中期的な米ドル/円のイメージ
2023/11/09 08:11
【ポイント】
・構造的円安が続く一方で、循環面は円高に転換すると判断したうえで・・
・円の実質実効レートと米ドル/円が同じ動きをすると仮定すれば・・
・米ドル/円は24年春に155円でピークをつけ・・
・28年夏に126円まで下落すると試算することが可能
8日の「構造的円安 vs 循環的円高」での分析を用いて、中期的な米ドル/円のイメージを掴んでおきましょう。
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以下は、米ドル/円が円の実質実効レートと全く同じ動きをすると仮定したうえで(※)、非常に大雑把に試算したものです。
※ここで使うBISの実質実効レート(27カ国のナロー・ベース)中の米ドルのウェイトは31.3%。実際には、米ドル/円の方が実効レートよりも変動が大きいと考えられます。
円の実効レートには、71年以降から前回のボトムが確定した15年6月までに5回の循環があります。期間は7年6カ月~11年2カ月で、平均8年9カ月です。今回の循環の期間が平均だとすると、実効レートのボトムは24年3月になります。
米ドル/円は155円も⁉
以下では、円の実効レートを米ドル/円に置き換えて考察します。23年9月(直近データ)の実効レートはトレンドからマイナス12.1%かい離していました。9月末の米ドル/円は149.355円なので(※)、トレンドは133.234円。トレンドは年率2.2%で減価するので、24年3月時点のトレンドは134.699円。そこからマイナス15%のかい離だと米ドル/円は154.904円。<下線部については8日のファンダメをご参照ください>
※米ドル/円の9月平均値は147.890円なので、平均値を用いれば試算値は1.5円ほど円高方向にズレることになります。便宜上、ここでは足もとの米ドル/円の値に近い9月末値を用いています。
つまり、過去のパターンを踏襲すれば、米ドル/円は24年春に155円程度でピークをつけると試算することが可能です。マイナス金利解除の時期として24年3月が有力視されているので、その時まで米ドル/円が上昇を続けるかは微妙でしょう。もっとも、日銀が解除時期を遅らせて市場の期待を裏切れば、米ドル/円が一段と上昇しても不思議ではないかもしれません。
米ドル/円のボトムは4年後の126円!?
米ドル/円のボトムが上述した循環の中間点で起きるとすれば、24年3月から4年4カ月後の28年7月。その時点で、トレンドは148.020円(円の実効レートが年率-2.2%との前提)。そこから米ドル/円が15%下落するとすれば、125.817円です。24年3月に始まるであろう米ドル/円の下落は28年夏に126円程度でボトムをつけると試算できます。
もっとも、米ドル/円の下落が続くためには、日銀がマイナス金利解除後も利上げを継続し、一方でFRBが利下げを繰り返すか、利下げを打ち止めた後も低金利を維持する必要がありそうです。
以上は、あくまでも中期的な米ドル/円のイメージ作りのための試算とお考え下さい。
・構造的円安が続く一方で、循環面は円高に転換すると判断したうえで・・
・円の実質実効レートと米ドル/円が同じ動きをすると仮定すれば・・
・米ドル/円は24年春に155円でピークをつけ・・
・28年夏に126円まで下落すると試算することが可能
8日の「構造的円安 vs 循環的円高」での分析を用いて、中期的な米ドル/円のイメージを掴んでおきましょう。
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以下は、米ドル/円が円の実質実効レートと全く同じ動きをすると仮定したうえで(※)、非常に大雑把に試算したものです。
※ここで使うBISの実質実効レート(27カ国のナロー・ベース)中の米ドルのウェイトは31.3%。実際には、米ドル/円の方が実効レートよりも変動が大きいと考えられます。
円の実効レートには、71年以降から前回のボトムが確定した15年6月までに5回の循環があります。期間は7年6カ月~11年2カ月で、平均8年9カ月です。今回の循環の期間が平均だとすると、実効レートのボトムは24年3月になります。
米ドル/円は155円も⁉
以下では、円の実効レートを米ドル/円に置き換えて考察します。23年9月(直近データ)の実効レートはトレンドからマイナス12.1%かい離していました。9月末の米ドル/円は149.355円なので(※)、トレンドは133.234円。トレンドは年率2.2%で減価するので、24年3月時点のトレンドは134.699円。そこからマイナス15%のかい離だと米ドル/円は154.904円。<下線部については8日のファンダメをご参照ください>
※米ドル/円の9月平均値は147.890円なので、平均値を用いれば試算値は1.5円ほど円高方向にズレることになります。便宜上、ここでは足もとの米ドル/円の値に近い9月末値を用いています。
つまり、過去のパターンを踏襲すれば、米ドル/円は24年春に155円程度でピークをつけると試算することが可能です。マイナス金利解除の時期として24年3月が有力視されているので、その時まで米ドル/円が上昇を続けるかは微妙でしょう。もっとも、日銀が解除時期を遅らせて市場の期待を裏切れば、米ドル/円が一段と上昇しても不思議ではないかもしれません。
米ドル/円のボトムは4年後の126円!?
米ドル/円のボトムが上述した循環の中間点で起きるとすれば、24年3月から4年4カ月後の28年7月。その時点で、トレンドは148.020円(円の実効レートが年率-2.2%との前提)。そこから米ドル/円が15%下落するとすれば、125.817円です。24年3月に始まるであろう米ドル/円の下落は28年夏に126円程度でボトムをつけると試算できます。
もっとも、米ドル/円の下落が続くためには、日銀がマイナス金利解除後も利上げを継続し、一方でFRBが利下げを繰り返すか、利下げを打ち止めた後も低金利を維持する必要がありそうです。
以上は、あくまでも中期的な米ドル/円のイメージ作りのための試算とお考え下さい。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
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