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「シャットダウン」か 雇用(統計)への影響

2025/10/01 08:11

【追記】
米連邦政府は米東部時間10月1日0:00をもってシャットダウン(政府機能の一部停止)に入りました。解消のメドは立っていません。

【ポイント】

・米政府がシャットダウンとなる可能性高まる
・土壇場での回避の可能性は残る⁉
・9月雇用統計など政府統計の発表は見送られるかも
・トランプ大統領は連邦職員の解雇を警告

10月1日の米26年度開始まであと数時間となるなか、依然として予算が成立していません(米東部時間9月30日午後7時=日本時間10月1日午前8時現在)。

■9/17付け「米議会最新情勢:シャットダウンの季節??
■9/24付け「いよいよシャットダウンが現実味!?

9月29日のホワイトハウスでのトランプ大統領と両議会首脳の会談は物別れに終わりました。下院では共和党主導で11月21日までの継続(つなぎ)予算が可決されており、土壇場の上院での採決で7人以上の民主党議員が賛成に回れば成立する可能性は残されています(※)。

※上院では法案の採決を行うために100議席中60議席以上の賛成が必要(法案可決は50議席以上)。現在の勢力図は共和党53議席、民主党47議席。

シャットダウンの影響:雇用(統計)
仮に予算が成立しなければ、「シャットダウン」となり、航空管制や安全保障など必要不可欠の機能を除き政府部門は閉鎖されます。短期間であれば市民が不便を感じるだけかもしれませんが、長期化すれば米経済や市場にも影響が出るでしょう。

目先的には、政府の経済統計発表が遅れます。労働省統計局がサービスを停止するので、2日の新規失業保険申請件数や3日の9月雇用統計の発表は見送られるでしょう。来週以降の経済指標も同様です。一方、ADP雇用統計やISM製造業・非製造業景況指数など民間の統計は影響を受けないはずです。

シャットダウンは過去にも起こっており(直近は2018-19年の35日間で過去最長)、市場は比較的冷静に受け止めるでしょう。ただ、今回の事態は通例以上に深刻化するかもしれません。

それはトランプ大統領がシャットダウンによって連邦職員を一時帰休させるだけではなく、大量に解雇すると述べているからです。通常であれば、予算が成立して職場復帰すれば一時帰休中の給料が支払われます。

雇用統計によれば、連邦職員の数は今年1月に301.5万人で直近のピークをつけて減少に転じており、8月までに計9.7万人減少しています。シャットダウンによって減少に拍車がかかりそうです。それ以外でも、連邦政府と取引関係にある民間企業の雇用にも影響が及ぶかもしれません。

連邦職員
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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