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SGD(4):ドルシンガの考え方

2025/10/03 07:25

※米連邦政府のシャットダウン(一部機能停止)により3日に予定されていた9月雇用統計をはじめ多くの経済指標の発表が遅延する見通しです。
米労働省のHPには、最終更新が10月1日であったこと、シャットダウンが解消して連邦政府の機能が正常化する時にアップデートを再開することが記されています。

【ポイント】
・ドルシンガは過去10年狭いレンジで推移
・米ドル実効為替レートの上昇によりドルシンガ横ばいとS$NEER高め誘導は整合的
・米ドル実効為替レートの下落局面ではドルシンガも下落しそう(=S$NEER高め誘導)

マネースクエアは9月22日から米ドル/シンガポールドル(USD/SGD 以下、ドルシンガ)の取り扱いを開始しました。複数回にわけてシンガポールドル(SGD、SGドル)のファンダメンタルズを概観します。今回はドルシンガの考え方をご紹介します。

SGD(1):シンガポールのファンダメンタルズ
SGD(2):MASと通貨政策
SGD(3):MASによるシンガポールドル誘導の実際

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既にお伝えしたように、シンガポールではMAS(シンガポール通貨庁)が金融政策の一環としてSGドル、とりわけS$NEER(SGドル名目実効為替レート)を緩やかに高めに誘導しています。

S$NEER

そうした中で、ドルシンガは15年以降の約10年間、1.30000SGドル~1.40000SGドルを中心とした狭いレンジで推移してきました(ただし、今年5月以降でみれば、1.27500 SGドル~1.30000SGドルのレンジ)。

もっとも、11年~14年は1.20000SGドル~1.30000SGドルがドルシンガの中心レンジでした。また、01年~11年の10年間はドルシンガが1.85000SGドルから1.20000SGドルへと下落基調でした(シンガポールドル高)。

ドルシンガ

上述のドルシンガの動きは、米ドル実効為替レートと比較すると理解しやすいかもしれません。15年以降は米ドル実効為替レートが上昇基調だったので、ドルシンガがレンジ内で横ばい推移していることと、S$NEERを緩やかに高め誘導することは矛盾しませんでした。11年以前は米ドル実効為替レートが下落基調だったので、ドルシンガも下落した(低めに誘導された)のでしょう。

ドルシンガとドル実効為替レート

今後についても、MASの方針が変わらないならば、米ドルが幅広い通貨に対して下落するような場面では、MASがS$NEERの高め誘導を維持するために(あるいはS$NEERの下落を阻止するために)ドルシンガも下落する(低めに誘導される)のではないでしょうか。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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