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メキシコペソ:CPIが材料になる可能性あり

2023/12/07 09:10

【ポイント】
・メキシコCPIでメキシコ中銀の利下げ観測が高まるか
・BOC(カナダ中銀)は追加利上げの可能性を残すも、利上げサイクルは終了!?

(欧米市場レビュー)

6日の欧米時間の外為市場では、ユーロが軟調に推移。一時、ユーロ/米ドルは1.07572ドル、ユーロ/円は158.367円、ユーロ/英ポンドは0.85512ポンドへと下落。ユーロ/英ポンドは、9月6日以来3カ月ぶりの安値をつけました。ECB(欧州中銀)は24年春に利下げを行うとの観測や、ドイツの10月製造業新規受注が前月比マイナス3.7%と、市場予想(プラス0.2%)を下回ったことが、ユーロに対する下押し圧力となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(日本時間22:30)。新規失業保険申請件数の市場予想は22.2万件と、前回の21.8万件から増加するとみられています。市場予想よりも多い結果になれば、米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルは下値を試し、一方で豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは上値を試す展開になる可能性があります。

米国の長期金利(10年物国債利回り)は6日に一時4.10%へと低下し、9月1日以来およそ3カ月ぶりの低い水準をつけました。米国の11月ADP雇用統計が前月比10.3万人増と、市場予想の13.0万人増を下回ったことが、米長期金利低下の主な要因です。

このところ、米長期金利の低下に対する市場の反応は鈍くなっている感があります。ただ、米長期金利の低下が続く場合、そのことが市場で意識されて米ドルに対して下押し圧力が加わる可能性があります。

※ADP雇用統計については、本日の『ファンダメ・ポイント』[ADP雇用統計の読み方:労働市場は減速!?]で詳しく解説しています。

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メキシコの11月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:00)。CPIの市場予想は、総合指数が前年比4.40%、変動の大きい食品やエネルギー価格を除いたコア指数が同5.34%と、いずれもBOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き上回るとみられています。

BOMは、前回11月9日の政策会合で政策金利を11.25%に据え置きました(据え置きは5会合連続)。その後、BOMの政策メンバーは利下げに言及しました。ヒース副総裁は11月17日に「24年2月か3月から、1~3回利下げする可能性がある」と発言。ロドリゲス総裁は11月29日に「24年早々に利下げの議論を開始する可能性がある」と語りました。BOMの次回政策会合は12月14日、その次は24年2月に開かれる予定です。

本日発表のCPIが市場予想を下回る結果になれば、市場ではBOMの利下げ観測が高まるとともに、メキシコペソは上値が重くなりそうです。

※メキシコペソ/円のテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[メキシコペソ/円、下値しっかりの動きが継続するか]をご覧ください(マイページへのログインが必要です)。

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BOC(カナダ中銀)は6日に政策会合を開き、政策金利を5.00%に据え置くことを決定しました。据え置きは3会合連続です。

BOCは声明で、「依然としてインフレ見通しへのリスクを懸念しており、必要なら政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明。追加利上げの可能性を残すとともに、「コアインフレのさらなる持続的な鈍化を望んでいる」としました。BOCは、CPI(消費者物価指数)のトリム平均値と加重中央値をコアインフレ指標として注視しています。10月のトリム平均値は前年比3.5%、加重中央値は同3.6%と、それぞれ21年11月以来、21年12月以来の低い伸びでした。

声明は一方で、「金利の上昇が明らかに支出を抑制している」との見方を示し、「労働市場は引き続き緩和しており、求人はさらに減少し、失業率は緩やかに上昇している」と指摘。「10-12月期のデータは、経済がもはや需要超過ではないことを示唆している」としました。

今回の声明では、前回10月の会合時にあった
「物価安定に向けた進展は遅く、インフレリスクが高まっている」が削除されました。

市場では、BOCの利上げサイクルはすでに終了したとの見方が大勢。市場の関心は“いつまで政策金利を据え置いて、いつ利下げに転じるか”に移っています。24年3月に利下げが行われるとの観測もあります。

BOCは追加利上げの可能性を残したものの、声明全体をみると利上げサイクルは終了した可能性が高そうです。ただし、利下げについての言及はありませんでした。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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