ウォーシュ公聴会のポイントと利下げ観測の後退
2026/04/22 08:11
【ポイント】
・原油高止まり、小売売上高堅調で、米利下げ観測は後退
・ウォーシュ氏は政治からの独立とインフレ抑制を強調も・・・
・トランプ大統領の利下げ要求に本当に抵抗できるのか
イラン情勢は非常に流動的です。バンス米副大統領が和平交渉のためのパキスタン訪問を取りやめたため、一時原油価格の上昇要因となりました。日本時間22日午前5時過ぎにトランプ大統領は停戦の延長とホルムズ海峡封鎖の継続を発表しました。停戦延長に期限はなく、イランの新しい提案が示され、交渉が終わるまでとされました。WTI原油先物価格は1バレル=92.13ドルで21日の取引を終了しましたが、時間外で90ドルちょうど近辺で推移しています(日本時間22日午前8時)。
米国の3月小売売上高は前月比1.9%増と、市場予想(1.4%増)や前月(0.7%)を上回りました。ガソリンが前月比15.5%増と急増したことが全体を押し上げましたが、ガソリンを除いても0.6%増とそこそこ堅調でした。
それらを受けて、21日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、FRBが26年中に0.25%の利下げを行う確率を市場は3割強織り込んでいます。17日には同確率が約6割織り込まれていました。市場のメインシナリオ(確率5割超)が、「利下げ」から「据え置き」に変わったのは、原油価格の上昇や小売売上高の堅調に加えて、ウォーシュ次期FRB議長が承認公聴会(や前日に公表された証言原稿)において、インフレ抑制を最優先する姿勢や政治からの独立の重要性を強調したからかもしれません。
■4月15日付け「ウォーシュ氏の議会証言と金融政策見通し」
■4月21日付け「ウォーシュ次期FRB議長が承認されなければ・・・」
*******
もっとも、ウォーシュ氏の承認公聴会ではいくつかの気になる点もありました。
最大の疑問は、ウォーシュ氏が本当にトランプ大統領からの利下げ要求に抵抗して、独自の判断で金融政策を誘導できるのか。
トランプ大統領は公聴会直前にも、ウォーシュ氏が議長に就任してすぐに利下げしなければ失望すると発言したばかり。公聴会では、政策金利は1%であるべきとのトランプ大統領の発言に同意するかと問われて、ウォーシュ氏は回答を避けました。
なお、ウォーシュ氏は、大手化粧品会社エスティーローダー創業者の孫を配偶者に持ち、巨額の資産があるとされています。公聴会では、自身が保有するファンドについて、トランプ大統領に関わる企業への投資が含まれるかどうかを問われ、ウォーシュ氏は守秘義務があるので答えられないとし、FRB議長に就任する前にファンドを売却すると付け加えました。
金融政策の運営スタイルには変化がみられそうです。
市場とのコミュニケーションは従来ほど活発ではなくなりそう。声明文のフォワードガイダンスや3カ月に1度のドットプロットなど経済見通しの公表はFRB自らの選択肢を狭めるとして、ウォーシュ氏は批判的です。FOMC関係者が金融政策について積極的に発言することも快く思っていないようです。FOMCの開催頻度やスケジュールは議長を含むFOMC参加者で決定しますが、記者会見の有無は議長が決定します。
ウォーシュ氏は、インフレ率は昔ほど高くないが、それでも物価高に苦しむ人々がいるとして、インフレ対応の新たなフレームワークが必要だと述べました。それが何を指すか詳細は語りませんでした。
ウォーシュ氏はFRBのバランスシート(≒保有国債)は小さくあるべきだと考えています。バランスシートを縮小させれば、政策金利の引き下げは可能だとも。ただ、それは事前に市場に対して十分に周知し、時間をかけて行う意向のようです。
ウォーシュ氏は、パウエル議長やクック理事に対する司法省の捜査については回答しませんでした。なお、FRB人事の凍結を宣言している上院銀行委員会のメンバーで共和党のティリス議員は、司法省が捜査を終了して、代わりに議会が調査をするのであれば、ウォーシュ氏の承認に賛成するとの考えを示したようです。もっとも、現時点で司法省(≒トランプ大統領)が方針を変更する兆しは見当たりません。
・原油高止まり、小売売上高堅調で、米利下げ観測は後退
・ウォーシュ氏は政治からの独立とインフレ抑制を強調も・・・
・トランプ大統領の利下げ要求に本当に抵抗できるのか
イラン情勢は非常に流動的です。バンス米副大統領が和平交渉のためのパキスタン訪問を取りやめたため、一時原油価格の上昇要因となりました。日本時間22日午前5時過ぎにトランプ大統領は停戦の延長とホルムズ海峡封鎖の継続を発表しました。停戦延長に期限はなく、イランの新しい提案が示され、交渉が終わるまでとされました。WTI原油先物価格は1バレル=92.13ドルで21日の取引を終了しましたが、時間外で90ドルちょうど近辺で推移しています(日本時間22日午前8時)。
米国の3月小売売上高は前月比1.9%増と、市場予想(1.4%増)や前月(0.7%)を上回りました。ガソリンが前月比15.5%増と急増したことが全体を押し上げましたが、ガソリンを除いても0.6%増とそこそこ堅調でした。
それらを受けて、21日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、FRBが26年中に0.25%の利下げを行う確率を市場は3割強織り込んでいます。17日には同確率が約6割織り込まれていました。市場のメインシナリオ(確率5割超)が、「利下げ」から「据え置き」に変わったのは、原油価格の上昇や小売売上高の堅調に加えて、ウォーシュ次期FRB議長が承認公聴会(や前日に公表された証言原稿)において、インフレ抑制を最優先する姿勢や政治からの独立の重要性を強調したからかもしれません。
■4月15日付け「ウォーシュ氏の議会証言と金融政策見通し」
■4月21日付け「ウォーシュ次期FRB議長が承認されなければ・・・」
*******
もっとも、ウォーシュ氏の承認公聴会ではいくつかの気になる点もありました。
最大の疑問は、ウォーシュ氏が本当にトランプ大統領からの利下げ要求に抵抗して、独自の判断で金融政策を誘導できるのか。
トランプ大統領は公聴会直前にも、ウォーシュ氏が議長に就任してすぐに利下げしなければ失望すると発言したばかり。公聴会では、政策金利は1%であるべきとのトランプ大統領の発言に同意するかと問われて、ウォーシュ氏は回答を避けました。
なお、ウォーシュ氏は、大手化粧品会社エスティーローダー創業者の孫を配偶者に持ち、巨額の資産があるとされています。公聴会では、自身が保有するファンドについて、トランプ大統領に関わる企業への投資が含まれるかどうかを問われ、ウォーシュ氏は守秘義務があるので答えられないとし、FRB議長に就任する前にファンドを売却すると付け加えました。
金融政策の運営スタイルには変化がみられそうです。
市場とのコミュニケーションは従来ほど活発ではなくなりそう。声明文のフォワードガイダンスや3カ月に1度のドットプロットなど経済見通しの公表はFRB自らの選択肢を狭めるとして、ウォーシュ氏は批判的です。FOMC関係者が金融政策について積極的に発言することも快く思っていないようです。FOMCの開催頻度やスケジュールは議長を含むFOMC参加者で決定しますが、記者会見の有無は議長が決定します。
ウォーシュ氏は、インフレ率は昔ほど高くないが、それでも物価高に苦しむ人々がいるとして、インフレ対応の新たなフレームワークが必要だと述べました。それが何を指すか詳細は語りませんでした。
ウォーシュ氏はFRBのバランスシート(≒保有国債)は小さくあるべきだと考えています。バランスシートを縮小させれば、政策金利の引き下げは可能だとも。ただ、それは事前に市場に対して十分に周知し、時間をかけて行う意向のようです。
ウォーシュ氏は、パウエル議長やクック理事に対する司法省の捜査については回答しませんでした。なお、FRB人事の凍結を宣言している上院銀行委員会のメンバーで共和党のティリス議員は、司法省が捜査を終了して、代わりに議会が調査をするのであれば、ウォーシュ氏の承認に賛成するとの考えを示したようです。もっとも、現時点で司法省(≒トランプ大統領)が方針を変更する兆しは見当たりません。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
