ウォーシュ議長初のFOMC議事録
2026/07/06 13:03
【今週のポイント】
・米FRBの金融政策見通しは変化するか
・NOK/SEKは原油価格の動向や金融政策見通しがカギ!?
・RBNZは利上げをするか、9月以降の金融政策についてどのようなヒントが示されるか
米国の6月雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が市場予想を大きく下回り、4-5月分も下方修正。失業率はわずかに低下しましたが、労働力人口が大幅に減少しており、労働市場における職探しの困難さや移民の減少を示唆しました。3日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は引き続き9月FOMCでの利上げを有力視していますが、織り込む確率は低下しました。
ホルムズ海峡における船舶航行が回復しつつあり、WTI原油先物価格は米国によるイラン攻撃前の2月下旬の水準まで下落しています。それもあって、全般的に中銀の利上げ観測は後退しています。
今週(7/6- )は、引き続き米国とイランの交渉の進捗状況やホルムズ海峡の航行状況、原油価格の動向が相場材料となりそうです。
米国景気の先行きやFRBの金融政策に関する市場の判断や思惑の変化にも要注意でしょう。米雇用統計の軟調が単なるブレなのか、それとも景気減速の兆候なのか、今週の経済指標(6月ISM非製造業景況指数、同中古住宅販売件数、5月貿易収支など)でもある程度判断できるかもしれません。景気減速の兆候が広がりをみせるなら、利上げ観測が一段と後退して5月中旬以降の「米ドル高」に歯止めがかかるかもしれません。
8日には、FOMC議事録(6/16-17開催分)が公表されます。政策金利は全会一致で据え置かれましたが、政策金利見通し、いわゆるドット・プロットでは、年内据え置き、あるいは利上げと予想した参加者が多く、利上げに積極的なタカ派的と受け止められました。ウォーシュ議長が初めて仕切ったFOMCでどんな議論がなされたか。議長が発表した「コミュニケーション」「FRBバランスシート」「AIの経済効果」など5つの作業部会について、設立の意図など詳細な説明があったかどうかも気になります。
なお、同じ8日には、6月11日にIPO(新規株式公開)を行ったばかりのスペースXがナスダック100に組み入れられます。米株の動きもリスクオン/オフを通じて為替相場に影響を与えるかもしれません。
日本では、長期金利(10年物国債利回り)の上昇が続くでしょうか。高市政権の「骨太の方針」による積極財政が債券市場で懸念されています。財政悪化懸念による金利上昇は、円高ではなく円安を招く可能性があります。先週、米ドル高円安が進むなかで当局のけん制は抑制されていました。しかし、当局が投機筋に打撃を与える意図をもって警告なしに介入する可能性があるとの報道で、市場では介入警戒感が高まっているようです。<西田>
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RBNZ(NZ中銀)の政策会合が8日に開かれます。その結果にNZドル/円やNZドル/米ドル、豪ドル/NZドルが反応しそうです。会合における注目点は、RBNZが利上げを行うかどうか、また総裁会見などで9月以降の金融政策についてどのようなヒントが提供されるかです。
米国の6月雇用統計の結果を受け、市場ではFRBの利上げ観測が後退しました。利上げ観測が一段と後退するようなら、米ドル/カナダドルは上値が重い展開となり、豪ドル/米ドルは底堅く推移する可能性があります。
原油価格の動向にも注目です。WTI原油先物の中心限月8月物は2日に一時67.04ドルへと下落し、中心限月として2月27日以来の安値をつけました。原油価格が下落を続ける場合、ノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソなど産油国の通貨にとってマイナスになると考えられます。
本邦当局の対米ドルでの円安への対応も引き続き注目されます。片山財務相は3日の閣議後の会見で、「必要に応じていつでも適切に対応する」と改めて述べました。仮に本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)、あるいはその準備ともされるレートチェックがあれば、米ドル/円は下落しそう。その場合、豪ドル/円やNZドル/円、カナダドル/円などは米ドル/円に引きずられるとみられます。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:157.000円~163.500円>
原油価格の下落、一部株価の軟調、米雇用統計の軟調などから、全般的に利上げ観測が後退しています。ただし、日米の金融政策については引き続き米ドル/円のプラス材料になりそうです。
日銀の政策金利(無担保コール翌日物)は6月16日の利上げによって現在1.00%。FRBのそれ(FFレート)は同3.50~3.75%です。3日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は26年末までにFRBの利上げを0.25%×1.14回織り込んでいます。同じく日銀については26年末までに0.92回の利上げを織り込んでいます。また、金融政策見通しを強く反映する短期金利(2年物国債利回り)の日米差(米-日)は、4月中旬以降にジリジリと拡大して、25年9月以来の高水準近辺で推移しています。
米景気失速の兆候が強まって、FRBの利上げ観測が後退する、あるいは利下げ観測が浮上する状況となれば、日米短期金利差が縮小して米ドル/円のマイナス材料となりそうです。仮に、そのような状況で米ドル/円が堅調に推移するならば、本邦当局による米ドル売り・円買い介入がより正当化されそうです。
ウォーシュFRB議長の手腕にも引き続き要注目でしょう。議長は物価安定を最優先する意向を表明しています。米景気が底堅く、かつインフレ圧力が強い状況ならば、政策金利の据え置きや利上げでのコンセンサス形成は容易かもしれません。しかし、景気減速と高いインフレ圧力が同時並行する場合の判断はどうなるか。ウォーシュ議長は自身の言葉を行動で裏付けるでしょうか。仮に、強引に利下げを進めようとすれば、FRBの独立性が懸念されて、米ドルに強い下落圧力が加わるかもしれません。<西田>
今週の注目通貨ペア②:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.96000Sクローナ~1.00000Sクローナ>
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(以下、NOK/SEK)は5月に入ってパリティ(1.00000Sクローナ)を超え、中旬にピークをつけた後に下落基調に変化しました。これは原油価格とほぼ歩調を合わせた動きと言えそうです。
ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は5月7日に23年12月以来となる利上げを実施し、政策金利を4.25%としました。一方、リクスバンク(スウェーデン中銀)は、25年9月に利下げして以降、政策金利を1.75%に据え置いています。
3日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、ノルゲバンクは次回8月13日の政策会合で利上げする可能性が高いとみられています。また、26年末までに0.25%×1.35回の利上げが織り込まれています。リクスバンクについては、26年末までに0.25%×0.45回の利上げが織り込まれています。つまり、ノルゲバンクについては26年内の利上げが確実視され、かつ追加利上げも相応に予想されている一方で、リクスバンクは年内据え置きが有力視されています。NOK/SEKは今後も原油価格に影響を受けそうですが、02年12月以降で最大の政策金利差や金融政策見通しの差はNOK/SEKの下支え要因となりそうです。
今週は、ノルウェーとスウェーデンの6月CPIに要注目でしょう。<西田>
今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.20000NZドル~1.23000NZドル>
今週の豪ドル/NZドルは、8日のRBNZ(NZ中銀)の政策会合の結果に影響を受けそうです。
RBNZは25年11月に利下げを実施した後、前回26年5月まで3会合連続で政策金利を2.25%に据え置きました。前回会合では6人の政策メンバーの意見が割れて、3人が政策金利の据え置きを、3人が0.25%の利上げを支持。最終的にブレマン総裁が据え置きを決定しました。ブレマン総裁は会合後の会見で「今後の会合で利上げを行う可能性が高い」と述べ、将来的な利上げを示唆しました。
市場では、8日の会合で0.25%の利上げが決定されるとの見方が優勢。OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、3日時点で市場が織り込む利上げ確率は8割弱です。ただ、最近の原油価格下落を受け、政策金利は据え置かれるとの見方も一部にあるようです。
RBNZの声明や会合の議事要旨、ブレマン総裁の会見にも注目です。RBNZは9月2日の会合でも0.25%の利上げを行うとの観測があります。
8日の会合で利上げを行うことが決定されて、ブレマン総裁の会見などで9月会合での追加利上げ観測が強まれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移しそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア④:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.40000カナダドル~1.44000カナダドル>
2日に発表された米国の6月雇用統計の軟調な結果を受け、市場ではFRBの利上げ観測が後退しました。利上げ観測が一段と下落するようなら、米ドル/カナダドルは上値が重い展開になりそうです。
カナダの6月雇用統計が10日に発表されます。BOC(カナダ中銀)の政策金利については、少なくとも12月末まで据え置かれるとの見方が市場では有力。雇用統計の結果を受けてその見方が変化するか注目されます。
原油価格の動向にも注目です。OPECプラスの有志7カ国(サウジアラビアやロシアなど)は5日にオンラインで会合を開き、8月から原油の生産目標をさらに日量18.8万バレル引き上げることで合意しました。足もとで原油価格が下落傾向にあるなか、OPECプラスが原油の増産を決定したことは、原油価格のさらなる重石となりそう。原油価格が軟調に推移する場合、カナダドルにとってマイナスになると考えられます。<八代>
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