米ドルが軟調、対カナダドルで約5カ月ぶりの安値
2025/12/24 08:51
【ポイント】
・片山財務相は円安を改めてけん制
・米経済指標で市場のFRB金融政策見通しがどのように変化するか
(欧米市場レビュー)
23日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。欧州時間午前は米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下するなか、一時米ドル/円は155.650円、米ドル/カナダドルは1.36873カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.28448シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17966ドル、英ポンド/米ドルは1.35139ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは7月下旬以来、米ドル/シンガポールドルは9月下旬以来の安値をつけました。
ただその後、米国の7-9月期GDP(国内総生産)速報値が前期比年率4.3%と市場予想の3.2%を上回ると米ドルは反発。米ドル/円は156.500円近辺へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.17600ドル近辺へと下落する場面がありました。
※米GDPの結果について詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米国の7-9月期GDPは好調、10-12月期は?]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
片山財務相は23日の閣議後の記者会見で、足もとの為替相場の動向について「ファンダメンタルズを反映しているとは到底思えない。投機的な動きだ」と指摘。「投機的な動きも含めて行き過ぎた動きに対しては対応をとる。フリーハンドだ」と述べて為替介入も辞さない姿勢を示し、円安を改めてけん制しました。
円安(米ドル/円の上昇)が今後一段と進行した場合、本邦当局は実際に為替介入に踏み切るのか、対応が注目されます。
本日は、米国の先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(日本時間22:30)。新規失業保険申請件数の市場予想は22.3万件と、前週(22.4万件)から若干減少するとみられています。
昨日の米GDPの強い結果を受け、市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)による追加利下げ観測が後退。CMEのFedWatchツールによると、市場が織り込む追加利下げの確率は、26年1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)が22日時点の約2割から15%程度へ、3月までが5割強から5割弱へとそれぞれ低下しました。
新規失業保険申請件数が市場予想よりも強い結果になれば、追加利下げ観測は一段と後退する可能性があります。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移しそうです。
※ユーロ/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/米ドル、もう一段の上値トライとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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外為市場では今週、クリスマス絡みで参加者が減少して流動性が低下すると予想されます。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。本日は、米国の株式市場や債券市場、商品市場は短縮取引です。
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