ADP雇用統計の読み方:労働市場は減速!?
2023/12/07 08:13
【ポイント】
・11月のADP雇用統計は10.3万人増と弱め
・8日発表のNFP(非農業部門雇用者数)とは月々の誤差は大きいものの・・
・雇用の軟調はベージュブックでも指摘された
米国の11月のADP雇用統計(以下、ADP統計)では、民間雇用が前月比10.3万人増と市場予想(13.0万人増)を下回りました。10月分は当初発表の11.3万人増から10.6万人増に下方修正されました。
業種別にみると、「小売・物流・輸送」や「教育・ヘルスサービス」で雇用が伸びる一方で、コロナ禍後の雇用の回復を支えてきた「娯楽・ホテル・レストラン」で21年2月以来の減少となりました。また、UAW(全米自動車労組)のストライキからの職場復帰があった(はずの)製造業でも雇用は減少しました。

ADP統計は、商務省が発表する雇用統計の2日前に発表され、雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)と同様の方式で雇用(≒給料の数)をカウントするため、NFPを占う材料となります。しかし、月々の誤差が大きいため、あくまでも参考にとどめておくべきでしょう。
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ADP統計は民間部門のみの雇用をカウントするため、NFP民間と比較しました(いずれも当初発表データで、後々の改定前)。

21年1月-23年10月の両者の誤差は平均4.3万人(ADP統計<雇用統計)。とりわけ、23年1-10月の誤差は平均500人でした。ただし、月々の誤差は大きく、23年1月はNFP民間がADP統計を33.7万人上回り、逆に6月は34.8万人下回りました。誤差の標準偏差は21年1月-23年10月で18.6万人、23年1-10月でも18.1万人でした。つまり、11月のNFP民間は約7割の確率で8万人減-29万人増になると考えられます。換言すれば、約3割の確率で、8万人以上減少するか29万人以上増加するということです。これではあまり役に立つ予測とは言えません。
そうであっても、ADP統計が示唆した雇用の低調は最新のベージュブックでも指摘されています。8日発表の雇用統計ではUAWのストライキからの職場復帰が約3万人程度と推計されるものの、力強い雇用の伸びはあまり期待できないでしょう。
・11月のADP雇用統計は10.3万人増と弱め
・8日発表のNFP(非農業部門雇用者数)とは月々の誤差は大きいものの・・
・雇用の軟調はベージュブックでも指摘された
米国の11月のADP雇用統計(以下、ADP統計)では、民間雇用が前月比10.3万人増と市場予想(13.0万人増)を下回りました。10月分は当初発表の11.3万人増から10.6万人増に下方修正されました。
業種別にみると、「小売・物流・輸送」や「教育・ヘルスサービス」で雇用が伸びる一方で、コロナ禍後の雇用の回復を支えてきた「娯楽・ホテル・レストラン」で21年2月以来の減少となりました。また、UAW(全米自動車労組)のストライキからの職場復帰があった(はずの)製造業でも雇用は減少しました。

ADP統計は、商務省が発表する雇用統計の2日前に発表され、雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)と同様の方式で雇用(≒給料の数)をカウントするため、NFPを占う材料となります。しかし、月々の誤差が大きいため、あくまでも参考にとどめておくべきでしょう。
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ADP統計は民間部門のみの雇用をカウントするため、NFP民間と比較しました(いずれも当初発表データで、後々の改定前)。

21年1月-23年10月の両者の誤差は平均4.3万人(ADP統計<雇用統計)。とりわけ、23年1-10月の誤差は平均500人でした。ただし、月々の誤差は大きく、23年1月はNFP民間がADP統計を33.7万人上回り、逆に6月は34.8万人下回りました。誤差の標準偏差は21年1月-23年10月で18.6万人、23年1-10月でも18.1万人でした。つまり、11月のNFP民間は約7割の確率で8万人減-29万人増になると考えられます。換言すれば、約3割の確率で、8万人以上減少するか29万人以上増加するということです。これではあまり役に立つ予測とは言えません。
そうであっても、ADP統計が示唆した雇用の低調は最新のベージュブックでも指摘されています。8日発表の雇用統計ではUAWのストライキからの職場復帰が約3万人程度と推計されるものの、力強い雇用の伸びはあまり期待できないでしょう。
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