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片山財務相の発言で米ドル/円が下落

2025/12/23 08:41

【ポイント】
・本邦当局は円安けん制のトーンを強めたと市場は受け止め!?
・米経済指標で市場のFRB金融政策見通しがどのように変化するか

(欧米市場レビュー)

22日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時米ドル/円は156.697円、米ドル/カナダドルは1.37350カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.28770シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17638ドル、英ポンド/米ドルは1.34747米ドルへと上昇しました。片山財務相の発言を受けて米ドル/円が下落し、対円での米ドル軟調が対ユーロや対シンガポールドルなどに波及したとみられます。

片山財務相はブルームバーグのインタビューで、19日の植田日銀総裁の会見以降の円安について「非常に短い時間の動き。完全にファンダメンタルズ(を反映したもの)ではなくて投機」との認識を示し、過度で無秩序な為替変動に対しては「断固として措置をとる」と述べました。また、為替介入を含めた措置について「フリーハンドがある」と語りました。本邦当局は円安けん制のトーンを強めたと市場は受け止めたようです。

(本日の相場見通し)

本日は22日の片山財務相の発言が市場で引き続き意識されて、米ドル/円は上値が重い展開になる可能性があります。

本日発表される経済指標の中では、米国の7-9月期GDP(国内総生産)速報値12月コンファレンスボード消費者信頼感指数に注目です。

市場予想はGDPが前期比年率3.2%、消費者信頼感指数が91.0です。GDPは約2年ぶりの高い伸びだった4-6月期の3.8%(確報値)から減速し、一方で消費者信頼感指数は11月の88.7から上昇するとみられています。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は早ければ26年3月に追加利下げを行うとの観測があります。CMEのFedWatchツールによると、22日時点で市場が織り込む追加利下げ確率は、次回1月27-28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で約2割、次々回3月17-18日までで5割強です。

GDPや消費者信頼感指数が市場予想を上回る結果になれば、FRBによる追加利下げ観測が後退すると考えられます。その場合、米ドル/カナダドルや米ドル/シンガポールドルは軟調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは堅調に推移しそう。米ドル/シンガポールドルは、200日移動平均線(23日時点で1.29567シンガポールドル)が目先の上値メドです。

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カナダの10月GDPにも注目です。その結果にカナダドルが反応する可能性があります。

BOC(カナダ中銀)は12月10日の政策会合で政策金利を2.25%に据え置くとともに、「現在の政策金利は、経済を支えつつインフレ率を2%近辺に維持するのに、ほぼ適切な水準だ」と改めて表明しました。市場はBOC(カナダ中銀)の利下げサイクルは終了したとみており、26年中(終盤?)に利上げに転じるとの観測があります。

カナダのGDPの市場予想は前月比マイナス0.3%、前年比プラス0.3%です。市場予想と比べて強い結果になれば、BOCによる利上げ観測が市場で高まってカナダドルにとってのプラス材料になる可能性があります。

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外為市場では今週、クリスマス絡みで参加者が減少して流動性が低下すると予想されます。突発的なニュースや仕掛け的な動きが出てきた場合には、値動きが増幅する可能性があり、注意は必要です。


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八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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