米ADP雇用統計に市場が反応か
2025/07/02 08:55
【ポイント】
・ADP雇用統計でFRBによる早期利下げ観測が市場で高まるか
・トランプ大統領は日本に対して高率の関税を課す可能性に言及
(欧米市場レビュー)
1日、欧米時間の外為市場では米ドルが軟調に推移。米国の長期金利(10年物国債利回り)が低下するなか、一時米ドル/円は142.675円、米ドル/カナダドルは1.35890カナダドルへと下落し、ユーロ/米ドルは1.18249ドル、英ポンド/米ドルは1.37859ドルへと上昇。ユーロ/米ドルは21年9月以来、英ポンド/米ドルは21年10月以来の高値をつけました。
その後、米長期金利が反発し、また米6月ISM製造業景況指数や5月JOLTS(労働動態調査)求人件数が市場予想を上回ると、米ドルは下げ幅を縮小しました。ISM製造業景況指数の結果は49.0、5月JOLTS(労働動態調査)求人件数の結果は776.9万件、市場予想はそれぞれ48.8と730.0万件でした。
米議会上院は、トランプ減税を実現するための予算調整法案(OBBBA)の修正案の採決を行いました。採決の結果は賛成50・反対50の同数となり、バンス副大統領が賛成票を投じて僅差で可決しました。同法案は下院に戻されます。
※詳しくは、本日の『ファンダメ・ポイント』[トランプ減税法案が上院を通過、7月4日までに成立するか]をご覧ください。
(本日の相場見通し)
米国の6月ADP雇用統計が本日発表されます(日本時間21:15)。その結果に市場が反応しそうです。
ADP雇用統計の市場予想は前月比9.5万人増と、増加幅は23年3月以来の低い伸びだった前月の3.7万人から高まるとみられています。
市場では、FRBは次回7月29-30日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いて、次々回9月16-17日のFOMCで利下げを行うとの見方が優勢でCMEのFedWatchツールによると、米国時間1日時点で市場が織り込む利下げ確率は、7月が約2割、9月までで約9割です。
ADP雇用統計が市場予想を下回る結果になれば、米景気の先行きへの懸念が市場で強まるとともに、FRBによる早期の利下げ観測が高まる可能性があります。その場合には米ドルが軟調に推移して、米ドル/円や米ドル/カナダドルには下落圧力が、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルには上昇圧力が加わりそう。ユーロ/米ドルの上値メドとして、200カ月移動平均線(7/2時点で1.20002ドル)が挙げられます。
※英ポンド/米ドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[英ポンド/米ドル、「押し目買い」「打診買い」が奏功しそう]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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トランプ米大統領は1日、相互関税の上乗せ分について、9日の適用停止期限を延長する考えはないとしました。また、日本との通商交渉については「合意できるかどうか分からない。疑わしい」と述べ、合意できなければ「30%か35%、あるいは我々が決定した関税率を払うことになる」と語りました。
トランプ大統領が日本に対して高率の関税を課す可能性を示したことで、本日の日経平均は軟調に推移するかもしれません。日経平均が下げ幅を拡大する場合、リスクオフ(リスク回避)によって円が堅調に推移して、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は上値が重い展開になる可能性があります。
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