継続予算を巡る米議会の動向+ご質問への回答
2023/11/13 08:34
【ポイント】
・11月17日に継続(つなぎ)予算が期限切れ
・新任のジョンソン下院議長は穏健な継続予算を提案
・シャットダウンが回避されても、議会の混乱は続きそう
・M2TV(YouTube)のご質問への回答
米国の24年度開始前日の9月30日に成立した継続(つなぎ)予算が、17日深夜(日本時間18日午後2時)に期限切れとなります。それまでに新たな予算措置がとられなければ、短期間だとしてもシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。
シャットダウンが短期であれば、一部の一般市民が不便を感じる程度の影響しかなさそうです。ただし、長期化した場合は、マクロ経済にも下押し圧力が加わりそうです。また、予算交渉が難航すれば、共和党と民主党の対立や共和党の内部抗争がますます先鋭化する可能性もあるでしょう。今後の展開には注意が必要です。
*******
継続予算に関して民主党と妥協したマッカーシー下院議長は10月3日に解任されました。後任がなかなか決まらず、4人目の候補としてジョンソン議員が議長に選出されたのは10月25日でした。ジョンソン議長はトランプ前大統領の支持を受けた保守派で、議員経験が浅く、民主党との交渉のみならず共和党内の掌握にも苦戦しているようです。
ジョンソン下院議長は10日、新たな継続予算を提案しました。本予算は12本の歳出法から成り立っていますが、ジョンソン議長の提案は、12本のうち5本に関して1月19日まで、国防省など審議が難航しそうな残り7本について2月2日までの継続予算とするもの。バイデン政権が求めているウクライナやイスラエルへの支援は含まれず、一方で共和党の保守強硬派が主張する大幅な歳出削減や移民法の厳格化なども含まれていません。
保守強硬派の反対が予想され、新たな継続予算が下院で可決されるためには民主党の賛成が必要となりそうです。それがさらに保守強硬派の反発を招くかもしれません。一方で、継続予算に保守強硬派を懐柔するような修正がなされれば、民主党が過半数を占める上院での可決が難しくなりそうです。
仮に、再び短期の継続予算を成立させることができても、議会の混乱は収まりそうもありません。来年1月には予備選が始まる大統領選挙にも影を落とす可能性があり、議会動向からも目が離せません。
大手格付け会社ムーディーズは10日、米国債の格付けAaaの見通しを「安定」から「ネガティブ」に変更しました。今後の状況によっては格付けを引き下げる可能性があるという意味です。ムーディーズは変更の理由として、財政の健全性に関するリスクや政治の分極化を挙げました。予算交渉が難航するようだと、ムーディーズが格下げを行う可能性が高まりそうです。なお、S&Pは11年8月に、フィッチは今年8月にそれぞれ米国債の格付けを最上級から1段階引き下げています。
【M2TVグローバルView(YouTube)】のご質問への回答
11月10日のグローバルView「構造的円安 vs 循環的円高 米ドル/円の中期的イメージ」で以下のような質問をいただきました。
28年7月の126円という値は何か計算式みたいなものがあるのでしょうか? 「大雑把に」とのことでしたが、もし計算式のようなものがあれば教えていただきたいです。
9日付けのファンダメ・ポイント「中期的な米ドル/円のイメージ」で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。8日付けファンダメ・ポイント「構造的円安 vs 循環的円高」もご参考まで。
・11月17日に継続(つなぎ)予算が期限切れ
・新任のジョンソン下院議長は穏健な継続予算を提案
・シャットダウンが回避されても、議会の混乱は続きそう
・M2TV(YouTube)のご質問への回答
米国の24年度開始前日の9月30日に成立した継続(つなぎ)予算が、17日深夜(日本時間18日午後2時)に期限切れとなります。それまでに新たな予算措置がとられなければ、短期間だとしてもシャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。
シャットダウンが短期であれば、一部の一般市民が不便を感じる程度の影響しかなさそうです。ただし、長期化した場合は、マクロ経済にも下押し圧力が加わりそうです。また、予算交渉が難航すれば、共和党と民主党の対立や共和党の内部抗争がますます先鋭化する可能性もあるでしょう。今後の展開には注意が必要です。
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継続予算に関して民主党と妥協したマッカーシー下院議長は10月3日に解任されました。後任がなかなか決まらず、4人目の候補としてジョンソン議員が議長に選出されたのは10月25日でした。ジョンソン議長はトランプ前大統領の支持を受けた保守派で、議員経験が浅く、民主党との交渉のみならず共和党内の掌握にも苦戦しているようです。
ジョンソン下院議長は10日、新たな継続予算を提案しました。本予算は12本の歳出法から成り立っていますが、ジョンソン議長の提案は、12本のうち5本に関して1月19日まで、国防省など審議が難航しそうな残り7本について2月2日までの継続予算とするもの。バイデン政権が求めているウクライナやイスラエルへの支援は含まれず、一方で共和党の保守強硬派が主張する大幅な歳出削減や移民法の厳格化なども含まれていません。
保守強硬派の反対が予想され、新たな継続予算が下院で可決されるためには民主党の賛成が必要となりそうです。それがさらに保守強硬派の反発を招くかもしれません。一方で、継続予算に保守強硬派を懐柔するような修正がなされれば、民主党が過半数を占める上院での可決が難しくなりそうです。
仮に、再び短期の継続予算を成立させることができても、議会の混乱は収まりそうもありません。来年1月には予備選が始まる大統領選挙にも影を落とす可能性があり、議会動向からも目が離せません。
大手格付け会社ムーディーズは10日、米国債の格付けAaaの見通しを「安定」から「ネガティブ」に変更しました。今後の状況によっては格付けを引き下げる可能性があるという意味です。ムーディーズは変更の理由として、財政の健全性に関するリスクや政治の分極化を挙げました。予算交渉が難航するようだと、ムーディーズが格下げを行う可能性が高まりそうです。なお、S&Pは11年8月に、フィッチは今年8月にそれぞれ米国債の格付けを最上級から1段階引き下げています。
【M2TVグローバルView(YouTube)】のご質問への回答
11月10日のグローバルView「構造的円安 vs 循環的円高 米ドル/円の中期的イメージ」で以下のような質問をいただきました。
28年7月の126円という値は何か計算式みたいなものがあるのでしょうか? 「大雑把に」とのことでしたが、もし計算式のようなものがあれば教えていただきたいです。
9日付けのファンダメ・ポイント「中期的な米ドル/円のイメージ」で詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。8日付けファンダメ・ポイント「構造的円安 vs 循環的円高」もご参考まで。
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