主要国財政事情と長期金利
2026/10/06 08:31
【ポイント】
・フランスとドイツの長期金利差が急拡大、背景はフランスの財政懸念
・他の主要国でも財政問題が市場で注目されそう
・政府が対応を誤れば「悪い長期金利の上昇」も!?
フランスとドイツの長期金利(10年物国債利回り)の差が10月1日に141bp(ベーシスポイント=0.01%)に拡大。これは12年5月以来の水準で、当時は11年春に始まった欧州債務危機の真っただ中。前年11月に就任したドラギECB総裁(当時)が7月に「ユーロを守るために何でもする(whatever it takes)」と宣言し、10月に救済基金であるESM(欧州安定メカニズム)が発足して危機が終息に向かう前でした。

フランスの予算協議は?
フランスとドイツの長期金利差が大きく拡大した主因は、1日にフランス政府が27年1月に始まる来年度の予算案を発表したこと。財政赤字削減目標を達成するため、大幅な歳出削減を盛り込む内容でした。しかし、政権党が少数政党であるため、これまでも予算に絡んで首相が交代する事態が相次ぎました。今回も予算協議でルコルニュ政権が倒れる可能性もあります。また、27年4月に大統領選を控えており、その結果次第で財政規律が一段と蔑(ないがし)ろにされるとの懸念もあるようです。
スペインは11月29日に総選挙
なお、スペインでは、国民の不満解消のための住宅関連法案が先週に議会で否決されたことを受けて、サンチェス首相が総選挙を前倒しして11月29日に実施すると発表しました。政権交代の可能性があり、スペインの政治不安はユーロ安の一因となる可能性もあります。
他の主要国でも今後、財政問題が市場で注目されそうです。
英国ではバーナム政権初の秋季予算案発表へ
英国では、10月28日にヒーリー財務相が秋季予算案を発表する予定。7月に誕生したバーナム政権の初の予算案です。バーナム首相は前政権の財政ルールを順守するとしているものの、一方で国防や社会福祉、地方分権などに力を入れるとも公約しており、財政政策の先行きは不透明です。
今年4月に始まった26年度の最初の5カ月間で、政府の借入額が773億ポンドと、OBR(予算責任局)の予想を81億ポンド上回ったとのことです。財政ルールに対して確保していた236億ポンドのうちすでに半分が失われたとの推計もあります。さすがに22年秋のトラス・ショックの二の舞は回避されるでしょうが、財政赤字拡大への懸念は残りそうです。
米国では12月11日に継続予算期限切れ
今年10月に始まった27年度は本予算が成立していません。つなぎの継続予算は中間選挙後の12月11日に期限切れとなるため、本予算か新たな継続予算が成立しなければ、シャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。シャットダウンは過去にもたびたび発生しているため、市場は冷静に受け止めそうですが、長期化すれば経済や市場にも影響が出そうです。共和党は11月3日の中間選挙で上下両院あるいはどちらかの院の過半数を失えば、年内のレームダック・セッション(選挙前に議席を持った議員で行われます)で、本予算を成立させる意向のようです。はたして選挙結果を含めてどのような展開になるでしょうか。
デット・シーリング(連邦政府債務の法定上限)は現在、41.1兆ドルです。9月24日時点の債務残高は39.9兆ドルなので、残りは約1.2兆ドルです。27年春ごろには連邦債務が上限に達し、秋ごろには引上げが必要になるようです。トランプ大統領は中間選挙で共和党が勝利した場合に有権者1人当たり5,000ドルの支給(それだけで1.2兆ドル!)を約束するなど、中間選挙対策の支出を乱発しているようです。状況によっては、デット・シーリング引上げの時期は早く到来するかもしれません。
高市政権の「責任ある積極財政」は?
5日に臨時国会が召集され、高市首相が所信表明演説を行いました。高市首相は消費税減税の財源について明言せず、ただ「ご心配には及びません」とだけ述べました。また、片山財務相はそれに先立つ3日、歳出入の全面的な見直しを行うと述べました。
今後、9月に公表された各省庁の概算要求を基に予算案が作成され、それと並行する形で与党の税制改正大綱、そして12月ごろに政府予算案の閣議決定。27年に入って国会で予算審議・・・という流れです。そのなかで債券市場参加者が財政赤字拡大への懸念を強める(=金利上昇の)場面はあるかもしれません。なお、日本の政府債務はGDP比200%を超えており、金利上昇に伴う国債費(利払い)の増加はそれだけ他国と比べて大きいことになります。
・フランスとドイツの長期金利差が急拡大、背景はフランスの財政懸念
・他の主要国でも財政問題が市場で注目されそう
・政府が対応を誤れば「悪い長期金利の上昇」も!?
フランスとドイツの長期金利(10年物国債利回り)の差が10月1日に141bp(ベーシスポイント=0.01%)に拡大。これは12年5月以来の水準で、当時は11年春に始まった欧州債務危機の真っただ中。前年11月に就任したドラギECB総裁(当時)が7月に「ユーロを守るために何でもする(whatever it takes)」と宣言し、10月に救済基金であるESM(欧州安定メカニズム)が発足して危機が終息に向かう前でした。

フランスの予算協議は?
フランスとドイツの長期金利差が大きく拡大した主因は、1日にフランス政府が27年1月に始まる来年度の予算案を発表したこと。財政赤字削減目標を達成するため、大幅な歳出削減を盛り込む内容でした。しかし、政権党が少数政党であるため、これまでも予算に絡んで首相が交代する事態が相次ぎました。今回も予算協議でルコルニュ政権が倒れる可能性もあります。また、27年4月に大統領選を控えており、その結果次第で財政規律が一段と蔑(ないがし)ろにされるとの懸念もあるようです。
スペインは11月29日に総選挙
なお、スペインでは、国民の不満解消のための住宅関連法案が先週に議会で否決されたことを受けて、サンチェス首相が総選挙を前倒しして11月29日に実施すると発表しました。政権交代の可能性があり、スペインの政治不安はユーロ安の一因となる可能性もあります。
他の主要国でも今後、財政問題が市場で注目されそうです。
英国ではバーナム政権初の秋季予算案発表へ
英国では、10月28日にヒーリー財務相が秋季予算案を発表する予定。7月に誕生したバーナム政権の初の予算案です。バーナム首相は前政権の財政ルールを順守するとしているものの、一方で国防や社会福祉、地方分権などに力を入れるとも公約しており、財政政策の先行きは不透明です。
今年4月に始まった26年度の最初の5カ月間で、政府の借入額が773億ポンドと、OBR(予算責任局)の予想を81億ポンド上回ったとのことです。財政ルールに対して確保していた236億ポンドのうちすでに半分が失われたとの推計もあります。さすがに22年秋のトラス・ショックの二の舞は回避されるでしょうが、財政赤字拡大への懸念は残りそうです。
米国では12月11日に継続予算期限切れ
今年10月に始まった27年度は本予算が成立していません。つなぎの継続予算は中間選挙後の12月11日に期限切れとなるため、本予算か新たな継続予算が成立しなければ、シャットダウン(政府機能の一部停止)が発生します。シャットダウンは過去にもたびたび発生しているため、市場は冷静に受け止めそうですが、長期化すれば経済や市場にも影響が出そうです。共和党は11月3日の中間選挙で上下両院あるいはどちらかの院の過半数を失えば、年内のレームダック・セッション(選挙前に議席を持った議員で行われます)で、本予算を成立させる意向のようです。はたして選挙結果を含めてどのような展開になるでしょうか。
デット・シーリング(連邦政府債務の法定上限)は現在、41.1兆ドルです。9月24日時点の債務残高は39.9兆ドルなので、残りは約1.2兆ドルです。27年春ごろには連邦債務が上限に達し、秋ごろには引上げが必要になるようです。トランプ大統領は中間選挙で共和党が勝利した場合に有権者1人当たり5,000ドルの支給(それだけで1.2兆ドル!)を約束するなど、中間選挙対策の支出を乱発しているようです。状況によっては、デット・シーリング引上げの時期は早く到来するかもしれません。
高市政権の「責任ある積極財政」は?
5日に臨時国会が召集され、高市首相が所信表明演説を行いました。高市首相は消費税減税の財源について明言せず、ただ「ご心配には及びません」とだけ述べました。また、片山財務相はそれに先立つ3日、歳出入の全面的な見直しを行うと述べました。
今後、9月に公表された各省庁の概算要求を基に予算案が作成され、それと並行する形で与党の税制改正大綱、そして12月ごろに政府予算案の閣議決定。27年に入って国会で予算審議・・・という流れです。そのなかで債券市場参加者が財政赤字拡大への懸念を強める(=金利上昇の)場面はあるかもしれません。なお、日本の政府債務はGDP比200%を超えており、金利上昇に伴う国債費(利払い)の増加はそれだけ他国と比べて大きいことになります。
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