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米中貿易協議を受けて円が軟調、両国は共同声明を発表する予定

2025/05/12 09:08

【ポイント】
・米中共同声明によって両国の貿易摩擦緩和への期待が一段と強まるか
BOE副総裁らの講演を受けて市場のBOE金融政策見通しが変化するか

(欧米市場レビュー)

9日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが軟調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.39398カナダドルへと上昇し、カナダドル/円は103.974円へと下落しました。カナダの4月雇用統計が発表され、失業率が6.9%と市場予想(6.8%)以上に前月の6.7%から悪化しました。これを受けてBOC(カナダ中銀)の追加利下げ観測が高まり、カナダドルに対する下押し圧力となりました。

市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む次回6月4日のBOC会合における利下げ確率は、雇用統計発表前の5割弱から約65%へと上昇しました。

米ドルも対カナダドルを除いて軟調に推移。一時米ドル/円は144.798円へと下落し、ユーロ/米ドルは1.12874ドル、英ポンド/米ドルは1.33174ドルへと上昇しました。米国の長期金利(10年物国債利回り)が軟調に推移したことが、米ドルの重石となりました。

(本日の相場見通し)

米国と中国は10-11日にスイスのジュネーブで貿易問題に関して閣僚級協議を開催。協議終了後、米国のベッセント財務長官は「大きな進展があった」と述べ、中国の何立峰副首相は「米中は新たな経済対話の枠組みを設けることで合意した」と語りました。両国はスイス時間12日午前に共同声明を発表するもようです。

日本時間本日午前の外為市場ではが売られて、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は堅調に推移しています。米中の貿易摩擦緩和期待からリスクオン(リスク選好)が強まったためと考えられます。

共同声明を含めて米中の貿易協議やトランプ関税についての新たなニュースに注目です。新たなニュースによってリスクオンが一段と強まる場合、米ドル/円やクロス円はさらに上値を試す展開になる可能性があります。

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BOE(英中銀)のロンバルデリ副総裁グリーン、マン、テイラーの各政策委員本日講演します。講演の内容に英ポンドが反応する可能性があります。

BOEは5月8日の会合で0.25%の利下げを行うことを決定。0.25%利下げするとの決定は5対4で、ロンバルデリ副総裁とグリーン委員は決定に賛成し、マン委員は政策金利の据え置きを、テイラー委員はより大幅な0.50%の利下げをそれぞれ支持しました。

BOEはその時の声明で「中期的なインフレ見通しに基づけば、ゆっくりと、慎重に、金融政策の抑制度合いを一段と緩める(追加利下げ)アプローチが適切だ」などの認識を示しました。

※BOE会合について詳しくは、9日の『ファンダメ・ポイント』[英中銀は利下げ、8月にも追加利下げ?]をご覧ください。

市場では、BOEは次回6月19日の会合で政策金利を据え置いて、次々回8月7日の会合で0.25%の追加利下げを行うとの見方が優勢です。

本日のロンバルデリ副総裁らの講演によってBOEの追加利下げ観測が後退すれば、英ポンドが堅調に推移しそう。その場合、ユーロ/英ポンド200日移動平均線(12日時点で0.83883ポンドに位置)に向かって下落する可能性があります。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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