ベッセント長官の言う「より強い円につながる措置」とは??
2026/09/02 08:17
【ポイント】
・日本政府と日銀が強い円につながる措置を講じる!?
・ベッセント長官は「市場が知らない情報を持っている」
・選択肢は、積極的な利上げ、財政政策の修正、大規模介入などか
・市場にサプライズをもたらすことはできるか?
米国のベッセント財務長官は31日、 米国で開催されているG20の合間に片山財務相と植田日銀総裁とそれぞれ会談しました。そして、「日本政府と日銀がより強い円につながる措置を講じると確信している」と述べ、「市場が持っていない情報が私にはある」と付け加えました。
日本政府と日銀が何をしようとするのか、以下に考察してみました。
「円安」が進行してきた最大の原因は、日本と米国(やその他の国)との金利差であり、かつ高市政権の「責任ある積極財政」が財政赤字を拡大させるとの懸念でした。そのため、金融政策と財政政策の両面での対応が求められるはずです。
金融政策:積極的な利上げ!?
市場は、9月17-18日の金融政策決定会合で日銀が0.25%利上げを行うとほぼ100%の確率で織り込んでいます。それでも、米ドル/円は160円近辺で推移しています。利上げはほぼ織り込み済みなので、「より強い円につながる」とすれば、①0.25%を超える利上げを行う、②追加利上げを強く示唆する、③さらに踏み込んで「状況を見極めつつ3カ月に1度利上げする」など具体的な計画を発表する、④「物価目標が達成されれば、政策金利はそれを上回っていることが適切」などのメッセージでターミナルレート(政策金利の到達点)を示唆する、など。
もっとも、②~④は先行きへのコミットメントです。自国の中銀トップ(ウォーシュFRB議長)がフォワードガイダンスを廃止したのに、ベッセント長官は他国の中銀にそれを求めるでしょうか。疑問が残るところです。
長期金利低下のために日銀に国債を購入するよう求めることは、もっと可能性が低そうです。それは量的緩和であり、円安をもたらしかねないからです。むしろ、⑤日銀が物価目標達成に尽力できるよう、高市政権が日銀の独立性を尊重する姿勢を示す、というのはあり得るかもしれません(新たな共同声明や骨太の方針の再修正?)。
財政政策:市場の赤字拡大懸念を払しょくする⁉
高市政権が財政のサステナビリティ(持続可能性)に力点を置き、先行きに対する懸念を払しょくすることができれば、「悪い金利上昇」の要素がはく落して市場金利は低下、円にもプラスになる可能性はあるでしょう。具体的には、消費税減税の見直しや財源の確保、財政健全化の道筋の明示などです。しかし、高市政権が「(責任ある)積極財政」の看板を降ろすとは考えにくいところでしょう。片山財務相は「債務残高の対GDP比を確実に低下させる」と強調しています。これはインフレにより実質的に債務負担を軽減する意向とも解釈できます。そうであれば、債券市場の懸念も当然かもしれません。
為替介入:大規模介入(+政策対応)!?
円買いの為替介入も選択肢かもしれません。ただ、ファンダメンタルズに大きな変化がなければ、為替介入を相応の規模で実施しても一時的な効果しか望めないことは今年の4-5月および7月(+8月?)の介入が物語っています。したがって、①日本政府が米FRBのFIMAレポファシリティを利用して、米国債を売却せずに巨額の介入を実施する(そのためにはFIMAの拡大が必要)、②G7やG20で了解を得たうえで、日米が、あるいは他の国も参加して、徹底的な介入を行う、③上述した日銀の利上げや財政政策の変更なども組み合わせて総合的な円安対策(円高誘導策)を打ち出す、などの抜本的対策を打ち出す必要があるでしょう。
資金フローへの働きかけ
為替相場の需給に働きかけるという意味では、為替介入以外にも外貨から円への資金フローを促す方策があるかもしれません。国債や株式など日本の金融資産への投資を奨励する制度変更、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的機関のポートフォリオ変更への働きかけなど。もっとも、それらの方策には、投資家の利益が最優先されるとの大前提が必要でしょう。
結局のところ・・・・
ベッセント長官の発言に対して、市場はほとんど反応していません。むしろ、日本の長期金利(10年物国債)は一段と上昇して1日に3.00%にワンタッチしました。米ドル/円は本邦当局による介入があった7月30日以来となる160円台を示現しています。市場がベッセント長官の発言が投資家心理への働きかけを狙っただけのブラフ(はったり)と見切っているのでしょうか。仮に、そうだとすると、何か実効性のある措置が打ち出された場合には、市場の反応は大きなものとなるかもしれません。
・日本政府と日銀が強い円につながる措置を講じる!?
・ベッセント長官は「市場が知らない情報を持っている」
・選択肢は、積極的な利上げ、財政政策の修正、大規模介入などか
・市場にサプライズをもたらすことはできるか?
米国のベッセント財務長官は31日、 米国で開催されているG20の合間に片山財務相と植田日銀総裁とそれぞれ会談しました。そして、「日本政府と日銀がより強い円につながる措置を講じると確信している」と述べ、「市場が持っていない情報が私にはある」と付け加えました。
日本政府と日銀が何をしようとするのか、以下に考察してみました。
「円安」が進行してきた最大の原因は、日本と米国(やその他の国)との金利差であり、かつ高市政権の「責任ある積極財政」が財政赤字を拡大させるとの懸念でした。そのため、金融政策と財政政策の両面での対応が求められるはずです。
金融政策:積極的な利上げ!?
市場は、9月17-18日の金融政策決定会合で日銀が0.25%利上げを行うとほぼ100%の確率で織り込んでいます。それでも、米ドル/円は160円近辺で推移しています。利上げはほぼ織り込み済みなので、「より強い円につながる」とすれば、①0.25%を超える利上げを行う、②追加利上げを強く示唆する、③さらに踏み込んで「状況を見極めつつ3カ月に1度利上げする」など具体的な計画を発表する、④「物価目標が達成されれば、政策金利はそれを上回っていることが適切」などのメッセージでターミナルレート(政策金利の到達点)を示唆する、など。
もっとも、②~④は先行きへのコミットメントです。自国の中銀トップ(ウォーシュFRB議長)がフォワードガイダンスを廃止したのに、ベッセント長官は他国の中銀にそれを求めるでしょうか。疑問が残るところです。
長期金利低下のために日銀に国債を購入するよう求めることは、もっと可能性が低そうです。それは量的緩和であり、円安をもたらしかねないからです。むしろ、⑤日銀が物価目標達成に尽力できるよう、高市政権が日銀の独立性を尊重する姿勢を示す、というのはあり得るかもしれません(新たな共同声明や骨太の方針の再修正?)。
財政政策:市場の赤字拡大懸念を払しょくする⁉
高市政権が財政のサステナビリティ(持続可能性)に力点を置き、先行きに対する懸念を払しょくすることができれば、「悪い金利上昇」の要素がはく落して市場金利は低下、円にもプラスになる可能性はあるでしょう。具体的には、消費税減税の見直しや財源の確保、財政健全化の道筋の明示などです。しかし、高市政権が「(責任ある)積極財政」の看板を降ろすとは考えにくいところでしょう。片山財務相は「債務残高の対GDP比を確実に低下させる」と強調しています。これはインフレにより実質的に債務負担を軽減する意向とも解釈できます。そうであれば、債券市場の懸念も当然かもしれません。
為替介入:大規模介入(+政策対応)!?
円買いの為替介入も選択肢かもしれません。ただ、ファンダメンタルズに大きな変化がなければ、為替介入を相応の規模で実施しても一時的な効果しか望めないことは今年の4-5月および7月(+8月?)の介入が物語っています。したがって、①日本政府が米FRBのFIMAレポファシリティを利用して、米国債を売却せずに巨額の介入を実施する(そのためにはFIMAの拡大が必要)、②G7やG20で了解を得たうえで、日米が、あるいは他の国も参加して、徹底的な介入を行う、③上述した日銀の利上げや財政政策の変更なども組み合わせて総合的な円安対策(円高誘導策)を打ち出す、などの抜本的対策を打ち出す必要があるでしょう。
資金フローへの働きかけ
為替相場の需給に働きかけるという意味では、為替介入以外にも外貨から円への資金フローを促す方策があるかもしれません。国債や株式など日本の金融資産への投資を奨励する制度変更、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など公的機関のポートフォリオ変更への働きかけなど。もっとも、それらの方策には、投資家の利益が最優先されるとの大前提が必要でしょう。
結局のところ・・・・
ベッセント長官の発言に対して、市場はほとんど反応していません。むしろ、日本の長期金利(10年物国債)は一段と上昇して1日に3.00%にワンタッチしました。米ドル/円は本邦当局による介入があった7月30日以来となる160円台を示現しています。市場がベッセント長官の発言が投資家心理への働きかけを狙っただけのブラフ(はったり)と見切っているのでしょうか。仮に、そうだとすると、何か実効性のある措置が打ち出された場合には、市場の反応は大きなものとなるかもしれません。
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