豪ドル:豪CPIに反応するか
2024/06/26 09:15
【ポイント】
・米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局は介入するか
・豪CPIで市場のRBA政策金利見通しが変化するか
(欧米市場レビュー)
25日、欧米時間の外為市場では、米ドルが堅調に推移。一時、米ドル/円は159.710円へと上昇し、ユーロ/米ドルは1.06893ドル、英ポンド/米ドルは1.26681ドル、豪ドル/米ドルは0.66337米ドルへと下落しました。ボウマンFRB(米連邦準備制度理事会)理事のタカ派的な発言が米ドルの支援材料となりました。
ボウマン理事は講演で「利下げが適切な段階にはまだ達していない」、「政策金利をしばらく据え置けば、インフレ率は2%に戻るとの見通しを維持している」、「インフレ(鈍化)の進展が停滞、もしくは反転した場合、今後の会合で利上げすることをいとわない」などと述べました。
カナダドルも堅調。一時、米ドル/カナダドルは1.36235カナダドルへと下落し、カナダドル/円は116.991円へと上昇しました。カナダの5月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ったことを受けて、BOC(カナダ中銀)の利下げ観測が市場で後退し、カナダドルの支援材料となりました。
カナダの5月CPIの結果は以下の通り。( )は市場予想です。
・総合:前年比2.9%(2.6%)
・トリム平均値:同2.9%(2.8%)
・加重中央値:同2.8%(2.6%)
トリム平均値と加重中央値の上昇率が前月から高まったのは、23年12月以来5カ月ぶりです。
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マックレムBOC総裁は5日の政策会合後の会見で、「インフレ率が引き続き鈍化し、インフレ率が持続的に2%の目標に向かうとの確信が一段と強まるなら、追加利下げを予想するのが妥当だ」と述べ、追加利下げの可能性に言及。追加利下げのタイミングについては「データ次第」としました。
BOCの次回会合(7/24)までにCPIはもう一回発表されます(7/16に6月分)。6月CPIの結果も見る必要があるものの、5月CPIの結果によってBOCが次回会合で利下げする確率は低下したと考えられます。
(本日の相場見通し)
米国の5月新築住宅販売件数が発表されます(日本時間23:00)。新築住宅販売件数の市場予想は年率換算で63.3万件と、4月の63.4万件とほとんど変わらないとみられています。市場予想からかい離する結果になれば、材料になる可能性があります。
米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向にも注目です。米長期金利が上昇する場合、米ドルが堅調に推移して、米ドル/円は上値を試し、一方でユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは下値を試す展開になりそうです。
米ドル/円の上昇に弾みがつく場合、本邦当局の対応(米ドル売り・円買い介入に踏み切るか)に引き続き注目です。神田財務官は24日に「投機などに基づいて過度な(為替)変動があった場合には、適切な行動をいつでも取る用意がある」などと述べ、必要なら介入するとの姿勢を示しました。
※本日の『ファンダメ・ポイント』は、[米財務省為替報告、「監視リスト」の真実]です。
本日、ECB(欧州中銀)のレーン専務理事とパネッタ専務理事、レーン・フィンランド中銀総裁、カザークス・ラトビア中銀総裁が講演します。
市場では9月の理事会で追加利下げが行われるとの見方が有力な一方、ECB理事会メンバーの多くは追加利下げに慎重な姿勢を示しています。レーン専務理事らの講演でECBの金融政策の先行きについて新たな手掛かりが提供されれば、ユーロが反応しそうです。
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豪州の5月CPI(消費者物価指数)が発表されます(日本時間10:30)。CPIの市場予想は前年比3.8%と、上昇率は4月の3.6%から高まるとみられています。
月次のCPIがカバーする品目は四半期のCPIの3分の2程度であり、そのことに留意する必要があります。RBA(豪中銀)の金融政策においては四半期のCPI(4-6月期分は7月31日に発表)の方が、より重要と考えられます。
それでも、本日発表の6月のCPIが市場予想を上回る結果になれば、RBA(豪中銀)の利下げ観測が後退する可能性があります。その場合には豪ドルが堅調に推移して、豪ドル/円や豪ドル/NZドルは上昇しそうです。
※豪ドル/NZドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[豪ドル/NZドル、上値抵抗帯ブレークとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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