果が相場材料になりそうです。RBAとノルゲバンクのいずれも政策金利を据え置くと市場は予想しています。
原油価格(WTI原油先物や北海ブレント先物)の動向にも目を向ける必要がありそうです。原油価格は引き続き中東情勢をめぐるニュースに反応しやすい地合いとなっており、中東情勢悪化への懸念が強まれば原油価格には上昇圧力が、悪化への懸念が後退すれば原油価格には下落圧力が加わる傾向がみられます。原油価格の上昇はノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソにとってプラス、原油価格の下落はそれらの通貨にとってマイナスになりそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:155.000円~160.000円>
今週の米ドル/円は、FRBの先行きの金融政策に関する市場の見方の変化に影響を受けやすいと考えられます。CPIなど米国の経済指標が軟調な結果になるなどして、FRBによる利上げ観測が一段と後退すれば、米ドル/円は軟調に推移しそうです。
片山財務相は8月3日、日米当局が7月31日に協調して円買い介入を実施したことを明らかにするとともに、「日本国財務省は米国財務省と緊密なコミュニケーションを維持している。我々は、今後、さらなる協調介入を実施することも躊躇しない」と表明しました。米ドル/円が上昇を続ける場合、(日米の協調、あるいは本邦当局の単独で)円買い介入が再び行われる可能性があります。<八代>
今週の注目通貨ペア②:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.98000Sクローナ~1.02000Sクローナ>
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは7月23日に一時1.01561Sクローナへと上昇し、5月19日以来およそ2カ月ぶりの高値を記録。その後下落に転じ、8月6日には0.99238Sクローナをつけました。
足もとのノルウェークローネ/スウェーデンクローナの下落は、軟調な原油価格の影響が大きいと考えられます。7月23日に一時1バレル=93.50ドルへと上昇したWTI原油先物価格は、8月5日に74.24ドルをつける場面がありました。原油価格の下落はノルウェークローネにとってマイナスです。
今週は原油価格の動向のほか、13日に開催されるノルゲバンク(ノルウェー中銀)の政策会合も相場材料になりそうです。
ノルゲバンクは前々回5月の会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を4.00%から4.25%へと引き上げました。前回6月18日の会合では政策金利を据え置いたものの、声明で「現在の見通しどおりに今後展開すれば、政策金利は今後の会合のいずれかで(さらに)引き上げられるだろう」と表明。追加利上げを示唆しました。
市場では、ノルゲバンクは9月24日の会合で0.25%の追加利上げを行うとの観測があります(8/13の会合については政策金利の据え置きを予想)。ノルゲバンクの声明が9月会合での追加利上げ観測を強める内容になるのかどうか注目です。
原油価格が反発し、ノルゲバンクによる追加利上げ観測が強まれば、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは上値を試す展開になると考えられます。<八代>
今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.18500NZドル~1.21200NZドル>
今週の豪ドル/NZドルは、10-11日に開かれるRBA(豪中銀)の政策会合に影響を受けそうです。会合の結果は11日に判明します。
RBAは26年2月・3月・5月と3会合連続でそれぞれ0.25%の利上げを実施。前回6月15-16日の会合では政策金利を4.35%に据え置きました。
政策金利は今回も据え置かれると市場は予想しており、そのとおりの結果になれば、RBAの声明やブロックRBA総裁の会見が相場材料になりそうです。RBAは前回6月会合の声明で、「金融政策は今後の展開に対応できる良い位置にある」との認識を示す一方、「必要に応じて政策金利をさらに引き上げることを含め、 物価安定と完全雇用の実現のために必要なあらゆる措置を講じる」と表明しました。
その後発表された豪州の4-6月期CPI(消費者物価指数)は総合が前年同期比4.0%、トリム平均値は同3.6%と、いずれもRBAのインフレ目標レンジ(2~3%)を引き続き上回りました。そのためRBAはこれまでの、必要なら追加利上げを行うとの姿勢を改めて示すと考えられます。
市場では、RBAは今後あと1回追加利上げを行うとの見方がある一方、同中銀による利上げサイクルは終了したとの見方もあります。先行きの金融政策をめぐり市場の見方が分かれるなか、RBAの声明やブロック総裁の会見によってどちらの見方が強まるのか注目されます。利上げ打ち止めとの見方が強まれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移するとみられます。<八代>
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