FOMC議事録は何を語るか
2026/08/17 11:25
【今週のポイント】
・日米短期金利差の縮小が続けば、米ドル/円の下落要因だが・・
・金融政策見通しや政策金利差はノルウェークローネ/スウェーデンクローナのプラス材料
・豪雇用統計で市場のRBA金融政策見通しがどのように変化するか
・トランプ政権は実際にカナダに対する追加関税を発動するか
米国の7月雇用統計やCPI、小売売上高が総じて軟調だったことで、FRBの利上げ観測が後退しています。14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、9月FOMCで利上げが行われる確率を市場は約3割とみています。雇用統計発表前の6日時点では5割超でした。つまり、市場のメインシナリオは「9月利上げ」から「9月据え置き」に変化しました。次回9月15-16日のFOMCまでに8月雇用統計や同CPI、7月PCEデフレーターなどの経済指標によって市場の金融政策見通しがどう変化するか、要注目でしょう。
今週はあまり大きなイベントや経済指標の発表はありません。引き続き、米国とイランの停戦交渉や原油価格の動向、米ドル/円が上昇する場面での本邦当局による為替介入の有無などに注意する必要がありそうです。8月は休暇シーズンであり、小さな材料でも相場の動きが大きくなる可能性もあります。
日本では、17日に発表された4-6月期GDP(国内総生産)が前期比1.1%と市場予想(2.0%)に比べて弱めでした。21日に7月CPIが発表されます。日銀の利上げ観測は一段と強まるでしょうか。
米国ではFOMC議事録(7月28-29日開催分)が公表されます。同FOMCでは政策金利の据え置きが決定されましたが、12人の投票メンバーのうち3人(いずれも地区連銀総裁)が利上げを支持して反対票を投じました。FOMCでどのような議論がなされたか、またウォーシュ議長が唱える政策運営スタイルの変更について何らかの話がなされたか、たいへん興味深いところでしょう。<西田>
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このところ市場ではFRBによる利上げ観測が後退しており、そのことが米ドルの重石となっています。今週発表される米国の経済指標の結果やFOMC議事録の内容を受け、FRBの先行きの金融政策に関する市場の見方がどのように変化するのか注目です。FRBによる利上げ観測が一段と後退すれば、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは堅調に推移し、米ドル/カナダドルは軟調に推移すると考えられます。
20日には豪州の7月雇用統計が発表されます。市場ではRBA(豪中銀)は0.25%の利上げをあと1回行うとの見方がある一方、同中銀による利上げサイクルは終了したとの見方もあります。豪雇用統計の結果を受けてどちらの見方が強まるのか注目です。
米国のトランプ政権は19日に、カナダに対する新たな追加関税を発動する予定です。カナダドルに関しては、追加関税が実際に発動されるのかどうかに影響を受ける可能性があります。
原油価格の動向にも目を向ける必要がありそうです。米国とイランの和平交渉は膠着状態となっており、ホルムズ海峡が開放されるかは不透明な情勢です。UAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ国営石油会社は13日、ホルムズ海峡を航行していた同社の船舶2隻が攻撃を受けたと発表しました。原油価格は堅調に推移する可能性があり、その場合にはノルウェークローネやカナダドル、メキシコペソにとってプラスになりそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:155.000円~161.000円>
22年以降の本邦当局の米ドル売り・円買いの追加介入を大まかに2つに分けることができるかもしれません。一つは当初の介入の効果を高める、あるいは戻りの頭を叩く「追撃介入」。これは最初の介入直後のタイミング(主に3営業日以内※)で、米ドル/円が最初の介入より低い水準で実施されました。
※IMF(国際通貨基金)の定義上、3営業日以内の介入は合わせて1回とカウントされるため、当局が相場水準をコントロールしようとしているとの批判は出にくい。
もう一つは、最初の介入から一定期間後に行われる「新たな介入」です。それは米ドル/円の、最初の介入より上の水準で実施されました。今回は7月31日の日米協調介入(あるいは介入の可能性があった8月3日)から日にちが経過しているので、あるとすれば「新たな介入」。その場合、介入を警戒すべきは7月30日の介入直前の163.74円です。ただ、今回は31日に、日米が協調した実に15年ぶり、円買いとしては28年ぶりの介入がありました。そのため、当時の介入水準である160.88円も意識する必要があるかもしれません。
米FRBの利上げ観測が後退する一方で、日銀の利上げ観測は根強いため(ビハインド・ザ・カーブにならないように市場が利上げを催促しているとも言えます)、短期金利(2年物国債利回り)の日米格差は7月下旬をピークに縮小傾向にあります。それは米ドル/円の下落を示唆していますが、それでも米ドル/円の上昇が続くならば、「ファンダメンタルズを反映していない」として介入のトリガーになるかもしれません。<西田>
今週の注目通貨ペア②:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.99000Sクローナ~1.02000Sクローナ>
ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は13日の会合で政策金利の据え置きを決定しました。声明では、先行きについて「政策金利の引き上げが必要になる可能性は依然としてある」とされ、6月時点よりトーンダウンしたものの、引き続き利上げを視野に入れたタカ派的結果でした。
リクスバンク(スウェーデン中銀)は20日に政策会合を開催します。市場は政策金利の据え置きを確実視しているようです。
14日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、9月24日の会合でノルゲバンクの利上げ確率を市場は5割超で織り込んでいます。同じ日の会合でリクスバンクの利上げ確率は約1割。したがって、市場のメインシナリオは、「9月にノルゲは利上げ、リクスは据え置き」です。それが変化しないのであれば、金融政策見通しはノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK、以下同じ)の上昇要因となり得ます。そうでなくても、ノルゲバンクの政策金利は4.25%、リクスバンクのそれは1.75%であり、現状での政策金利差2.50%はNOK/SEKにとってプラスの材料でしょう。<西田>
今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/米ドル 予想レンジ:0.70000米ドル~0.72000米ドル>
豪ドル/米ドルは14日に一時0.70903米ドルへと上昇し、6月5日以来の高値をつけました。足もとで米ドル/豪ドルが堅調に推移している主な要因として、FRBによる利上げ観測が後退していることや、ブロックRBA(豪中銀)総裁のタカ派的な発言が挙げられます。
RBAは8月11日の会合で政策金利を4.35%に据え置くことを決定。ブロック総裁は会合後の会見で、今回の会合では利上げも議論されたことを明らかにしました。前回6月の会合で利上げは議論されませんでした。ブロック総裁はまた、「理事会は追加利上げの可能性を排除していない」と述べ、「理事会は利上げが適切となる時期について真剣に検討している」と強調。「個人的には追加利上げが必要になる可能性は十分にある」と語りました。
今週発表される米国の経済指標やFOMC議事録によってFRBの利上げ観測が一段と後退する、あるいは豪州の7月雇用統計(20日発表)が強い結果になれば、豪ドル/米ドルはさらに上値を試す展開になるとみられます。<八代>
今週の注目通貨ペア④:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.37000カナダドル~1.40000カナダドル>
米ドル/カナダドルは14日に一時1.38627カナダドルへと下落し、6月3日以来の安値を記録しました。足もとの米ドル/カナダドル軟調は、市場でFRBによる利上げ観測が後退したことが主な要因と考えられます。
米国の経済指標の結果やFOMC議事録の内容を受け、FRBの利上げ観測がどのように変化するのか注目です。利上げ観測が一段と後退した場合、米ドル/カナダドルは引き続き軟調に推移しそうです。
トランプ政権は米東部時間19日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、カナダからの輸入品の一部に50%の追加関税を発動する予定。米国とカナダは貿易協議を続けており、新たな対カナダ関税が実際に発動されるのかにも注目です。対カナダ関税の発動が見送られた場合、カナダドルにとってのプラス材料になると考えられます。<八代>
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