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トルコリラ:TCMBは翌日物貸出金利を引き上げ、1週間物レポ入札を停止

2025/03/21 09:31

【ポイント】
TCMB(トルコ中銀)の措置は事実上の金融引き締めと言えそう
・トルコ政治の混乱が続く場合、トルコリラは再び下値を試す可能性も

(欧米市場レビュー)

20日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は148.942円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.08131ドル、豪ドル/米ドルは0.62688米ドル、NZドル/米ドルは0.575210米ドルへと下落しました。米国のフィラデルフィア連銀製造業景況指数などの米経済指標が市場予想と比べて強めの結果だったことが、米ドルの支援材料となりました。

米経済指標の結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数:12.5(8.5)
・先週分の新規失業保険申請件数:22.3万件(22.4万件)
・2月中古住宅販売件数(年率換算):426万件(395万件)

BOE(英中銀)スウェーデン中銀SARB(南アフリカ中銀)はいずれも政策金利を据え置くことを決定しました。

※BOEとスウェーデン中銀の会合については、本日の『ファンダメ・ポイント』[リクスバンクは打ち止め、BOEは見送り]にて詳しく解説していますのでご覧ください。

SARBの会合では6人の政策メンバーのうち4人が政策金利の据え置きに賛成し、2人が0.25%利下げすることを支持しました。クガニャゴ総裁は会合後の会見で、「世界経済は安定しておらず、国内にも不確実性がある。(金融政策において)慎重なアプローチが必要だ」と述べました。

TCMB(トルコ中銀)は緊急会合を開き、翌日物貸出金利を引き上げるとともに、1週間物レポ入札を停止することを決定しました(*詳細は後述)。

(本日の相場見通し)

トルコの検察当局がイマモール・イスタンブール市長を拘束したことで、19日にトルコリラは対米ドルで過去最安値をつけました。※詳しくは、20日の『ファンダメ・ポイント』[トルコリラ急落の背景、一時3.466円に]をご覧ください。

トルコリラを下支えするため、19日にトルコの複数の国営銀行が米ドル売り・トルコリラ買い介入(80億~90億米ドル規模?)を実施したとの報道があります。

TCMBは20日に緊急会合を開き、翌日物貸出金利を44.00%から46.00%へと引き上げるとともに、1週間物レポ入札を停止することを決定しました。1週間物レポ金利と翌日物借入金利はそれぞれ42.50%と41.00%に据え置きました。

TCMBの措置は事実上の金融引き締めと言えそうです。TCMBは1週間物レポ金利を中心に、上限の翌日物貸出金利と下限の翌日物借入金利の範囲内に市場金利を誘導しています。上限である翌日物貸出金利が引き上げられて1週間物レポ金利での資金供給が停止されることで、市場金利は上昇すると考えられます。

TCMBは声明で「金融市場の健全な機能を維持するため、必要と判断すれば追加措置を講じる」、「インフレ見通しの大幅かつ持続的な悪化が予想される場合には、金融政策スタンスを引き締める」と表明しました。

TCMBの措置によってトルコリラ安は一服するかもしれません。ただし、トルコ政治の混乱が続く場合、トルコリラには再び下押し圧力が加わる可能性があります。

***

本日は米国の主要な経済指標はありません。米国の主要国の株価動向が材料になりそうです。本日の日経平均は前営業日の終値から下落して始まったものの、その後プラス圏に転じました。日経平均や上海総合指数、欧州や米国株価が堅調に推移すれば、リスクオン(リスク選好)が強まる可能性があります。リスクオンが強まる場合、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は底堅い展開になりそうです。

日本の2月CPI(消費者物価指数)が本日午前8時30分に発表され、生鮮食品を除いたコア指数は前年比3.0%と、市場予想の2.9%を上回りました。また、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数は同2.6%と、前月の2.5%から上昇率が高まり、24年3月以来の高い伸びとなりました。市場でCPIの結果が意識されれば、日銀の追加利上げ観測が高まってにとってプラス材料になるかもしれません。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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