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メキシコ中銀は利下げ決定、追加利下げにも言及

2025/11/07 09:15

【ポイント】
・米経済指標やFRB副議長らの発言で市場の米金融政策見通しが変化するか
・カナダ雇用統計でBOCの利下げ打ち止め観測が高まるか
・メキシコ中銀は次回12月会合でも利下げ!?

(欧米市場レビュー)

6日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は152.824円、米ドル/シンガポールドルは1.30366シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.15467ドル、英ポンド/米ドルは1.31399ドルへと上昇しました。米国の再就職支援会社チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスによると、同国の10月の企業人員削減数は前月比183%増の15万3074人と、10月としては03年以来22年ぶりの多さとなりました。そのことが米ドルに対する下押し圧力となったようです。

BOE(英中銀)ノルゲバンク(ノルウェー中銀)はいずれも政策金利を4.00%に据え置くことを決定しました。

※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[英中銀は次回利下げ!? ノルウェー中銀は据え置き継続か]をご覧ください。

BOM(メキシコ中銀)は0.25%利下げすることを決定。政策金利を7.50%から7.25%へ引き下げました(*詳細は後述)。

(本日の相場見通し)

米国の11月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)が本日発表されます(日本時間24:00)。ミシガン大学消費者信頼感指数の市場予想は53.2と、10月(確報値)の53.6から低下するとみられています。1年先や5年先のインフレ期待の結果にも注目です。10月のインフレ期待は1年先が4.6%、5年先が3.9%でした(11月分の市場予想なし)。

本日はまた、ジェファーソンFRB(米連邦準備制度理事会)副議長ウィリアムズNY連銀総裁がフランクフルトでそれぞれ講演します。講演でFRBの先行きの金融政策についてのヒントが提供されれば、材料になりそうです。

市場では、FRBは次回12月9-10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が優勢。CMEのFedWatchツールによれば、6日時点で市場が織り込む12月の利下げ確率は約7割です。

ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を上回るなどしてFRBによる追加利下げ観測が後退すれば、米ドル/円や米ドル/シンガポールドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移しそうです。

***

カナダの10月雇用統計が発表されます(日本時間22:30)。その結果にカナダドルが反応しそうです。

BOC(カナダ中銀)は10月29日の政策会合で0.25%の利下げを行い、政策金利を2.50%から2.25%へと引き下げることを決定。声明で利下げについて「(カナダ)経済の弱さが継続し、インフレ率は目標とする2%近辺にとどまると予想されるため」と説明しました。

BOCはまた、「インフレと経済活動が10月の予測とおおむね一致して推移する場合、現在の政策金利はおおむね適切な水準にある」と表明。24年6月に開始された利下げサイクルが終了する可能性が示されました。

本日発表されるカナダの雇用統計の市場予想は、失業率が7.1%、雇用者数が前月比0.25万人減です。市場予想と比べて強い結果になれば、市場ではBOCによる利下げは打ち止めとの観測が高まるとともに、カナダドルにとってのプラス材料になりそうです。

※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、週足チャートで上値抵抗帯突破となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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BOM(メキシコ中銀)は6日に政策会合を開き、0.25%の利下げを行うことを決定しました。BOMによる利下げは11会合連続、24年3月以降12回目。0.25%の利下げは4対1で決定され、ヒース副総裁は直近3会合と同じく政策金利の据え置きを主張して利下げに反対しました。

BOMの声明では利下げする背景として、前回と同じく「為替レートの動向」、「(メキシコの)経済活動の弱さ」、「各国の通商政策の変更が影響する可能性」が挙げられました。

BOMはメキシコ経済について「不確実性と貿易摩擦の環境が引き続き重大な下振れリスクとなっている」と指摘しました。

BOMはCPIコア上昇率(コアインフレ率)について、26年4-6月期までの予測を9月時点から上方修正したものの、目標とする3%に到達する時期の予測は9月時点の26年7-9月期を維持しました。

今後については「政策金利の引き下げを検討する」と表明。さらに利下げする可能性を示しました。BOMの次回会合は12月18日に開催されます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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