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米上院、オバマケア関連法案を否決、次のバトルは・・・?

2025/12/12 07:17

【ポイント】
・米上院は2本のオバマケア関連法案を否決
・このままでは26年1月から多くの市民の医療コストが急騰
・党派的対立が深まり、26年1月末に再びシャットダウンの危機⁉

米議会の上院は11日、オバマケア(医療制度改革法)に関連する法案を2本否決しました。1本目は、25年末に終了する医療保険の補助金(税額控除)を3年間延長する法案。民主党が提案したもので、11月にシャットダウン(政府機能の一部停止)を終了させる継続(つなぎ)予算を成立させるのに民主党の一部が協力する条件として共和党が採決を約束していました。2本目は民主党案の代替案として共和党が提案した法案。オバマケアの補助金の代わりに税制上優遇される医療貯蓄口座を創設する内容でした。

下院でも、オバマケア関連法案を審議する方向のようです。下院ではフィリバスター(少数政党による採決妨害)がないので、共和党だけで法案可決は可能です。しかし、フィリバスターのある上院では民主党の協力は不可欠。上院民主党リーダーのシューマー議員は共和党に協力するつもりはなさそうです。上下両院が同一の法案を可決して大統領が署名しなければ、法案は日の目を見ません。

このままオバマケアの補助金が失効すると、26年早々から多くの市民の医療コストが急騰することになりそうです。消費者信頼感や実際の個人消費にも影響が出るかもしれません。

共和党と民主党の党派的対立が深まると、次に問題になりそうなのが26年1月30日以降の予算措置です。今年11月12日に成立した継続(つなぎ)予算がこの日に失効するからです。一部の省庁は26年度末(26年9月末)までの予算措置を終えていますが、大半は新たな予算措置がなければ再びシャットダウンに見舞われます。

今年10月1日に始まったシャットダウンは過去最長の43日間続きました。年明け早々にも同様の混乱が生じるのでしょうか。引き続き事態の進展を注視する必要がありそうです。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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