ミランFRB理事、大幅利下げ主張の根拠を説明。賛同者は?
2025/09/23 08:18
【ポイント】
・住居費がタイムラグを伴ってインフレ率を押し下げ!?
・移民政策や関税、規制緩和などで中立金利は以前より低下!?
・ミラン理事は大幅利下げを主張し続けると表明も、多くのFOMC参加者は利下げに慎重か
FRBのミラン理事(※1)は22日、NYのエコノミッククラブで講演し、先のFOMCで大幅利下げを主張した根拠を説明しました。
※1 メディアによって「マイラン理事」との表記もみられますが、本稿では「ミラン理事」とします。
ミラン理事は、インフレが今後大きく鈍化すると予想。また、景気を刺激も抑制もしない中立金利は以前と比較して低下しているため、現行の政策金利は景気抑制的過ぎて、雇用の大きなリスクになっていると主張しました。
インフレ鈍化予想は、主として物価指標に大きなウェイトを占める住居費(家賃等)が2-3年のタイムラグを持って伸びが低下するとみているためです。
中立金利は、「ドット・プロット(中央値)」の「長期」が3.00%となっており、これがFOMC内の多数意見とみられます(※2)。ミラン理事は2.50%程度とみており、以前に比べて低下していると説明。その背景として、移民規制(による人口増加率の低下)、関税政策、規制緩和などを挙げました。
※2 ただし、ドット・プロットの分布は、2.625%~3.875%と広くなっており、中立金利を推計する難しさを示唆しています。

ミラン理事はトランプ政権でCEA(経済諮問委員会)委員長を務め、それ以前は大手ファンドのストラテジストなどを歴任。ハーバード大で経済博士号をとっています。そのため、今回の講演では緻密な説明を用いて大幅利下げを主張した根拠を説明しました。
もっとも、少なくともミラン理事が初参加した16-17日のFOMCでは、同氏の見解は賛同を得なかったようです。ミラン理事は今後も大幅利下げを主張する意思を表明しており、賛同者を得ることができるのか。また、景気(雇用)が一段と悪化したり、インフレ率が顕著に低下したりして、同氏の主張を補強する材料となるのか、非常に注目されます。
ミラン理事以外のFOMC参加者の見解
22日は複数のFOMC参加者の講演やインタビューがありました。いずれもタカ派とみられ、利下げに慎重な姿勢を示しました。
ムサレム・セントルイス連銀総裁は、「労働市場の一段の弱さを示す兆候がみられた場合、インフレが長く目標を上回るリスクが高まっておらず、かつ長期的なインフレ期待が安定していれば、追加利下げを支持するだろう」と述べました。
ハマック・クリーブランド連銀総裁は、インフレは依然として高過ぎであり、先週の利下げ後も政策金利は「わずかに」景気抑制的だが、それを緩和すれば景気が過熱する懸念があると指摘しました。
ボスティック・アトランタ連銀総裁は、年内の追加利下げの必要性はあまり感じないとしたうえで、「インフレが長期間、高水準にあることを懸念している」と述べました。
バーキン・リッチモンド連銀総裁は、関税の価格転嫁は現時点でわずかながら、時間をかけて価格に反映されるとの認識を示しました。
・住居費がタイムラグを伴ってインフレ率を押し下げ!?
・移民政策や関税、規制緩和などで中立金利は以前より低下!?
・ミラン理事は大幅利下げを主張し続けると表明も、多くのFOMC参加者は利下げに慎重か
FRBのミラン理事(※1)は22日、NYのエコノミッククラブで講演し、先のFOMCで大幅利下げを主張した根拠を説明しました。
※1 メディアによって「マイラン理事」との表記もみられますが、本稿では「ミラン理事」とします。
ミラン理事は、インフレが今後大きく鈍化すると予想。また、景気を刺激も抑制もしない中立金利は以前と比較して低下しているため、現行の政策金利は景気抑制的過ぎて、雇用の大きなリスクになっていると主張しました。
インフレ鈍化予想は、主として物価指標に大きなウェイトを占める住居費(家賃等)が2-3年のタイムラグを持って伸びが低下するとみているためです。
中立金利は、「ドット・プロット(中央値)」の「長期」が3.00%となっており、これがFOMC内の多数意見とみられます(※2)。ミラン理事は2.50%程度とみており、以前に比べて低下していると説明。その背景として、移民規制(による人口増加率の低下)、関税政策、規制緩和などを挙げました。
※2 ただし、ドット・プロットの分布は、2.625%~3.875%と広くなっており、中立金利を推計する難しさを示唆しています。

ミラン理事はトランプ政権でCEA(経済諮問委員会)委員長を務め、それ以前は大手ファンドのストラテジストなどを歴任。ハーバード大で経済博士号をとっています。そのため、今回の講演では緻密な説明を用いて大幅利下げを主張した根拠を説明しました。
もっとも、少なくともミラン理事が初参加した16-17日のFOMCでは、同氏の見解は賛同を得なかったようです。ミラン理事は今後も大幅利下げを主張する意思を表明しており、賛同者を得ることができるのか。また、景気(雇用)が一段と悪化したり、インフレ率が顕著に低下したりして、同氏の主張を補強する材料となるのか、非常に注目されます。
ミラン理事以外のFOMC参加者の見解
22日は複数のFOMC参加者の講演やインタビューがありました。いずれもタカ派とみられ、利下げに慎重な姿勢を示しました。
ムサレム・セントルイス連銀総裁は、「労働市場の一段の弱さを示す兆候がみられた場合、インフレが長く目標を上回るリスクが高まっておらず、かつ長期的なインフレ期待が安定していれば、追加利下げを支持するだろう」と述べました。
ハマック・クリーブランド連銀総裁は、インフレは依然として高過ぎであり、先週の利下げ後も政策金利は「わずかに」景気抑制的だが、それを緩和すれば景気が過熱する懸念があると指摘しました。
ボスティック・アトランタ連銀総裁は、年内の追加利下げの必要性はあまり感じないとしたうえで、「インフレが長期間、高水準にあることを懸念している」と述べました。
バーキン・リッチモンド連銀総裁は、関税の価格転嫁は現時点でわずかながら、時間をかけて価格に反映されるとの認識を示しました。
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