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植田日銀総裁の発言に注目! 市場が反応しそう

2025/12/01 08:36

【ポイント】
・植田総裁の発言によって日銀による12月の利上げ観測が高まるか
OPECプラスは原油の増産を見送る 

(欧米市場レビュー)

11月28日、欧米時間の外為市場ではカナダドルが堅調に推移。一時米ドル/カナダドルは1.39376カナダドルへと下落し、カナダドル/円は111.938円へと上昇しました。カナダの7-9月期GDP(国内総生産)が前期比年率2.6%と、市場予想の0.5%を上回ったことが、カナダドルにとってのプラス材料となりました。

米ドルは軟調。一時米ドル/円は155.949円、米ドル/シンガポールドルは1.29524シンガポールドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.16020ドル、英ポンド/米ドルは1.32496ドルへと上昇しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が12月9-10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利下げを行うとの観測が引き続き米ドルの重石となりました。

(本日の相場見通し)

本日は、日銀の植田総裁が名古屋市で開かれる金融経済懇談会に出席します。植田総裁は懇談会で午前10時5分から挨拶し、午後2時から会見する予定です。

植田総裁による挨拶や会見における注目点は、追加利上げのタイミングについてのヒントが提供されるかどうかです。植田総裁は11月21日に衆議院財務金融委員会で「経済・物価の中心的な見通しが実現していけば、経済・物価の改善に応じて政策金利を引き上げる」、「中心的な見通しが実現する確度は少しずつ高まっている」、「利上げの是非やタイミングについては、さまざまなデータや情報を丹念に点検して適切に判断していく」などと述べました。

市場では、日銀は次回12月18-19日の会合で利上げを行うとの観測があります。植田総裁が12月会合での利上げもあり得ると市場に受け止められる発言をすれば、米ドル/円やユーロ/円など対円の通貨ペアが軟調に推移しそうです。

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米国の11月ISM製造業景況指数が本日発表されます(日本時間24:00)。その結果に市場が反応する可能性があります。

ISM製造業景況指数の市場予想は49.0と前月の48.7から上昇するものの、業況判断の分かれ目である50を引き続き下回るとみられています。

市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回12月9-10日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%の利下げを行うとの見方が有力。CMEのFedWatchツールによると、11月28日時点で市場が織り込む次回FOMCでの利下げ確率は約86%です。

ISM製造業景況指数が市場予想を下回る結果になれば、次回FOMCでの利下げ観測が補強されそうです。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/カナダドルや米ドル/シンガポールドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わると考えられます。米ドル/シンガポールドルは、10月1日安値の1.28609シンガポールドルが目先の下値メドです。

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OPEC(石油輸出国機構)と非加盟の主要産油国で構成する“OPECプラス”は11月30日にオンラインで閣僚級会合を開き、日量200万バレルの協調減産を26年末まで続けることなどを確認しました。OPECプラス構成国のうち、自主的に減産を実施し、25年4月からは減産幅を段階的に縮小して増産に転じている有志8カ国も別の会合を開き、26年1~3月は増産を停止する方針を決定しました。

原油の増産が見送られたことを受け、米WTI原油先物は日本時間12月1日午前に上昇。午前8時30分時点では1バレル=59ドル台半ばで推移しています(11月28日の清算値は58.55ドルでした)。

原油価格が一段と上昇する場合、ノルウェークローネカナダドルなどの資源国通貨が堅調に推移しそう。ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは、200日移動平均線(12/1時点で0.94081スウェーデンクローナ)が上値メドです。

八代和也

執筆者プロフィール

八代和也(ヤシロカズヤ)

シニアアナリスト

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