RBA会合で豪ドルが堅調、対NZドルで約3年ぶり高値
2025/10/01 09:12
【ポイント】
・ISM製造業景況指数などで市場のFRB金融政策見通しが変化するか
・市場はRBA(豪中銀)の声明をタカ派的と判断!? 追加利下げ観測が後退
(欧米市場レビュー)
9月30日、欧米時間の外為市場では豪ドルが堅調に推移。豪ドル/NZドルは一時1.14132NZドルへと上昇し、22年10月以来およそ3年ぶりの高値を記録。豪ドル/米ドルは0.66229米ドルへと上昇する場面がありました。RBA(豪中銀)は政策金利を3.60%に据え置くことを決定。その結果は市場予想どおりだったものの、RBAの声明を受けて追加利下げ観測が後退し、豪ドルの支援材料となりました(*RBA会合の詳細は後述)。
※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、約3年ぶりの高値を示現!ただし、足もとでは速度超過の状態か]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
米ドルは軟調。一時米ドル/円は147.645円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.17559ドル、英ポンド/米ドルは1.34617ドルへと上昇しました。米政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)への懸念のほか、同国の9月消費者信頼感指数や9月シカゴ購買部協会景気指数が市場予想を下回ったことが、米ドルの重石となりました。結果は消費者信頼感指数が94.2、シカゴ購買部協会景気指数が40.6。市場予想はそれぞれ94.2と43.5でした。
※シャットダウンについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[「シャットダウン」か 雇用(統計)への影響]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
米国の9月ISM製造業景況指数や9月ADP雇用唐統計が本日発表されます。その結果に市場が反応しそうです。
市場予想はISM製造業景況指数が49.0、ADP雇用統計が前月比5.0万人増。ISM製造業景況指数は前月の48.7から上昇するものの、業況判断の分かれ目である50を引き続き下回るとみられています。ADP雇用統計は前月の5.4万人増から伸びが鈍化すると予想されています。
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回10月28-29日と次々回12月9-10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)でそれぞれ0.25%の利下げを行うとの見方が優勢です。
ISM製造業景況指数やADP雇用統計が市場予想を下回る結果になれば、FRBによる利下げ観測が高まるとともに米ドルにとってのマイナス材料になりそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移すると考えられます。
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RBA(豪中銀)は9月30日の政策会合で政策金利を3.60%に据え置くことを決定。会合では、9人の政策メンバー全員が据え置きに賛成しました。
会合の結果判明後、市場ではRBAによる追加利下げ観測が後退。OIS(翌日物金利スワップ)によると、次回11月3-4日の会合での利下げ確率は、結果判明前の5割強から4割弱へと低下しました。市場はRBAの声明をタカ派的な内容と判断したようです。
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声明では、政策金利の据え置きについて「民間需要回復の兆候があること、一部セクターのインフレが粘着的になる可能性があること、労働市場の状況が全体としては安定していることを考慮した」と説明されました。
声明において特に注目したい箇所は3つ。
・「(豪州の)基調インフレ率の低下は鈍化している」と指摘され、前回8月11-12日会合の「インフレは引き続き緩和している」から変化しました。
・「不完全かつ変動が大きいものの最近のデータ(※)は、7-9月期のインフレ率が8月の金融政策報告の予測を上回る可能性があることを示唆している」との見方が示されました。
・「慎重な姿勢を維持することが適切」、「国際的な動向が豪州の経済活動とインフレに重大な影響を及ぼす場合、金融政策は断固たる対応をとることができる態勢にある」と改めて表明されました。ただし、「過去の利下げ(2月以降の合計0.75%の利下げ)の効果が完全に現れるまでには、しばらく時間がかかる」が追加されました。
(※)豪州の8月CPI(消費者物価指数)は前年比3.0%と、前月の2.8%から上昇率が高まり、24年7月以来の高い伸びとなりました。ただし、月次CPIは四半期CPIに含まれる品目の3分の2程度しかカバーしておらず、またRBAは変動が大きいとの認識を示しています。7-9月期CPIは10月29日に発表されます。
会合後の会見におけるブロック総裁の主な発言は以下のとおり。追加利下げが行われるかどうかは今後のデータ次第と考えられます。7-9月期CPIの結果次第では、RBAは次回11月会合で利下げする可能性はありそうです。
・「リスクはおおむね均衡していると判断している」
・「月次CPIの構成項目は予想よりも若干高い」
・「月次CPIは変動が大きいが、(インフレについて)ある程度の情報は得られる」
・「金融政策はやや景気抑制的」
・「過去の金融緩和(利下げ)の効果はまだこれから出てくる」
・「RBAは月次ではなく四半期のCPIトリム平均値に焦点を当てている」
・「さらに数回利下げするかもしれないし、そうしないかもしれない」
・「11月の会合までに得られるデータを踏まえて改めて政策を検討する」
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