26年12月までの為替相場展望(アップデート2)
2026/08/31 15:11
| 本レポートは、26年6月29日配信の「マネースクエア四季報」で提示した26年12月までの為替相場見通しを8月号に続いてアップデートしたものです。 |
※都合により為替レートのチャートは割愛します。ご了承ください。
8月の為替相場は総じてリスクオンの展開でした。Bloombergが集計する主要17通貨について、月間の騰落率をみると、南アフリカランドやメキシコペソ、豪ドルが上位に位置し、米ドルや円は最下位ブラジルレアルに次ぐ位置でした。米国とイランの交渉は暗礁に乗り上げたままで、中東情勢は引き続き不透明。WTI原油先物価格は一時1バレル=90ドルに接近する場面もありました。また、米長期金利(10年物国債利回り)は高値圏で揉み合い、日本の長期金利は約30年ぶりの高値をつけました。それでも、エヌビディアなど企業の好決算を反映してS&P500が最高値を更新するなど、市場はリスクオンの地合いだったようです。

主要中央銀行の金融政策が大いに注目されます。ジャクソンホール会議ではウォーシュFRB議長がインフレ抑制に向けた強い意思を表明しました。そのため、9月FOMCでは利上げが実施されるとの見方が優勢になりました。日銀、ECB、RBNZはいずれも9月会合での利上げが高い確率で予想されています。利上げ後に、あるいは据え置き後に、今後の方向についてどんな意向が表明されるでしょうか(FRBは先行きについてヒントを出さないでしょうが・・)。
米国とイスラエルのイラン攻撃が開始されて半年が経過しましたが、落とし所は引き続き不透明です。市場は中東情勢の緊張にやや慣れてきた感はありますが、引き続き注意は怠れません。<西田>
【注目のイベント】
9月7日 米レイバーデー(中間選挙戦本格化)
9月13日 スウェーデン総選挙
10月12日 IMF・世銀総会(~18日)
11月3日 米中間選挙投票日
11月7日 ニュージーランド総選挙
12月11日? 米共和党が目指す新たな暫定予算の期限(シャットダウンのリスク)
12月14日 G20サミット(~15日、米マイアミ)
※南アフリカランド/円、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ、米ドル/シンガポールドルについては、デイリーやウィークリーのレポートをご覧ください。
米ドル/円:149.000円~165.000円
7月末(+8月3日?)の為替介入によって米ドル/円は一時155円台前半まで下落しましたが、その後はジリジリと上昇しています。日米の政策金利差や、日銀がビハインド・ザ・カーブになっているとの判断、さらには高市政権の「責任ある積極財政」が財政赤字の拡大に繋がるとの懸念など、米ドル/円の上昇要因に大きな変化はみられません。また、ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長がインフレ抑制に向けて強い意思をしめしたことで、FRBの利上げ観測が高まり、米ドル/円の支援材料にもなっています。
11月3日に実施される米中間選挙では、民主党が上院と下院のどちらか、あるいは両方の過半数を奪う可能性があります。そうなれば、トランプ大統領の強権的な手腕に一定のブレーキがかかるかもしれません。ただ、その場合の米ドル相場への影響は判然としません。また、共和党の劣勢が伝えられるなかで、トランプ大統領が支持率上昇を狙って強引な政策を打ち出す可能性もあるでしょう。9月7日のレイバーデー明けから本格化する選挙戦にも要注目かもしれません。
米国の会計年度は前年10月から当該年9月までの1年間です。これから27年度予算の審議が大詰めを迎えますが、共和党は12月上旬までの継続予算を成立させることで、予算審議を中間選挙後まで後ズレさせようとしているようです。仮に、継続予算が期限切れとなり、本予算あるいは新たな継続予算が成立していなければ、シャットダウン(政府機能の一部停止)の可能性があります(米ドル安要因か)。<西田>
ユーロ/円:175.000円~188.000円
ユーロ/米ドル:1.11000米ドル~1.21000米ドル
ユーロ/英ポンド:0.83000ポンド~0.88000ポンド
ユーロ/円は、4月中旬に187.947円と、99年ユーロ導入以来の高値をつけました。4月以降の2度の為替介入によってユーロ/円が下押しする場面がありました。とりわけ、7月31日には米財務省がユーロ売り・円買いの介入を実施したこともあり、ユーロ/円は8月3日に一時180円を割り込みました。しかし、すぐに反発して、8月下旬は185円台で推移しています。
足もとのユーロ/米ドルは米国の材料で動いているようです。8月19日には米財務省が国債買い戻しを発表、米長期金利が大きく低下して米ドルに下押し圧力が加わると、ユーロ/米ドルは上昇。そして、8月28日にウォーシュFRB議長がタカ派的発言をすると、ユーロ/米ドルは下落しました。
8月28日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場はECBが9月10日の理事会で利上げするのはほぼ確実(95%)とみています。ウォーシュ議長の発言でFRBの利上げ観測は高まりましたが、それでも9月の利上げは6割程度しか織り込まれていません。金融政策見通しの差はユーロ/米ドルの支援材料となりそうです。
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ユーロ/英ポンドは8月に入って、0.85500ポンド~0.85800ポンドを中心とした狭いレンジで推移しています。ユーロや英ポンドの独自材料に乏しいのでしょう。また、現値(8/28の0.85564ポンド)は過去3年程度の既往レンジのほぼ中心にあたり、その点で居心地が良い水準なのかもしれません。<西田>
英ポンド/円:205.000円~220.000円
英ポンド/米ドル:1.30000米ドル~1.40000米ドル
バーナム首相が7月20日に就任。最初の予算が10月28日にヒーリー財務相によって発表されます。バーナム首相は前政権の財政規律を踏襲するとしつつも、公営住宅の建設、電気や交通などの生活費の引き下げ、職業訓練、地方分権等の政策を打ち出しています。英国は財政赤字が大きいため、政策の裁量余地は小さいですが、バーナム首相が上手く舵取りができるのか。22年のトラス・ショックを反面教師とするでしょうが、市場がバーナム首相の政策にどのように反応するか、要注目でしょう。
8月28日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は9月17日のMPC(金融政策委員会)での利上げを1割程度しか織り込んでいません。その次の11月のMPCまでをみても約6割です。27年前半までみれば、0.25%×2.5回分の利上げが織り込まれているものの、利上げタイミングの遅さはポンドの重石になるかもしれません。<西田>
豪ドル/円:108.000円~120.000円
豪ドル/米ドル:0.68000米ドル~0.75000米ドル
豪ドル/NZドル:1.17000NZドル~1.23000NZドル
RBA(豪中銀)は26年2月・3月・5月と3会合連続でそれぞれ0.25%の利上げを実施。その後、6月と8月の会合では政策金利を4.35%に据え置きました。
RBAのブロック総裁は8月11日の政策会合後の会見で、「理事会は追加利上げの可能性を排除していない」と強調し、「個人的には追加利上げが必要になる可能性は十分にある」と発言。その後8月26日に発表された豪州の7月CPI(消費者物価指数)は、総合が前年比3.5%、コアインフレ率のトリム平均値が同3.6%と、いずれも市場予想(それぞれ3.3%と3.5%)を上振れました。豪CPIの結果を受けて市場ではRBAによる追加利上げ観測が強まっており、そのことは豪ドルにとってのプラス材料になりそうです。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場ではRBAは12月末までに0.25%の追加利上げを行うとの見方が有力です。7月CPIの発表前は、RBAによる利上げサイクルは終了したとの見方も市場にはありました。
日銀が今後追加利上げを行ったとしても、RBAとの政策金利の差が大きい状況に大きな変化はなさそうです。本邦当局による為替介入(米ドル売り・円買い介入)に注意は必要なものの、豪ドル/円に関しては、堅調に推移する可能性があります。
豪ドル/米ドルについては、FRBが今後利上げを実施し、さらに先行きの追加利上げ観測が市場で強まれば、上値が重くなるかもしれません。
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【豪ドル/NZドル】
RBAとRBNZ(NZ中銀)の先行きの金融政策に関する市場の見方を踏まえると、豪ドル/NZドルはいずれ下落基調になると考えられます(*RBNZの金融政策の詳細はNZドルの項をご参照ください)。<八代>
NZドル/円:91.000円~99.000円
NZドル/米ドル:0.55000米ドル~0.64000米ドル
RBNZ(NZ中銀)は26年7月の政策会合で0.25%の利上げを実施し、政策金利を2.25%から2.50%へと引き上げました。
市場では、RBNZは9月2日の会合でも利上げを行い、10月か12月のいずれかで追加利上げをするとの見方が有力。27年も利上げを継続すると予想されています。
RBNZが今後積極的に利上げを行えば、金融政策面からNZドルはサポートされやすいと考えられます。ただし、NZドル/米ドルについては、FRBが利上げを実施し、先行きの追加利上げ観測が強まるようであれば、伸び悩む可能性があります。
NZドル/円については、“円安”への本邦当局の為替市場への対応にも注目です。当局による為替介入によって米ドル/円が下落すれば、NZドル/円も引きずられそうです。
NZでは11月7日に総選挙が行われる予定です。ラクソン首相が率いる国民党主導の連立政権(国民党・ACT党・NZファースト党)が引き続き政権を維持できるかが焦点になるとみられます。総選挙によって同国政治の先行き不透明感が解消されれば、NZドルにとってプラスになりそうです。<八代>
カナダドル/円:108.000円~118.000円
米ドル/カナダドル:1.35000カナダドル~1.45000カナダドル
BOC(カナダ中銀)は25年10月に利下げを実施した後、26年7月まで6会合連続で政策金利を2.25%に据え置きました。
BOCのマックレム総裁は26年7月15日の会合後の会見で、「現在の政策金利(の水準)は、景気回復を持続し、インフレ率を目標の2%に戻すのに適切だ」との認識を示す一方、「必要に応じて金融政策を調整する用意がある」と述べました。
BOCの次の一手は利上げになると市場はみており、最初の利上げは26年12月か27年1月のいずれかで行われると予想されています。
一方でFRBは早ければ26年9月に利上げを実施し、12月末までに追加利上げが行われるとの観測があります。FRBとBOCの先行きの金融政策に関する市場の見方を踏まえると、米ドル/カナダドルは底堅く推移するかもしれません。
日銀とBOCの政策金利の差は8月28日時点で1.25%。BOCの場合、他の主要中銀と比較して日銀との政策金利差は小さいと言えそうです、BOCが当面、政策金利を据え置くとすれば、日銀の利上げペース次第ではカナダドル/円は弱含む可能性があります。
原油価格が大きく変動すれば、その動向も相場材料になる可能性があります。中東情勢の先行き不透明感が一段と強まるようなら、原油価格は堅調に推移するとみられ、その場合にはカナダドルにとってプラスになりそうです。
米国とカナダの貿易摩擦がどうなるのかにも注目です。トランプ米政権は8月22日、カナダからの輸入品の一部(約200億米ドル相当)に50%の追加関税を発動。それを受けてカナダのカーニー首相は同日、報復関税(約200億米ドル相当が対象)を9月8日に発動すると表明しました。さらにトランプ大統領は24日、「27年1月1日、(カナダから輸入する)すべての自動車やトラック、自動車部品、鉄鋼に対する関税を50%に引き上げる」と述べました。
カナダは輸出の約4分の3が米国向けのため、トランプ政権による通商政策はカナダ経済に大きな影響を及ぼす可能性があります。両国の貿易摩擦が一段と激化することは、カナダドルにとってのマイナス材料になると考えられます。<八代>
トルコリラ/円:3.000円~4.000円
トルコリラは対米ドルで最安値(米ドル/トルコリラは最高値)の更新を続けています。対米ドルでのトルコリラ安の背景には、トルコのインフレ率が依然として高いことなどが挙げられます。同国の26年7月CPI(消費者物価指数)は前年比31.75%でした。トルコリラの対米ドルでの下落基調が変化するには、トルコのインフレ率が持続的に低下していくことが必要だと考えられます。
対円(トルコリラ/円)に関しては、比較的落ち着いた値動きになっています。その主な要因として、米ドル/円が堅調に推移していることが挙げられます。トルコリラ/円のレートは、「米ドル/円÷米ドル/トルコリラ」で算出されます。米ドル/円が引き続き堅調に推移すれば、対米ドルでトルコリラ安が一段と進行したとしても、トルコリラ/円は底堅い展開になりそうです。<八代>
メキシコペソ/円:8.500円~10.000円
BOM(メキシコ中銀)は24年3月に利下げを開始し、26年5月まで合計4.75%の利下げを実施。その後、6月と8月の2会合連続で政策金利を6.50%に据え置きました。
BOMは26年8月の政策会合の声明で、6月会合と同様に「政策金利は今後も現行水準を維持することが適切だ」と表明。政策金利は当面据え置くとの姿勢を改めて示しました。
市場では、BOMは少なくとも12月末まで政策金利を据え置くと予想されています。その間に日銀が追加利上げを行ったとしても、BOMとの政策金利の差は依然として大きく、メキシコペソ/円は金融政策面から引き続きサポートされやすいと考えられます。
カナダドルやノルウェークローネと同様、原油価格に大きな変動があれば、それにメキシコペソが反応する可能性があります。メキシコペソにとって原油価格の上昇はプラス、下落はマイナスになるとみられます。
他の対円の通貨ペアと同じく、本邦当局による為替介入によって米ドル/円が下落するようなら、メキシコペソ/円も引きずられそうです。<八代>

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