トルコ中銀は1.50％の利下げ決定、今後さらに利下げも!?

【ポイント】
・FOMC参加者の講演で26年の金融政策についてのヒントが提供されるか

（欧米市場レビュー）

11日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。一時154.944円、米ドル/カナダドルは1.37561カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.29601シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.17596ドル、英ポンド/米ドルは1.34348ドルへと上昇。米ドル/カナダドルは9月17日以来の安値をつけ、ユーロ/米ドルは10月1日以来の高値を記録しました。米国の先週分の新規失業保険申請件数が23.6万件と、市場予想の22.0万件と比べて弱い結果だったことが、米ドルの重石となりました。

TCMB（トルコ中銀）は1.50％の利下げを行うことを決定しました（＊詳細は後述）。利下げ幅は市場予想の1.00％よりも大幅だったものの、トルコリラに大きな動きはみられませんでした。

（本日の相場見通し）

本日は、ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁やハマック・クリーブランド連銀総裁が講演し、グールズビー・シカゴ連銀総裁が対話集会に参加します。これらのFOMC（米連邦公開市場委員会）参加者の発言が材料になりそうです。

FRB（米連邦準備制度理事会）は10日のFOMCで0.25％の利下げを行うことを決定。政策金利を3.75～4.00％から3.50～3.75％に引き下げました。グールズビー総裁は政策金利の据え置きを支持し、0.25％の利下げに反対票を投じました。ポールソン総裁とハマック総裁は25年のFOMCにおいて投票権がありません。

※FOMCについて詳しくは、11日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCはタカ派的利下げ!?　市場はもっと「タカ派」を想定していた？]をご覧ください。

26年のFOMCでは、グールズビー総裁が投票権を失う一方で、ポールソン総裁とハマック総裁は投票権を持ちます。

本日の講演や対話集会で26年のFRBの金融政策についてのヒントが提供されれば市場が反応しそうです。おそらくグールズビー総裁は追加利下げに慎重な姿勢を示すとみられます。ポールソン総裁らも同様ならば、FRBによる追加利下げ観測が市場で後退するとともに、米ドルが堅調に推移しそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは上値を試し、ユーロ/米ドルは下値を試す展開になると考えられます。

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英国の10月GDP（国内総生産）や10月鉱工業生産が本日発表されます（日本時間16:00）。その結果に英ポンドが反応する可能性があります。

市場予想は以下のとおり。（　）は9月の実績です。
・GDP（前月比）：プラス0.1％（マイナス0.1％）
・鉱工業生産（前月比）：プラス1.0％（マイナス2.0％）
・鉱工業生産（前年比）：マイナス1.2％（マイナス2.5％）

GDPや鉱工業生産が市場予想と比べて弱い結果になれば、市場では英国の景気をめぐる懸念が高まる可能性があります。その場合には英ポンドが軟調に推移して、英ポンド/円や英ポンド/米ドルは下値を試し、ユーロ/英ポンドは上値を試す展開になりそう。ユーロ/英ポンドの上値メドとして、11月14日高値の0.88602ポンドが挙げられます。

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TCMB（トルコ中銀）は11日に政策会合を開き、1.50％の利下げを行うことを決定。政策金利を39.50％から38.00％へと引き下げました。利下げしたのは3会合連続、利下げ幅は前回10月会合の1.00％から拡大されました。

TCMBは声明で利下げを行う背景として「食品価格が下落したことによって（トルコの）11月のCPI（消費者物価指数）上昇率が予想を下回った」こと、「インフレの基調が10月と11月にわずかに低下した」こと、「直近四半期の指標は、需要環境が引き続きディスインフレのプロセスを支えていることを示唆している」ことを挙げました。

声明における先行きの金融政策に関する文言は前回会合と同じ。「実際のインフレ率やインフレ期待、およびそれらの基調を踏まえ、中間目標（※）に沿ったディスインフレの道筋に必要な引き締め度合いを確保するように政策金利を決定する」、「（政策）措置の規模は、インフレ見通しを重視しつつ会合ごとに慎重に見直す」などとされました。TCMBの政策金利は今後さらに引き下げられる可能性がありそうです。次回の政策会合は26年1月22日です。

（※）TCMBのインフレ目標は5％です。ただし、TCMBは中間目標として、インフレ率を26年末までに16％、27年末までに9％へと鈍化させることを掲げています。トルコの25年11月のCPI上昇率は前年比31.07％でした。