マネースクエア マーケット情報

政策会合でユーロや英ポンド、メキシコペソが上昇

2023/12/15 09:13

【ポイント】
ECB総裁の発言で利下げ観測が後退し、ユーロが堅調
・BOEの声明で英ポンドが堅調
・メキシコ中銀は利下げを示唆せず

(欧米市場レビュー)

14日の欧米時間の外為市場では、ユーロが堅調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.10039ドル、ユーロ/円は156.000円へと上昇しました。ラガルドECB(欧州中銀)総裁が理事会後の会見で、「我々は絶対に警戒を下げてはならない」「(理事会で)利下げについて議論しなかった」と発言。これを受けて早期の利下げ観測が市場で後退し、ユーロの支援材料となりました。ECB理事会では、政策金利(中銀預金金利)を4.00%に据え置くことが決定されました。政策金利の据え置きは2会合連続です。

英ポンドも堅調。一時、英ポンド/米ドルは1.27888ドル、英ポンド/円は181.147円へと上昇しました。BOE(英中銀)は政策金利を5.25%に据え置くことを決定。これは市場予想通りの結果です。

BOEは声明で「金融政策は長期間、(景気)抑制的にする必要がある可能性が高い」「インフレ圧力がさらに持続する証拠があれば、金融政策のさらなる引き締めが必要になる」と表明。また、会合では9人の政策メンバーのうち3人が0.25%の利上げを支持しました。これらが英ポンドを押し上げました。

※ECBとBOEの政策会合については、本日15日の『ファンダメ・ポイント』[米ドル独り負け、BOEとECBはFRBに追随せず⁉]で解説しています。

BOM(メキシコ中銀)は政策金利を11.25%に据え置くことを決定しました(後述)。

(本日の相場見通し)

上述のラガルドECB総裁の発言やBOEの声明が、市場で引き続き意識される可能性があります。ユーロと英ポンドは対米ドルや対円で上値を試す展開になるかもしれません。

米国の12月NY連銀製造業景気指数や12月PMI(購買担当者景気指数)速報値が本日発表されます。

市場予想は以下の通りです。
・NY連銀製造業景気指数:2.0
・総合PMI:50.5
・製造業PMI:49.3
・サービス部門PMI:50.6

FRB(米連邦準備制度理事会)が早期に利下げするとの観測から、米ドル安圧力が加わりやすいと考えられます。NY連銀製造業景気指数やPMIが市場予想を下回る結果になれば、米ドル安圧力は一段と強まる可能性があります。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試す展開になりそうです。

※米ドル/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[米ドル/円、フェーズ(局面)転換となり得るポイントは?]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

マックレムBOC(カナダ中銀)総裁が講演する予定です。BOCの金融政策の先行きについて6日の政策会合時の声明以上の材料が講演で提供されれば、カナダドルが反応しそうです。

※BOCの政策会合の声明については、7日の『デイリーフラッシュ』で解説しています。

******

BOM(メキシコ中銀)は14日に政策会合を開き、政策金利を11.25%に据え置くことを決定。据え置きは6会合連続です。

BOMのヒース副総裁は11月17日に「24年2月か3月から、1~3回利下げする可能性がある」と発言。ロドリゲス総裁は11月29日に「24年早々に利下げの議論を開始する可能性がある」と語っていました。

今回の声明では、利下げは示唆されませんでした。BOMの政策会合の結果発表後、メキシコペソが上昇しました。

***
政策金利を据え置くとの決定は、5人の政策メンバー全員一致でした。

声明における金融政策の先行きに関する文言は、前回11月の会合から変化なし。「政策金利はしばらくの間、現在の水準に維持する必要がある」とされました。

声明は「ディスインフレ(インフレ率が低下していく状態)のプロセスが進展している」との認識を示しつつも、「見通しは引き続き厳しい」と指摘。また、「予測期間内のインフレの軌道に対するリスクバランスは、依然として上向きに偏っている」との評価に変化はありませんでした。

***
メキシコの11月CPI(消費者物価指数)の総合指数は前年比4.32%と、上昇率は10月の4.26%から高まりました。ただ、総合指数の上昇率が高まったのは10カ月ぶりであり、また変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は前年比5.30%と、21年10月以来の低い伸びでした。

BOMはいずれ利下げを行うとみられるものの、今回の声明を受けて利下げ観測はいったん後退すると考えられます。メキシコペソにとってプラスになりそうです。

メキシコのCPI(前年比)

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

  • 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
  • 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
  • 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
  • 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
topへ