米ドル独り負け、BOEとECBはFRBに追随せず⁉
2023/12/15 07:39
【ポイント】
・BOEとECBも政策金利据え置きを決定
・利下げに言及したパウエル議長と異なり、両総裁はインフレ警戒を強調
・19日の日銀会合の結果に注目!
BOEは9人中3人が追加利上げを支持
BOE(英中銀)は14日、MPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を5.25%に据え置きました。9人の委員のうち3人が0.25%の利上げを支持。利上げ支持は前回11月の4人から1人減りましたが、それでもインフレ警戒が強いことを示しました。
声明文では、インフレ抑制のために政策金利は「十分に長い期間、十分に抑制的(であり続ける)」とし、インフレ圧力が高止まりするならば、追加利上げの可能性があるとされました。また、ベイリー総裁は、インフレ抑制のために「まだ進むべき道のりがある」と述べ、FRBと異なり利下げの検討段階ではないことを示唆しました。
ECBは利下げの議論をせず
ECBはBOEの結果判明の1時間15分後に理事会の結果を発表。政策金利(中銀預金金利)を4.00%に据え置きました。声明文からは、インフレが「高過ぎる期間が長く続き過ぎると予想する」との文言が消え、代わってインフレが「来年を通してゆっくりと低下する」が追加されました。
ただし、ラガルド総裁は、企業利益や賃金交渉の面でインフレ高進のリスクがあると指摘し、賃金上昇圧力について「今のところ低下していない」と述べました。また、総裁は「我々は絶対にガード(警戒)を下げてはならない」と述べ、利下げの議論を全くしなかったことを明らかにしました。
利下げ観測は、FRB≧ECB>BOEに
パウエル議長が13日(日本時間14日)の会見で「利下げのタイミングを討議した」と述べたことで、主要中銀の利下げ観測が高まりましたが、BOEやECBの会合結果はそれをやや押し戻した格好です。
14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む24年11月までのメインシナリオ(確率50%超)は以下の通り。
FRB:24年3月-9月に5会合連続で0.25%の利下げ
ECB:同3月に利下げを開始し、10月までに0.25%×5回の利下げ
BOE:同5月に利下げを開始し、11月までに0.25%×4回の利下げ

なお、24年11月の会合(ECBは10月)までに市場が予想する利下げ幅は、FRBが拡大したため、14日時点で、「FRB≧ECB>BOE」となりました。

BOEやECBだけでなくFRBに関しても、市場の利下げ観測はやや行き過ぎの感が否めません。ただ、今後の経済情勢がどう変化して市場の観測を後押しするのか、それとも修正を迫るのか、見守るべきでしょう。
*******
FOMC後に大きく下げた米長期金利(10年物国債利回り)は14日に一時3.88%まで低下。それもあって、米ドル/円は一時141円割れを示現、その後も軟調に推移しています。一方で、ユーロ/円や英ポンド/円はNY市場で反発しました。来週19日の日銀金融政策決定会合(と総裁会見)を受けてクロス円がどう動くか、大いに注目です。

■本日配信予定のM2TVグローバルView(YouTube)でも、中銀会合の結果と来週のBOJ会合について解説しますので、ぜひご覧ください。
・BOEとECBも政策金利据え置きを決定
・利下げに言及したパウエル議長と異なり、両総裁はインフレ警戒を強調
・19日の日銀会合の結果に注目!
BOEは9人中3人が追加利上げを支持
BOE(英中銀)は14日、MPC(金融政策委員会)を開催して政策金利を5.25%に据え置きました。9人の委員のうち3人が0.25%の利上げを支持。利上げ支持は前回11月の4人から1人減りましたが、それでもインフレ警戒が強いことを示しました。
声明文では、インフレ抑制のために政策金利は「十分に長い期間、十分に抑制的(であり続ける)」とし、インフレ圧力が高止まりするならば、追加利上げの可能性があるとされました。また、ベイリー総裁は、インフレ抑制のために「まだ進むべき道のりがある」と述べ、FRBと異なり利下げの検討段階ではないことを示唆しました。
ECBは利下げの議論をせず
ECBはBOEの結果判明の1時間15分後に理事会の結果を発表。政策金利(中銀預金金利)を4.00%に据え置きました。声明文からは、インフレが「高過ぎる期間が長く続き過ぎると予想する」との文言が消え、代わってインフレが「来年を通してゆっくりと低下する」が追加されました。
ただし、ラガルド総裁は、企業利益や賃金交渉の面でインフレ高進のリスクがあると指摘し、賃金上昇圧力について「今のところ低下していない」と述べました。また、総裁は「我々は絶対にガード(警戒)を下げてはならない」と述べ、利下げの議論を全くしなかったことを明らかにしました。
利下げ観測は、FRB≧ECB>BOEに
パウエル議長が13日(日本時間14日)の会見で「利下げのタイミングを討議した」と述べたことで、主要中銀の利下げ観測が高まりましたが、BOEやECBの会合結果はそれをやや押し戻した格好です。
14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場が織り込む24年11月までのメインシナリオ(確率50%超)は以下の通り。
FRB:24年3月-9月に5会合連続で0.25%の利下げ
ECB:同3月に利下げを開始し、10月までに0.25%×5回の利下げ
BOE:同5月に利下げを開始し、11月までに0.25%×4回の利下げ

なお、24年11月の会合(ECBは10月)までに市場が予想する利下げ幅は、FRBが拡大したため、14日時点で、「FRB≧ECB>BOE」となりました。

BOEやECBだけでなくFRBに関しても、市場の利下げ観測はやや行き過ぎの感が否めません。ただ、今後の経済情勢がどう変化して市場の観測を後押しするのか、それとも修正を迫るのか、見守るべきでしょう。
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FOMC後に大きく下げた米長期金利(10年物国債利回り)は14日に一時3.88%まで低下。それもあって、米ドル/円は一時141円割れを示現、その後も軟調に推移しています。一方で、ユーロ/円や英ポンド/円はNY市場で反発しました。来週19日の日銀金融政策決定会合(と総裁会見)を受けてクロス円がどう動くか、大いに注目です。

■本日配信予定のM2TVグローバルView(YouTube)でも、中銀会合の結果と来週のBOJ会合について解説しますので、ぜひご覧ください。
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