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米財務省為替報告、「監視リスト」の真実

2024/06/26 07:57

【ポイント】
・日本が監視リストに入ったのは、経常黒字と貿易黒字が大きかったから
・自国通貨買い(米ドル売り)の為替介入は批判されず
・ただし、同報告は「為替介入は異例の措置であり、適切に協議されるべき」と指摘

米財務省は20日、日本を為替操作「監視リスト」対象に再指定しました。これは、財務省が議会に提出した「主要貿易相手国のマクロ経済と外国為替の政策」と題する半年に1度の報告書でのこと。

為替操作国と認定する3つの基準を全て満たした国はなく、日本は2つを満たしたとして「監視リスト」の対象となりました(※)。16年の同報告書の開始以来、日本が対象から外れたのは23年11月の1度だけとのこと。
※前回23年11月の報告ではスイスが3つの基準を満たしました。今回「監視リスト」に入ったのは、日本のほか、中国、台湾、マレーシア、シンガポール、ベトナム、ドイツ

3つの基準とは:
・当該国の対米貿易黒字が150億ドル以上
・当該国の経常黒字がGDP比3%以上
外貨買い(自国通貨売り)が1年のうち8カ月で継続的に行われており、1年間の購入額がGDPの2%以上

同報告書によれば、日本の直近1年間の対米貿易黒字は620億ドル、経常黒字はGDP比3.6%であり、上記基準を満たしています。しかし、日本による外貨買い(円売り)はゼロでした。

同報告書は冒頭のサマリーで、「主要貿易相手国の為替介入のほとんどは米ドル売りであり、自国通貨を強め、米ドルを弱める行動だ。したがって、23年の年間を通して、経常収支の均衡化を妨げたり、貿易優位性を不公正に獲得したりする目的で為替を操作した国はなかった」と指摘。

また、日本の項で、「日本は24年4月と5月に為替介入を行った。円を買い、米ドルを売ったことで円の価値は強まった」と指摘。ただし、「為替介入は、たいへん特別な状況のためのものであり、適切に協議されるべきものである」と釘を刺したうえで、「日本は介入実績を毎月公表しており、為替介入に関しては非常に透明である」と締めくくっています。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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