高市自民党総裁の政策は?
2025/10/06 12:32
※次号ウィークリー・アウトルックは10月14日(火)に配信いたします。
【今週のポイント】
・高市トレードは持続するか
・米シャットダウンで先行き不透明感高まる
・NZ中銀の利下げ幅はどうなるか
4日の自民党総裁選では高市早苗氏がサプライズで勝利しました。市場では、積極的な財政出動や日銀の利上げに対するけん制などの思惑が高まりそうです。ただし、党内人事や(国会での首班指名を前提として)組閣、どの政党と連立・連携するか、そしてどのような政策を打ち出すかなど、不透明要因は多くあります。
6日の東京市場は、日経平均急騰、長期金利(10年物国債利回り)上昇、為替「円安」で始まりました。そうした反応が続くかどうかは、具体的な政策がどの程度明らかになるか次第かもしれません。
米国では、10月1日からシャットダウン(政府機能の一部停止)が始まりました。共和党(トランプ大統領)と民主党の対立が激化しており、いつ本予算か継続(つなぎ)予算が成立してシャットダウンが解消されるかは予断を許しません。シャットダウンが解消されるまで、政府による経済指標の発表が遅延することになるため、市場では材料に乏しい状況が続くかもしれません。
今週の注目は、日本の政治動向を除けば、RBNZの政策会合とFOMC議事録の公表です。
9月16-17日開催のFOMCは今年初の利下げを決定。直前に就任したばかりのミラン理事が0.50%の利下げを主張しました。ミラン理事はその後の講演で大幅利下げを主張する根拠を説明しました。
ミラン理事は当該FOMCでも同様の説明をしたとみられますが、参加者からどんな反応があったか、ある程度判明するかもしれません。景気、とりわけ雇用情勢や、物価動向に関するFOMCでの議論も興味深いかもしれません。<西田>
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自民党総裁選では、高市前経済安保相が勝利して新たな総裁に選出されました。市場では高市新総裁は“積極的な財政”や“緩和的な金融政策”を志向しているとみられており、豪ドル/円やメキシコペソ/円などの対円の通貨ペアは引き続き堅調に推移する可能性があります。
RBNZ(NZ中銀)の政策会合が8日に開かれます。市場では利下げ幅について見方が分かれているため、RBNZの政策決定に豪ドル/NZドルやNZドル/米ドルが反応しそうです。
10日にはカナダの9月雇用統計が発表されます。雇用統計の結果を受けてBOC(カナダ中銀)の先行きの金融政策に対する市場の見方が変化するかに注目です。
メキシコの9月CPI(消費者物価指数)が9日に発表されます。BOM(メキシコ中銀)は9月25日の会合で0.25%利下げすることを決定し、声明では「政策金利のさらなる調整を検討する」と改めて表明。市場では、次回11月6日の会合で0.25%の追加利下げが行われるとの観測があります。9月のCPIが市場予想を上回る結果になれば、追加利下げ観測が市場で後退するとともにメキシコペソにとってのプラス材料になりそうです。<八代>
今週の注目通貨ペア①:<米ドル/円 予想レンジ:146.500円~151.500円>
米シャットダウン(政府機能の一時停止)の影響で雇用統計などの経済指標の発表が延期されていますが、予算成立とともにそれらが発表されるとみられるため、注意が必要でしょう。
シャットダウンが継続するならば、今週はFOMC議事録を除けば、材料不足の感は否めません。ただ、シャットダウンそのものが長期化観測などから市場で嫌気される可能性はありそうです。
FOMC議事録では、景気や雇用に対する懸念、あるいはミラン理事の大幅利下げの主張に対する共感などが示されれば、米ドル安の材料になるかもしれません。
日本サイドでは引き続き政治情勢が相場材料になりそうです。高市自民党総裁が公約通りの動きをみせれば、円に下落圧力が加わりそうです。ただ、党内の圧力などから高市総裁が制約を受けるとみられれば、株高・金利高・円安の初期反応は反転する可能性もありそうです。<西田>
今週の注目通貨ペア②:<ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ 予想レンジ:0.93000Sクローナ~0.96000Sクローナ>
リクスバンク(スウェーデン中銀)は9月23日の会合で据え置き予想に反して0.25%の利下げを実施しました。声明では「物価と経済活動の見通しに変化がなければ、政策金利は当面この水準で推移すると予想される」とし、当面の政策金利据え置きを示唆しました。8日の9月CPIF(エネルギーを除く)が2.8%との市場予想通りなら、据え置き観測が強化されるかもしれません。そうであれば、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ(NOK/SEK)にとってマイナス材料となりそうです。
他方、ノルゲバンク(ノルウェー中銀)は、9月18日の政策会合で利下げを実施し、政策金利を4.00%としました。リクスバンクと異なり、ノルゲバンクの利下げ余地は大きいかもしれません。10日のCPI基礎が3.5%との市場予想通りであれば、利下げ観測は後退しそうです。ただ、いずれ利下げを行うとの方向性に大きな変化がなければ、NOK/SEKの上昇余地は小さいかもしれません。
OPECプラスは石油の増産を決めたものの、小幅な増産だったために原油価格は週明けにやや反発しています。ただ、原油相場は軟調が続く可能性があり、そうであればNOK/SEKの重石になるかもしれません。<西田>
今週の注目通貨ペア③:<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.11000NZドル~1.15000NZドル>
豪ドル/NZドルは9月30日に一時1.14132NZドルへと上昇し、22年10月以来およそ3年ぶりの高値をつけました。市場では、RBA(豪中銀)の追加利下げ観測が後退する一方で、RBNZ(NZ中銀)の積極的な利下げ観測が高まっており、それが足もとの豪ドル/NZドルの上昇要因と考えられます。
RBNZの政策会合が8日に開かれます。市場は利下げが行われることをほぼ確実視しています。会合における最大の焦点は、どの程度の利下げが行われるのか。利下げ幅について市場の見方は分かれており、OIS(翌日物金利スワップ)によると、3日時点で市場が織り込む利下げ幅の確率は、0.25%が約6割、0.50%が約4割です。仮に利下げ幅が0.25%ならば、NZドルが堅調に推移して豪ドル/NZドルには下落圧力が加わると考えられます。
RBNZの声明や会合の議事要旨にも目を向ける必要がありそう。それらでは、11月会合以降の金融政策についてどのようなヒントが示されるかに注目です。<八代>
今週の注目通貨ペア④:<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.38000カナダドル~1.40500カナダドル>
10日にカナダの9月雇用統計が発表されます。雇用情勢はBOC(カナダ中銀)の金融政策判断に影響を与えると考えられるため、カナダの雇用統計の結果に米ドル/カナダドルが反応しそうです。
BOCは9月17日の政策会合で0.25%利下げすることを決定。政策金利を2.75%から2.50%へと引き下げました。BOCは利下げする理由を「(カナダ)経済が減速し、インフレの上振れリスクが低下していることから、今後のリスクをより均衡させるため」と説明。マックレム総裁は会合後の会見で「リスクが一段と傾く場合、さらに行動する用意がある」と述べ、追加利下げに含みを持たせました。
市場では、BOCは次回10月29日の会合で0.25%の追加利下げを行うとの見方が大勢。OIS(翌日物金利スワップ)によると、3日時点で市場が織り込む10月の利下げ確率は約6割です。カナダの雇用統計が市場予想と比べて強い結果になれば、BOCによる追加利下げ観測が後退するとともにカナダドルにとってのプラス材料になりそう。その場合、米ドル/カナダドルは軟調に推移すると考えられます。
米国のシャットダウン(政府機能の一部停止)のゆくえにも注目です。シャットダウンが続く場合、米ドル/カナダドルの上値を抑える要因(米ドルにとってのマイナス材料)になりそうです。<八代>
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