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世界的な長期金利上昇の背景

2026/08/18 08:11

【ポイント】
・6月下旬以降、日米英独の長期金利が同程度上昇
・利上げ観測に加えて、インフレや財政赤字の懸念、社債発行増加などが背景
・「悪い金利上昇」の成分もあり、景気下押しや株価下落につながらないか

17日、日本の長期金利(10年物国債利回り)2.921%に上昇。これは96年9月以来約30年ぶりの高水準です。

日本の長期金利は23年ごろからジリジリと上昇してきました。米FRBなど主要中銀がコロナショック後のインフレ圧力に対応して22年春から利上げを続けており、日銀が金融政策を正常化するとの思惑が少しずつ出始めたこと。そして、24年春以降は実際に日銀が段階的に利上げをしてきたことが背景です。

日本の長期金利

もっとも、25年11月ごろから日本の長期金利の上昇ペースが速まりました。日銀の利上げ観測に加えて、25年10月に誕生した高市内閣が「責任ある積極財政」を打ち出したことが「悪い金利上昇」にもつながったためでしょう。

世界的にみても、足もとで金利上昇要因が多くみられます。原油価格が高止まりしており、インフレ圧力に対して主要中銀は引き続き利上げを視野に入れています。ただし、足もとでFRBなどの利上げ観測がやや後退するなかでも、長期金利は上昇しています。これは、タームプレミアムが上昇していることを意味しています。タームプレミアムとは、長期国債を保有するデメリットを埋め合わせるために、将来的に予想される短期金利(平均)に上乗せされる金利分のこと。簡単に言えば、それだけ投資家が長期国債を保有することにリスクを感じているということです。

日米英独の長期金利

日本だけでなく、米国英国フランスなどでも財政赤字拡大の懸念があります。米国では、違法とされた関税の返金によって関税収入が今年5‐7月にマイナスとなりました(3カ月で計341億ドルの支払い超過)。今年4月まで1年間では3,243億ドルの関税収入がありました。

また、国債だけでなく、いわゆるハイパースケーラー(※)がAI投資のために社債を発行して巨額の資金調達を行っており、債券の需給悪化につながっています。

※大規模なコンピューティング能力やストレージ容量を提供するクラウドプロバイダーのこと。

そして、コロナショックを受けて量的緩和を行った中央銀行が国債購入を停止し、また少しずつ保有国債を削減しています。それも国債の需給悪化要因です。

上記要因がそれぞれに影響しあって、世界の長期金利が同じように上昇しているようです。米長期金利が直近のボトムをつけた6月26日から足もとまで、日米英独の長期金利はいずれも30~37bp(ベーシスポイント、1bp=1/100%)上昇しています。

最近の各国長期金利

長期金利の上昇が景気にブレーキをかけたり、株価を押し下げたりしないか、警戒する必要はありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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