BOCは政策金利の据え置き決定! ECB理事会にユーロが反応しそう
2025/06/05 09:15
【ポイント】
・ECB(欧州中銀)の声明や総裁会見を受けて市場のECB金融政策見通しが変化するか
・BOC(カナダ中銀)は今後利下げする可能性に言及
(欧米市場レビュー)
4日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は142.591円、米ドル/カナダドルは1.36517カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.14289ドル、英ポンド/米ドルは1.35747ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは、24年10月上旬以来8カ月ぶりの安値をつけました。米国の5月ADP雇用統計と5月ISM非製造業景況指数が市場予想を下回ったことが、米ドルに対する下押し圧力となりました。
米経済指標の結果は以下のとおり。( )は市場予想です。
・ADP雇用統計(前月比):3.7万人増(11.2万人増)
・ISM非製造業景況指数:49.9(52.0)
ADP雇用統計は23年3月以来の低い伸びでした。ISM非製造業景況指数は業況判断の分かれ目の50を下回り、24年6月以来の低水準となりました。
BOC(カナダ中銀)は政策金利を2.75%に据え置くことを決定。据え置きは2会合連続です(*詳細は後述)。
(本日の相場見通し)
本日は、ECB(欧州中銀)理事会が開かれます。理事会の結果は日本時間21時15分に発表され、同21時45分からラガルドECB総裁が会見する予定です。
ECBは前回4月の理事会まで6回連続(24年6月以降では7回)で利下げを実施。政策金利は現在、ECBが最も重視している下限の中銀預金金利が2.25%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が2.40%、限界貸出金利が2.65%です。
本日の理事会では0.25%の利下げが行われると市場は予想しています。その通りの結果になれば、ECBの声明やラガルド総裁の会見で次回7月以降の金融政策についてどのようなヒントが示されるかに注目です。
7月以降の金融政策について市場では、次回7月24日の理事会で政策金利は据え置かれて、次々回9月11日の理事会でさらに利下げが行われるとの観測があります。
声明やラガルド総裁の会見によってこの観測が後退すれば、ユーロが堅調に推移して、ユーロ/米ドルやユーロ/円、ユーロ/英ポンドは上昇する可能性があります。
※ユーロ/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ユーロ/米ドル、強気シグナルが出現!今夜のECB理事会&ラガルド総裁会見に要注目]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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米国の先週分の新規失業保険申請件数が本日発表されます(日本時間21:30)。その結果が材料になる可能性があります。
新規失業保険申請件数の市場予想は23.5万件と、前回の24.0万件から減少するとみられています。
昨日は、米国のADP雇用統計とISM非製造業景況指数はいずれも市場予想と比べて弱い結果だったことで米ドルに対して下押し圧力が加わりました。新規失業保険申請件数が市場予想に反して弱い結果になれば、米ドルへの下押し圧力は一段と強まるかもしれません。
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BOC(カナダ中銀)は4日に政策会合を開き、政策金利を2.75%に据え置くことを決定しました。BOCは24年6月から25年3月にかけて7会合連続で利下げを行いましたが、前回4月に続いて政策金利を据え置きました。
マックレム総裁の会見では、米国の関税の影響によってカナダ経済が弱まり、インフレ圧力が抑制された場合、追加利下げが必要になる可能性があるとの認識が示されました。今後の状況次第では、BOCは次回7月30日の会合で追加利下げに踏み切るかもしれません。
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BOCは声明で、「米国の関税をめぐる不確実性は依然として高く、カナダ経済は軟調ではあるものの急激に弱まっているわけでもなく、最近のインフレ統計は予想外に強い」と指摘。「米国の貿易政策とその影響についてさらなる情報が得られるまで、政策金利を据え置くことを決定した」と説明しました。
マックレム総裁は会合後の会見で、「米国が引き起こした貿易摩擦は、依然としてカナダ経済が直面する最大の逆風だ」と指摘。「前回4月の会合以降、米政権は様々な関税の引き上げと引き下げを繰り返してきた」とし、「最近の鉄鋼・アルミ関税の引き上げ(25%から50%へ)は、米国の貿易政策が予測不可能なことを明確に示している」と述べました。
マックレム総裁はまた、「米国の関税と不確実性に引き続き直面する中で(カナダ)経済が弱含み、インフレに対するコスト圧力が抑制されれば、政策金利の引き下げが必要になる可能性がある」と発言。一方で「CPI(消費者物価指数)のコア指数(トリム値と中央値)は、基調的なインフレがBOCの予想よりも強い可能性を示している」とし、「今後2回のCPI発表を注視していく」と述べました。
カナダの4月CPIは前年比1.7%と、前月の2.3%から上昇率が鈍化しました。ただ、CPIトリム値は前年比3.1%、CPI中央値は同3.2%と、上昇率はいずれも前月(2.9%と2.8%)から高まり、ともに24年3月以来の高い伸びでした。
BOCの次回会合は7月30日。それまでにCPIは2回(6/24に5月分、7/15に6月分)発表されます。その結果が次回会合における重要な政策判断材料になりそうです。
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