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BOCは政策金利の据え置きを決定、TCMBは本日利下げ!?

2025/12/11 08:57

【ポイント】
TCMB(トルコ中銀)はどの程度利下げするか
BOC(カナダ中銀)は当面、政策金利を2.25%に据え置きそう

(欧米市場レビュー)

10日、欧米時間の外為市場ではFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果判明後に米ドル安が進行。一時米ドル/円は155.736円、米ドル/カナダドルは1.37829カナダドル、米ドル/シンガポールドルは1.29197シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16944ドル、英ポンド/米ドルは1.33839ドルへと上昇しました。

FOMCでは、0.25%利下げして政策金利を3.75~4.00%から3.50~3.75%に引き下げることが決定されました。それは市場予想どおりの結果だったものの、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が会見で米国の労働市場の動向に懸念を示したことが、米ドル安圧力になったようです。

※FOMCについて詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[米FOMCはタカ派的利下げ!? 市場はもっと「タカ派」を想定していた?]をご覧ください。

BOC(カナダ中銀)は市場予想どおり政策金利を2.25%に据え置きました(*詳細は後述)。政策会合の結果に対するカナダドルの反応は限定的でした。

(本日の相場見通し)

本日は、米国の先週分の新規失業保険申請件数が発表されます(日本時間22:30)。その結果に市場が反応する可能性があります。

新規失業保険申請件数の市場予想は22.0万件と、前回の19.1万件から増加するとみられています。市場予想よりも弱い結果になれば、米国の労働市場の軟化が市場で意識されて米ドルが軟調に推移しそう。その場合、米ドル/円や米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドルは下値を試し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは上値を試す展開になると考えられます。米ドル/シンガポールドルは、10月1日安値の1.28609シンガポールドルが目先の下値メドです。

※英ポンド/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[英ポンド/米ドル、遅行スパンが“好転”!もう一段の上値切り上げとなるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。

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TCMB(トルコ中銀)の政策会合が本日開かれます。会合の結果は日本時間20時に発表され、カラハン総裁の会見は予定されていません。

TCMBは前回10月まで2会合連続で利下げを実施しており、現在の政策金利は39.50%です。

トルコの11月CPI(消費者物価指数)は前年比31.07%と、上昇率は10月の32.87%から鈍化しました。TCMBは本日の会合で利下げを行うと市場は予想しています。ただ、利下げ幅については1.00%との見方が市場では有力なものの、1.50%や2.00%になるとの観測もあります。市場の見方が分かれているため、TCMBの政策決定にトルコリラが反応しそうです。

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BOC(カナダ中銀)は10日に政策会合を開き、政策金利を2.25%に据え置くことを決定しました。BOCが政策金利を据え置いたのは7月以来3会合ぶり。直近2会合(9月と10月)はそれぞれ0.25%の利下げを実施していました。

マックレム総裁は会合後の会見で、政策金利を据え置く理由を「カナダのGDP(国内総生産)は26年に緩やかなペースで拡大し、インフレ率は今後も目標近辺にとどまるとのBOCの見通しに変化はないため」と説明。BOCは前回10月29日の会合で、インフレと経済活動がBOCの予測とおおむね一致して推移するならば、2.25%の政策金利はほぼ適切との認識を示していました。

BOCの政策金利は26年1月以降も当面2.25%に据え置かれそうです。

マックレム総裁はカナダ経済について「米国が鉄鋼・アルミニウム・自動車・木材に課した高い関税がそれらのセクターに大きな打撃を与えており、米国の貿易政策をめぐる不確実性がより広範な企業投資を抑制している」としつつも、「これまでのところ、経済は全体として底堅い」との認識を示しました。

インフレについては「カナダのインフレ圧力は引き続き抑制されている」とし、「総合のCPI(消費者物価指数)上昇率は1年以上にわたって目標の2%近辺で推移しており、今後も2%近辺で推移すると予想している」と語りました。

政策金利の水準に関する認識は前回会合と同じ。マックレム総裁は「現在の政策金利は、経済を支えつつインフレ率を2%近辺に維持するのに、ほぼ適切な水準だ」と改めて表明。ただし、前回と同様に「見通しが変化した場合、我々は対応する用意がある」とも述べました。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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