米ドル/円が160円に上昇、本邦当局の対応は?
2026/04/30 09:20
【ポイント】
・本邦当局による「為替介入」や「レートチェック」があるか
・ECBとBOEの会合を受けて市場の金融政策見通しがどのように変化するか
・BOCはタカ派的な据え置き!?
(欧米市場レビュー)
29日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は160.403円、米ドル/シンガポールは1.28142シンガポールドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.16620ドル、英ポンド/米ドルは1.34580ドル、豪ドル/米ドルは0.70992米ドルへと下落しました。イラン情勢をめぐる懸念が強まったことが、安全資産とされる米ドルにとってプラスになりました。
米ニュースサイトのアクシオスは29日、「トランプ大統領はイラン側の新たな提案を拒否し、イランの核問題で合意するまで同国の港湾に出入りする船舶に対する海上封鎖を継続する考えを示した」と報道。また、「トランプ大統領は、戦闘終結に向けた協議でイランが譲歩しなければ軍事攻撃を検討する」と伝えました。
カナダドルも堅調。米ドル/カナダドルは1.36カナダドル台後半でのもみ合いとなったものの、カナダドル/円は一時117.263円へと上昇し、24年7月上旬以来およそ1年の高値をつけました。BOC(カナダ中銀)のマックレム総裁の会見などがタカ派的な内容だったことが、カナダドルの支援材料となりました(*BOC会合については後述)。
ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(ノックセック)は一時0.99991スウェーデンクローナへと上昇し、24年7月以来およそ1年10カ月ぶりの高値を記録。原油価格が上昇したことが引き続きノルウェークローネを押し上げました。
米WTI原油先物の中心限月6月物は、前日比6.95ドル高(7.0%)の1バレル=106.88ドルで取引を終了。イラン情勢への懸念が上昇圧力となり、6月物は一時108.60ドルをつける場面がありました。
FOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利を3.50~3.75%に据え置くことが決定されました。FOMCについては、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCは据え置き、次は利下げ? それとも利上げ?]にて詳しく解説していますので、ご覧ください。
(本日の相場見通し)
米ドル/円が160円台へと上昇するなか、本邦当局の対応が注目されます。
片山財務相は28日、足もとの米ドル高・円安について「日米財務相声明に従って(米当局と)いっそう緊密に連携し、行動するときは行動する」と述べ、大型連休中も「24時間対応する」と強調。「かねてから断固たる措置にずっと言及している」とし、為替介入も辞さない姿勢を改めて示しました。
本邦当局が為替介入(米ドル売り・円買い介入)を実施する、あるいは介入をしなくてもその準備とされるレートチェックがあれば、米ドル/円は大きく下落するとみられます。その場合、その他の対円の通貨ペアもそれに引きずられそうです。
***
本日は、ECB(欧州中銀)理事会とBOE(英中銀)の政策会合が開かれます。それらに市場が反応しそうです。
<ECB理事会>
日本時間21時15分に結果判明
21時45分からラガルド総裁が会見
ECBは25年6月に0.25%の利下げを実施し、その後前回26年3月まで6会合連続で政策金利を据え置きました。現在の政策金利は、ECBが最も重視する中銀預金金利が2.00%、残りの2つ、主要リファイナンス金利が2.15%、限界貸出金利が2.40%です。
政策金利は今回も据え置かれると市場は予想しています。そのとおりの結果になれば、ECBの声明やラガルド総裁の会見の内容に市場は反応しそうです。
市場では、ECBが経済見通しを公表する次回6月11日の理事会で0.25%の利上げが行われるとの観測があります。ECBの声明やラガルド総裁の会見がタカ派的な内容となり、ECBによる利上げ観測が市場で強まれば、ユーロが堅調に推移しそう。その場合、ユーロ/円は99年1月のユーロ導入後の最高値である187.947円を超える可能性があります。
<BOE会合>
日本時間20時に結果判明
20時30分からベイリー総裁が会見
BOEは25年12月に0.25%の利下げを実施し、その後26年2月と3月の会合では政策金利を据え置きました。現在の政策金利は3.75%です。
政策金利は今回も据え置かれると市場は予想しています。そのとおりの結果になれば、BOEの声明や会合における9人の政策メンバーの投票行動、3カ月に1度の金融政策報告、ベイリー総裁の会見が相場材料になりそうです。投票行動に関しては、前回3月の会合は9人全員が政策金利の据え置きに賛成しました。
市場では、BOEは次回6月18日の会合で0.25%の利上げを行うとの観測があります。会合で利上げを主張するメンバーがいたなどしてBOEによる利上げ観測が強まれば、英ポンドにとってプラスになると考えられます。
*******
BOC(カナダ中銀)は29日に政策会合を開き、政策金利を2.25%に据え置くことを決定。BOCが政策金利を据え置いたのは4会合連続です。
今回は全体的にみればタカ派的な据え置きと言えそうです。
BOCは声明で「(BOCは)中東情勢の影響、米国の関税や貿易政策の不確実性に対する(カナダ)経済の反応を注視している」とし、「エネルギー価格の高騰が持続的なインフレにつながることは容認しない」と強調。「(経済とインフレの)見通しに変化があれば、必要に応じて対応する用意がある」と改めて表明しました。
BOCはカナダのGDP(国内総生産)成長率とCPI(消費者物価指数)上昇率の見通しを以下のとおり1月時点から上方修正しました。
( )は1月時点の見通しです。
<GDP成長率>
・26年:1.2%(1.1%)
・27年:1.6%(1.5%)
・28年:1.7%(なし)
<CPI上昇率>
・26年:2.3%(2.0%)
・27年:2.1%(2.1%)
・28年:2.0%(なし)
今回の見通しは、米国の関税が現状維持で、原油価格が27年半ばまでに1バレル=75ドルまで下落するとの前提で作成されました。
マックレム総裁は会合後の会見で、「現時点では、原油価格の上昇がより広範な財(モノ)・サービス価格に波及していることを示す証拠はほとんどない」と述べつつも、「原油価格が上昇を続け、特に高止まりした場合、エネルギー価格の上昇が持続的かつ広範なインフレにつながるリスクが高まる」と指摘。「そうなれば、連続的な利上げが必要になる可能性がある」と述べました。
OIS(翌日物金利スワップ)に基づくと、市場ではBOCは次々回7月15日の会合で0.25%の利上げを実施し、12月末までにさらに1回利上げ(合計2回)を行うとの見方が優勢。28日時点では12月末までに1回利上げするとの見方が優勢でした。
- 当レポートは、情報提供を目的としたものであり、特定の商品の推奨あるいは特定の取引の勧誘を目的としたものではありません。
- 当レポートに記載する相場見通しや売買戦略は、ファンダメンタルズ分析やテクニカル分析などを用いた執筆者個人の判断に基づくものであり、予告なく変更になる場合があります。また、相場の行方を保証するものではありません。お取引はご自身で判断いただきますようお願いいたします。
- 当レポートのデータ情報等は信頼できると思われる各種情報源から入手したものですが、当社はその正確性・安全性等を保証するものではありません。
- 相場の状況により、当社のレートとレポート内のレートが異なる場合があります。
