米長期金利の上昇をどう考えるべきか
2026/09/01 08:40
【ポイント】
・足もとの米長期金利上昇はウォーシュ議長のタカ派発言や原油高が主因
・イールドカーブは6月下旬以降にベアスティープ化し、タームプレミアムの拡大を示唆
・そのため、米長期金利上昇が米ドルのプラス材料になるとは限らない
米長期金利(10年物国債利回り)が8月31日に4.75%と、25年1月中旬以来の水準をつけました。日本をはじめ世界の長期金利が上昇傾向にあるなかですが、以下では米長期金利に絞って上昇の背景と為替相場への影響を考察します。
■8月18日付け「世界的な長期金利上昇の背景」をご覧ください。

*******
足もとの長期金利上昇は、ウォーシュFRB議長が28日ジャクソンホールでの講演で、インフレが目立って鈍化しているわけでなく、鈍化を確信できなければ「やるべきことがある」とタカ派発言をしたことが主因です。これに原油価格の上昇が重なってFRBの利上げ観測が高まりました。
8月31日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は9月15-16日のFOMCでの0.25%利上げを65%の確率で織り込んでいます。議長講演の前日8月27日時点での織り込みは34%でした。
もっとも、米長期金利は6月29日に直近のボトムをつけてから上昇傾向が続いています。背景には、本邦当局による米ドル売り・円買い介入資金の調達のための米国債売却(懸念)、違法とされた相互関税の返金やイラン戦費などによる財政赤字の拡大、ハイパースケーラーの社債発行増による債券需給の悪化などがあります。
日本が介入資金をFRBのFIMAレポファシリティで調達すると発表したり(=米国債の売却不要に)、米財務省が長期国債の買い戻し増額を決定したりしたものの、長期金利抑制効果は一時的だったようです(※)。
※元ソロス・ファンドでベッセント財務長官の上司だったドラッケンミラー氏が財務省による国債市場介入を批判しました。ベッセント長官は同氏と対話したと明かした上で、「もし買戻し増額をやっていなかったら市場はどう反応したか想像してほしい」と述べました。ただ、仮定の話にすぎないため、説得力に乏しかったように思えます。
米長期金利がボトムだった6月29日と8月31日のイールドカーブ(利回り曲線)を比較すると、短期の利回りよりも長期の利回りの方が大きく上昇して、ベアスティープニングが起こったことがわかります。これは利上げ観測の高まりが長期金利を一部押し上げたものの、それ以外の部分、いわゆるタームプレミアムも上昇したことを示唆しています。それは「悪い金利上昇」の部分であり、米ドルにとってプラスにならない要素です。

6月末以降に米長期金利が上昇する一方で、米ドル実効レートは下落しており、(他の国の長期金利も上昇していたという面はあるものの)逆相関にあります。今後、米長期金利が一段と上昇しても、米ドルのプラス材料にはなりにくいのかもしれません。
・足もとの米長期金利上昇はウォーシュ議長のタカ派発言や原油高が主因
・イールドカーブは6月下旬以降にベアスティープ化し、タームプレミアムの拡大を示唆
・そのため、米長期金利上昇が米ドルのプラス材料になるとは限らない
米長期金利(10年物国債利回り)が8月31日に4.75%と、25年1月中旬以来の水準をつけました。日本をはじめ世界の長期金利が上昇傾向にあるなかですが、以下では米長期金利に絞って上昇の背景と為替相場への影響を考察します。
■8月18日付け「世界的な長期金利上昇の背景」をご覧ください。

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足もとの長期金利上昇は、ウォーシュFRB議長が28日ジャクソンホールでの講演で、インフレが目立って鈍化しているわけでなく、鈍化を確信できなければ「やるべきことがある」とタカ派発言をしたことが主因です。これに原油価格の上昇が重なってFRBの利上げ観測が高まりました。
8月31日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は9月15-16日のFOMCでの0.25%利上げを65%の確率で織り込んでいます。議長講演の前日8月27日時点での織り込みは34%でした。
もっとも、米長期金利は6月29日に直近のボトムをつけてから上昇傾向が続いています。背景には、本邦当局による米ドル売り・円買い介入資金の調達のための米国債売却(懸念)、違法とされた相互関税の返金やイラン戦費などによる財政赤字の拡大、ハイパースケーラーの社債発行増による債券需給の悪化などがあります。
日本が介入資金をFRBのFIMAレポファシリティで調達すると発表したり(=米国債の売却不要に)、米財務省が長期国債の買い戻し増額を決定したりしたものの、長期金利抑制効果は一時的だったようです(※)。
※元ソロス・ファンドでベッセント財務長官の上司だったドラッケンミラー氏が財務省による国債市場介入を批判しました。ベッセント長官は同氏と対話したと明かした上で、「もし買戻し増額をやっていなかったら市場はどう反応したか想像してほしい」と述べました。ただ、仮定の話にすぎないため、説得力に乏しかったように思えます。
米長期金利がボトムだった6月29日と8月31日のイールドカーブ(利回り曲線)を比較すると、短期の利回りよりも長期の利回りの方が大きく上昇して、ベアスティープニングが起こったことがわかります。これは利上げ観測の高まりが長期金利を一部押し上げたものの、それ以外の部分、いわゆるタームプレミアムも上昇したことを示唆しています。それは「悪い金利上昇」の部分であり、米ドルにとってプラスにならない要素です。

6月末以降に米長期金利が上昇する一方で、米ドル実効レートは下落しており、(他の国の長期金利も上昇していたという面はあるものの)逆相関にあります。今後、米長期金利が一段と上昇しても、米ドルのプラス材料にはなりにくいのかもしれません。
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