マネースクエア マーケット情報

日銀は利上げか、総裁会見が材料になりそう

2025/01/24 09:26

【ポイント】
・植田総裁の会見で追加利上げのタイミングについてどのようなヒントが示されるか
・トルコ中銀は2.50%利下げ、今後は利下げ見送りもあり得ることを改めて示唆

(欧米市場レビュー)

23日、欧米時間の外為市場では、米ドルが軟調に推移。一時、米ドル/円は155.746円、米ドル/カナダドルは1.43313カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.04324ドル、英ポンド/米ドルは1.23733ドル、豪ドル/米ドルは0.62947米ドルへと下落しました。トランプ米大統領がダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)の演説で「金利の即時引き下げを要求する」と述べたことが、米ドルの重石となりました。FRB(米連邦準備制度理事会)は28-29日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開きます。市場では政策金利は現行の4.25~4.50%に据え置かれると予想されています。

ノルウェー中銀は政策金利を4.50%に据え置くことを決定。声明では次回3月27日の政策会合で利下げを行う可能性が示されました。

※ノルウェー中銀の会合については、本日24日の『ファンダメ・ポイント』[ノルウェー中銀は据え置き、スウェーデン中銀は利下げへ!?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。

TCMB(トルコ中銀)は2.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を47.50%から45.00%へと引き下げました(*詳細は後述)。

両中銀の会合結果に対し、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナやトルコリラ/円の反応は限定的でした。

(本日の相場見通し)

本日は、日銀の金融政策決定会合が材料になりそうです。会合の結果は通常日本時間正午頃に発表され、15時30分から植田日銀総裁が会見します。

氷見野副総裁は14日に、植田総裁は15日に「23-24日の会合で利上げを行うかどうか検討する」と述べました。そのため、市場では本日の会合で0.25%利上げすることが決定されると予想されています。

植田総裁の会見にも注目です。会見では、これまでと同様に「経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて政策金利を引き上げて金融緩和度合いを調整していく」との方針が示されると考えられます。焦点は、追加利上げのタイミングに関してどのようなヒントが示されるのかどうか。植田総裁の会見が日銀の追加利上げはまだ先と市場が受け止める内容になれば、が軟調に推移して米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は上昇しそうです。

23日の『ファンダメ・ポイント』は、[日銀金融政策決定会合プレビュー:植田総裁のメッセージは?]です。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[本日、注目の日銀会合&植田総裁会見!米ドル/円の相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

***

米国の1月S&PグローバルPMI(購買担当者景気指数)速報値24年12月中古住宅販売件数12月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値が本日発表されます。

市場予想は以下の通りです。
・製造業PMI:49.7
・サービス部門PMI:56.5
・中古住宅販売件数:年率換算419万件
・ミシガン大学消費者信頼感指数:73.2

これらが市場予想からかい離する結果になれば材料になりそうです。市場予想を上回る結果だった場合、米ドルにとってプラスになると考えられます。

***

TCMB(トルコ中銀)は23日に政策会合を開き、2.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を47.50%から45.00%へと引き下げました。利下げは2会合連続で、利下げ幅は前回と同じでした。

TCMBは声明で利下げについて「24年10-12月期の指標は、内需がディスインフレの水準にあることを示唆している」、「インフレ期待と企業の価格設定行動が改善傾向にある」ためと説明しました。

声明はまた、「24年12月のインフレ率の基調は低下したものの、先行指標は予想通り(基調は)25年1月に上昇することを示唆している」と指摘しました。

今回の声明では、引き締め的な金融政策スタンスを維持する条件が修正されました。従来は「月次のインフレ率の基調が大幅かつ持続的に鈍化し、インフレ期待が予測範囲に収束するまで」でしたが、今回は「インフレ率の持続的な鈍化によって物価の安定が達成されるまで」になりました。この修正は、インフレ率の基調が1月に上昇する可能性があるためと考えられます。

声明は金融政策の先行きについて、前回24年12月の会合時と同様に「政策金利の水準は、予想されるディスインフレの道筋に必要な引き締めを確保するように決定される」、「インフレ見通しに焦点を当て、会合ごとに慎重に決定を下す」と表明されました。追加利下げは経済指標次第であり、今後の会合では利下げを見送ることもあり得ることが改めて示されました。

TCMBの次回会合は3月6です。TCMBの会合は24年まで年12回(毎月)開かれていましたが、25年は年8回開かれます。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ