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英ポンドの弱点、政治不安

2026/05/14 08:18

【ポイント】
・統一地方選の大敗を受けてスターマー首相に退陣要求
・首相は辞任否定も、求心力低下で政権を維持できるか
・財政規律の喪失はトリプル安を招く?

英国で政治不安が高まっています。

5月7日の統一地方選労働党が大敗スターマー首相に対する退陣要求が強まりました。統一地方選では、反EU・反移民を掲げる「リフォームUK」が大躍進。左派の「グリーン」も議席を大きく増やしたようです。労働党の大敗に加えて、前政権党の保守党も議席を減らしました。

スターマー首相は11日の演説で、辞任を否定。しかし、もともと世論の支持率が高くなかったうえ、党内での求心力を失ったスターマー首相が今後も政権を維持できるかは不透明です。スターマー首相が辞任すれば、後継争いが長期化して政治不安が続く可能性もあります。

また、増税や歳出削減など不人気な政策を進めたスターマー首相に代わって労働党本流のリベラル派が後継となれば、財政の規律が緩むとの危惧が市場にあります。22年秋に保守党ジョンソン首相の後を継いだトラス首相が財源不明の大型減税を提案して、株安・債券安(金利上昇)・英ポンド安のトリプル安、いわゆる「トラス・ショックを引き起こしたのは記憶に新しいところでしょう。

■5月14日付けテクニカルポイント「英ポンド/円、下値固め模索の相場付き」
■5月13日付け同「ユーロ/英ポンド、方向感模索の相場付き! 当面のコアレンジは?」をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

英長期金利(10年物国債利回り)は12日に、08年9月のリーマンショック以降で初となる5.10%をつけました。このところ、長期金利は世界的に上昇傾向ですが、26年に入ってからの英長期金利の上昇、とりわけ3月以降の上昇が目立ちます。

主要国長期金利

26年上昇幅

13日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は、BOE(英中銀)が27年春ごろまでに0.25%×3回の利上げを行うことをほぼ完全に織り込みました。もっとも、財政規律の緩みやインフレ圧力を背景に、英ポンド防衛のための利上げとの意味合いが強いなら、「利上げ観測の高まり=英ポンド買い」ではないかもしれません。英政治の行方には十分に注意する必要がありそうです。

英金融政策見通し
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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