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米FOMC直前情勢と注目ポイント

2025/09/16 08:23

※追記:日本時間16日午前9時過ぎに米上院はミラン理事候補の指名を承認。ミラン理事はFOMCに出席する見通し。また、ほぼ同時刻に連邦高裁は大統領がクック理事を解任できないとの判断を下した模様です。

【ポイント】

・0.25%利下げの可能性が高いが、わずかに0.50%利下げも?
・クック理事とミラン理事(候補)はFOMCに出席するか
・「ドット・プロット(中央値)」が示唆する政策金利の軌道は?
・軟化する労働市場に対するFOMCの判断は?

16-17日に開催される米FOMCでは昨年12月以来となる利下げが確実視されています。直前の情勢を踏まえて、以下では注目ポイントを挙げておきましょう。

0.25%か0.50%か
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFedWatchによれば、12日時点で市場が織り込む確率は利下げが100%で、内訳は0.25%幅が95.9%0.50%幅が4.1%です。したがって、据え置きや0.50%利下げの結果となれば大きなサプライズですが、やはりそれらの可能性は相当に低いでしょう。ただ、票決は、「0.25%利下げ」「0.50%利下げ」「据え置き」の3つに分かれるかもしれません。

クック理事とミラン理事(候補)参加の有無
FOMCに参加するのは議長・副議長を含む7人の理事と12地区連銀の総裁です。政策決定の投票権があるのは、理事全員と5人の地区連銀総裁です。注目は、クック理事とミラン(マイラン)理事候補がFOMCに参加するかどうか。それによって、内部のパワーバランスが微妙に変化しそうです。

クック理事は、8月25日にトランプ大統領が解任の意向を表明。クック理事が解任を不当として提訴し、控訴審は解任を差し止める判断を下しました。これに対して、トランプ政権は解任差し止めの停止を求めて改めて提訴しています。これが認められれば、クック理事はFOMCに参加できません。また、認められない場合は、トランプ政権が最高裁に早急な判断を求めるとされており、予断を許しません。

他方、ミラン理事候補は先週上院委員会で承認されており、15日夜にも本会議で承認される見通しです(本稿執筆時点では未採決)。承認されれば、今回のFOMCへの出席が可能となるようです。

FRB理事

最大の注目は「ドット・プロット」か
前回6月18日に公表された「ドット・プロット(中央値)」によれば、25年後半に0.25%×2回、26年中に同1回、27年中に同1回の利下げによって、政策金利は27年末に3.25-3.50%になると予想されていました。その後に発表された雇用統計等の経済指標が弱めだったことで、FOMCの政策金利見通しは下方にシフトしている可能性が高そうです。

もっとも、9月15日時点のOIS(翌日物金利スワップ)に基づけば、市場は26年7月までに0.25%×5.2回分の利下げを予想しています(うち25年末までに2.7回)。その時点での政策金利は3.04%。これは6月の「ドット・プロット」が示した「長期」、つまり中立的水準とほぼ同じです。新しい「ドット・プロット」は市場の大幅な利下げ観測をサポートするのか、それともけん制するのか、大いに注目されます。

ドットプロットとOIS

労働市場に対する判断は?
「ドット・プロット」と同時に発表されるFOMCの経済見通しも気になるところでしょう。ここもとの労働市場の軟化に対して、FOMCからどのようなメッセージが発せられるでしょうか。パウエル議長はNFP(非農業部門雇用者数)には移民政策の影響もあるため、失業率を重視すべきと述べていました。8月の失業率は4.3%で、6月時点の長期見通し(≒目標)4.2%とほぼ同じです。パウエル議長は労働需給が引き続きタイトであり、利下げを急ぐ根拠に乏しいとするのか、それとも労働市場の軟化を認めるのか。

FOMC経済見通し

■12日配信のM2TV(YouTube)グローバルView「中央銀行ウィーク FOMCプレビュー +ECB・BOE・BOJ」でも解説しています。ぜひご覧ください。
西田明弘

執筆者プロフィール

西田明弘(ニシダアキヒロ)

チーフエコノミスト

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