米中が関税を大幅に引き下げ! 米ドル/円は148円台へと上昇
2025/05/13 09:01
【ポイント】
・トランプ関税についての新たなニュースに引き続き要注意
・主要国の株価動向、株価が堅調に推移すれば一段のリスクオンも
・米CPIで市場のFRB金融政策見通しがどのように変化するか
(欧米市場レビュー)
12日、欧米時間の外為市場では米ドルが堅調に推移。一時米ドル/円は148.610円、米ドル/カナダドルは1.40111カナダドルへと上昇し、ユーロ/米ドルは1.10631ドル、英ポンド/米ドルは1.31381ドルへと下落。米ドル/円は4月3日以来、米ドル/カナダドルは4月10日以来の高値をつけ、ユーロ/米ドルは4月10日以来、英ポンド/米ドルは4月14日以来の安値を記録しました。
米国と中国は共同声明で、10-11日に行った閣僚級会議では相互に課している関税を大幅に引き下げることで合意したと発表。このことが米ドルの支援材料となりました。
共同声明によると、14日までに米国は中国製品の関税率を145%から30%へ(※)、中国は米国製品の関税率を125%から10%へとそれぞれ引き下げます。
(※)米国は、2月と3月に発動したフェンタニル(合成麻薬)関連の関税20%と相互関税の基本税率10%のみとします。相互関税の上乗せ分の24%の課税は90日間停止されます。
円は軟調。一時ユーロ/円は164.874円、豪ドル/円は94.848円、NZドル/円は87.158円へと上昇。それぞれ24年11月中旬以来、25年4月2日以来、同3月18日以来の高値をつけました。米中が関税の税率を大幅に引き下げると発表したことで、リスクオン(リスク選好)が強まり、円に対する下押し圧力となりました。
(本日の相場見通し)
トランプ政権の関税についてのニュースには引き続き要注意です。関税について新たなニュースが出てくれば、市場が反応しそうです。
米国など主要国の株価動向にも注目です。12日の米株式市場では主要な3株価指数がいずれも大幅に上昇。ダウは前営業日比1160.72ドル高(2.81%)の42,410.10ドル、ナスダックは同779.43ポイント高(4.35%)の18,708.34ポイント、S&P500は同184.28ポイント高(3.26%)の5,844.19ポイントで取引を終えました。
米株高や円安の進行を受けて本日の日経平均は上昇してスタートしました。日経平均がその後上げ幅を拡大し、欧米の主要な株価指数が堅調に推移すれば、リスクオンが一段と強まりそうです。その場合、米ドル/円やクロス円(ユーロ/円や豪ドル/円など)は上値を試す可能性があります。米ドル/円の上値メドとして、200日移動平均線(13日時点で149.647円に位置)が挙げられます。
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米国の4月CPI(消費者物価指数)が本日発表されます(日本時間21:30)。この結果に市場が反応する可能性があります。
CPIの市場予想は以下の通り。( )は前月の実績です。
<総合>
・前月比:0.3%(マイナス0.1%)
・前年比:2.4%(2.4%)
<コア>
・前月比:0.3%(0.1%)
・前年比:2.8%(2.8%)
市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)は次回6月17-18日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置くとの見方が大勢。次々回7月29-30日のFOMCについては、政策金利据え置きとの見方がやや優勢なものの、0.25%の利下げ観測もあります。
CMEのFedWatchツールによると、米国時間12日時点で市場が織り込む利下げ確率は、6月が約10%、7月までで約40%です。
CPIが市場予想を上回る結果になれば、FRBの追加利下げ観測が市場で後退すると考えられます。その場合には米ドルのプラス材料となり、米ドル/円や米ドル/カナダドルは堅調に推移し、ユーロ/米ドルや英ポンド/米ドルは軟調に推移しそうです。
※米ドル/カナダドルのテクニカル分析は、本日の『テクニカル・ポイント』[ドルカナダ、米4月CPIが相場動意となるか]をご覧ください(お客様専用ページへのログインが必要です)。
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