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FOMC議事録:最近のデータではインフレ低下への自信を深めていない!

2024/04/11 06:33

【ポイント】
・議事録はタカ派的。インフレのリスクを警戒
・市場の利下げ予想は後ズレ、メインシナリオは「9月に利下げ開始」!?
・米長期金利は一時4.57%、米ドル/円は一時153円台

米FOMC議事録(3/18-19開催分)は、インフレ再燃のリスクを警戒したタカ派的内容でした。米長期金利(10年物国債利回り)は一時4.57%をつけ、CPI発表後に152円台に上昇していた米ドル/円153円台に乗せました(日本時間11日午前6時30分現在、以下同じ)。本日の本邦当局の対応(為替介入のあるなし)が大いに注目されます。

足もとのOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む5月FOMCでの利下げ確率は3%、6月までで2割弱、7月までで5割弱。9月までで9割です。市場のメインシナリオ(確率5割超)はCPI発表前までの「6月利下げ開始」から「9月利下げ開始」へと大きく後ズレしています。

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FOMC議事録で注目されたのは以下のポイントです。

FOMC参加者(全員)が政策金利はピークに達した公算が大きいとし、参加者のほぼ全てが年内に利下げを行うのが適切になると判断しました。

ただし、先行きの政策に関して、参加者(ほぼ全員?)は、最近のデータではインフレが持続的に2%に向かっているという自信を深めていないと指摘しました。さらに、数人の参加者は、地政学的リスクが供給のボトルネックや輸送コストの上昇につながる可能性があると判断。景気の下押しリスクになるとともに、エネルギー価格の上昇がインフレの上方リスクになっていると指摘しました。

■10日21:56配信の「【速報】米CPIは上振れ、7月FOMCの利下げも微妙に⁉」もご覧ください。

また、数人の参加者は、金融状況の引き締まり度合いが不透明であり、期待しているよりも景気抑制的でなければ、総需要の伸びを促進し、インフレの上昇圧力になり得ると指摘しました。

「移民」という言葉が5カ所に登場したことも興味深いです(1月の議事録では1カ所のみ)。
・スタッフによる経済見通しの上方修正は、「移民」の増加による人口推計の上方修正を反映しているとのこと。
・「移民」の増加が個人消費を押し上げており、住宅需要を高めている可能性もあると指摘されたこと。
・労働力人口の増加は、労働参加率の上昇に加えて移民の増加にも起因しているとのこと。
・雇用が力強く増加しても、失業率が横ばいで賃金上昇率が鈍化しているのは、「移民」の増加によるとの指摘があったこと。
・ただし、最近の「移民」増加のトレンドがどの程度、労働力、総需要などに影響を与えているかを評価するのは難しいとのこと。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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